2024年のJリーグは“仕掛け上手” 平日開催増えても平均観客動員数アップ…日程面の“妙” 【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年12月3日 9時30分
■2024年のJ1では4回の平日開催を組み込むも、平均観客動員数は2万人超え
Jリーグは終盤に来て、さまざまな伏線が回収されようとしている。それぞれのチームの成績だけではない。Jリーグそのものが仕掛けた施策が実を結ぼうとしている。今年の日程が発表された時には話題にならなかったが、去年までと比べると違っていることがある。
月曜から木曜までで休日でない日にJ1リーグの日程が組み込まれていたのは、代替開催を除くと2023年は1日もなかった。だが、2024年は4回(第6節、第14節、第20節、第25節)ある。たとえば第6節は平均観客動員数が1万4205人だったのに対して、直前の第5節は2万1024人、直後の第7節は2万3070人となっており、平日開催は集客面で非常に不利だ。
また、たとえばルヴァン杯決勝が行われた11月2日は前後の11月1日に2試合、11月3日に5試合、リーグ戦が組み込まれていた。2023年は11月4日にルヴァン杯の決勝が行われており、その週末にはほかの試合は1試合も組まれなかった。話題が決勝に集中するはずで、その前後に試合を組み込むのは影響が出るという考えもあるのだが、今年は週末にリーグ戦を入れた。
それなのに、だ。12月1日時点のJ1の平均観客動員数は2023年度の1万8993人を上回る2万88人と約6パーセントの伸びを見せている。
それに貢献しているのは国立競技場での試合開催であるのは間違いない。2023年は開催が6試合だったのに対して、2024年は12試合が行われている。国立には1試合平均4万9881人が詰めかけていて、これが平均観客数を押し上げる要因になっている。
ただし、国立競技場の影響が少ないJ2(国立では1試合だけ開催)も、2023年の平均観客動員数6904人に対して、2024年はここまで7667人。さらにJ3では、2023年の3003人に対して、2024年は3298人とこちらも伸びを見せている。各クラブの努力もあるのだが、現在のJリーグの施策が一定の効果を上げていると言ってもいいだろう。
実際、J1からJ3まですべて20チーム構成になったことで、リーグの進行は非常に分かりやすくなった。インターナショナルマッチデーの影響を受けるJ1では現在、第37節まで進んでいる。J2&J3は全38節が終わり、昇格プレーオフ決勝を残している。
この昇格プレーオフはJ2、J3とも12月1日と12月7日に組まれている。さらに言えばJ3、JFLの入れ替え戦も同日程だ。J2はリーグ終了からプレーオフまで3週間近く空いてしまうものの、J3はリーグ戦が終了すると、その翌週からプレーオフと入れ替え戦が行われる。熱が冷めないまま終盤を迎えることができる。
J2に関して言えば、例えば、2022年10月16日に甲府が決勝に進出したように、天皇杯で勝ち進むことも考慮しなければならない。11月23日に今年の天皇杯決勝が組まれていることを考えても、リーグ戦を11月10日までに終わらせなければならなかったことも妥当と言えるだろう。
また、この天皇杯決勝が11月23日に組み込まれていることにもいい側面がある。
横浜FMにとっては過密日程で厳しいシーズンになった【写真:徳原隆元】
■不幸だった横浜F・マリノスの過密日程、プロA契約の人数制限緩和をしても…
元日に日本一を決める試合が見られないのは残念であることは間違いない。だが、現時点でのJリーガーの契約は通常1月31日まで。そして、その2か月前までにはクラブは選手に翌年の契約の意志を伝えることになっている。となると、11月末には翌年の契約があるかどうか、選手たちは分かる。
そのため、翌年の契約がない選手も試合に向けて準備しなければいけないし、何より多くのチームが12月初旬には活動を終えて1月中旬の再始動まで身体のメンテナンスをするなか、決勝に進んだ2チームだけが1月1日まで準備するのは、翌年のリーグ戦を考えると不公平になる。本来のタイトルの重要度から言えば、リーグ>オープンカップ>リーグカップということになるのだろうが、1月1日に天皇杯決勝を行うと、シーズンを締めくくるのがオープンカップになる。
さらに、かつてはJ1よりもJ2のチーム数が多かったこともあり、J1の優勝チームが決まったあとにJ2の最後の昇格チームが決まるという、本来は一番権威のあるタイトルのあとに、クライマックスが来てしまうこともあった。J1優勝が決まったあとにJ1昇格が決まり、さらに最後に天皇杯というシーズンの締めくくりで、もっとも盛り上がっていいクライマックスが前倒しになっていたと言っていいだろう。
こうした意味で、日本サッカーの日程は整理されてきたと言える。一方で、不幸だったのは横浜F・マリノスだ。アジアチャンピオンズリーグを戦い、ルヴァンカップも天皇杯も準決勝まで勝ち進んだことで試合数が激増した。カップ戦の敗退が決まって日程を空けられる状態になっても、諸々の条件が試合日を動かすのに難しい状況になってしまって、チームには大きな負担がかかった。
強豪チームの宿命と言ってしまえばそのとおりなのだが、こういうクラブに対してはシーズン途中であったとしてもプロA契約選手登録の人数制限(27人、クラブW杯出場クラブは30人)を緩和してもいいのではないだろうか。
今年はしっかりすべてのタイトルが理想の形で組み込まれ、そして平均観客動員数も伸ばした。もっとも、これが2025年シーズンの成功を保証するかというとそうではないだろう。2024年度のJリーグの日程が終わるとすぐ、12月13日には来年の日程が発表される予定だ。そこは厳しく見つめつつも、しっかり結果を出している今年のJリーグの仕掛けの巧さについて書き残しておきたいと思う。(森雅史 / Masafumi Mori)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
25シーズンのJ1は2月14日、J2&J3は15日開幕!! ルヴァン杯は浦和、神戸、川崎F、横浜FMがプライムラウンドから出場
ゲキサカ / 2024年11月25日 18時10分
-
来季のJ1は2月14日開幕、J2&J3は15日! ルヴァンカップは浦和、神戸、川崎F、横浜FMがプライムラウンド、広島がプレーオフラウンドから出場
超ワールドサッカー / 2024年11月25日 17時14分
-
3年目の指揮へ…千葉が小林慶行監督の続投を発表「2025シーズンこそ、目標を掴み取ります」
ゲキサカ / 2024年11月25日 16時48分
-
「非常に悔やんだ1年を送ってきました」3年連続PO進出の山形、相田社長が昨季の最終戦セレモニーでの発言を後悔
ゲキサカ / 2024年11月11日 14時9分
-
MF長谷川アーリアジャスールが今季限りで現役引退「この18年間は僕の財産です」…横浜FM、FC東京などでプレー
ゲキサカ / 2024年11月7日 16時52分
ランキング
-
1イチロー氏は米野球殿堂に「満票で選出されない」 米記者が懸念する“風潮”
Full-Count / 2024年12月3日 17時58分
-
2佐々木朗希にあるか?それでも“新たな悪の帝国”ドジャースに行く覚悟…密約疑惑に裏技連発でバッシング不可避
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月3日 11時32分
-
3ソフトバンク育成1位の日本学園・古川が入団辞退「決心がつかず…」
スポニチアネックス / 2024年12月3日 13時2分
-
4田中将大〝要らない〟ヤクルト幹部「戦力として使えない」と撤退 有力と見られていたが…実力本位で判断された事実
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月3日 11時55分
-
5衝撃の72歳まで年俸1.8億円…最悪の後払い ド軍連発で再び注目集める”異次元契約”
Full-Count / 2024年12月3日 17時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください