オフの大型補強はせず…選手獲得は「10人もいない」 3位躍進の町田が描く来季構想【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年12月13日 18時10分
■「今年に関しては『J2で優勝して昇格してきたフットボールがどのくらいJ1で通じるのか』を目標にしていた」
今季のJ1リーグで3位と躍進したFC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)が12月12日、取材に応じて今シーズンを振り返りつつ、来季の構想について語った。昇格初年度で優勝争いに加わった1年を「大変エキサイティングなシーズンだったというのがひとつの印象です。シーズン通じて、何年かにわたって行うようなことを、この1、2年でだいぶ時間を巻いて走ってきました」と振り返った。
優勝を逃したことについて「ガックリきました、確かに」と本音も溢れた。だが、続けて「ただ振り返ってみると、この悔しさも今後の経験の1つ。クラブチームとして忘れずにしっかり今後につなげていきたい。やっぱり神戸さんや広島さんに比べると差が大きい。随分違うという面もありました。上位に定着しているクラブチームと比べると、どういった部分が違うかというようなことを感じながら過ごしました」とも語った。
初めてのJ1について「後半に関してはさすがJ1だなと思いました。お互いに研究しているんですが、その精度も高いと言いますか、やっている選手のレベルも個々の質が高いので、対策をされた時にこちらはそれを上回ろうとするのですが、難しかった」とリーグ全体の質の高さについて驚きを隠せず。黒田剛監督の采配については「今年に関しては『J2で優勝して昇格してきたフットボールがどのくらいJ1で通じるのか』を目標にしていたので、そういった部分ではブレずにしっかり費やしてくれた。中途であまり対策をしすぎると、何が(J1で)通じて何が間違いだったのか分からなくなる。それは来季につながらない。基本型を貫くと、選手たちにもよく言っていました」と来季を見据えた采配だったことを明らかにした。
では、優勝したヴィッセル神戸や2位だったサンフレッチェ広島との差はどこだと感じたのか。
町田に初黒星を付けたのが第6節で対戦した広島、2敗目は第8節で戦った神戸に喫した。ともに町田のホームで、スコアは1-2と差を見せつけられてもいた。なお、第20節で神戸には0-0で引き分けたが、第32節では広島に0-2と敗れた。
終盤戦に力を見せてJ1連覇を成し遂げたヴィッセル神戸【写真:徳原隆元】
■「神戸さんも広島さんも、1年やそこらで充実してきたチームではない」
「神戸さんと広島さんは、本当にすべての面で充実していたという印象がありました。またいい目標ができたな、というぐらいです。やっぱり神戸さんも広島さんも、1年やそこらで充実してきたチームではない。監督さんの継続性だとか、選手も著しく変わらず、この2、3年はしっかり戦い抜いている」
確かにここは大きな差だった。町田は去年から大幅に選手を補強して成績をあげた。2023年は25人が加わり、2024年は24人を補強している。対する神戸の今年の補強は15人、広島は11人。数年かけて戦力を充実させ、戦術を浸透させていった結果が今年だったと言えるだろう。
それでも、どうしても考えたくなるのは、形にこだわらず、もっと勝利だけを目指せばタイトルが取れたのではないか。非難覚悟での移籍戦略をとれば初昇格で初優勝も狙えたのではないかということだ。その点をぶつけてみた。
「采配にもう少し柔軟性があればよかったのではないか」と聞かれた原FDは「それも垣間見えたところはあった」としつつ、「多くの選手が(シーズン途中で)加入して、既存の選手と新しく融合した選手で、獲得した選手に怪我があって出遅れたりしたなかで、最後にFC東京戦、京都戦で形を見出せて、選手たちも融合できて、来季につながるんではないか、というところまで仕上げてきたのは事実」だと、来季を睨んだ方針に間違いはなかったと自信を見せた。
そして「最初に戦ったときに広島や神戸とは差があると分かったはずだ。その主力を引き抜こうと思わなかったのか」と聞くと、原FDは驚いた表情を見せた。
同じようなことは下位のチームで起きていた。たとえば鳥栖は主力が移籍し、移籍した先のチームが鳥栖との対戦でその選手を使うなどということも起きた。自分たちの戦力を充実させるのと同時に、相手の戦力を下げるというのは珍しいことではない。
原靖FDが来季のチーム構想について話した【写真:森 雅史】
■オフの補強は「10人もいないですね。10人はちょっと取れないかという感じはします」
原FDは「彼らがどういう契約をしているかは当然わかっていますし……。そこまで思いつかなかったのは僕の力の至らなさです」とまず一言。そして「神戸さんも広島さんも、選手間の理解度は深掘りと進化していて、深くお互いに切磋琢磨していてすごくたくましい。ですから、ちょっとやそっとじゃ混乱しない」と、移籍を実現させていたとしても、相手に混乱は生まれなかっただろうと分析した。
ならば、来シーズンはどれくらい補強するつもりなのか。原FDは「2年続けて(選手を大幅に)代えているので(来年は)そういったことではなくて、必要な部分を補強していくということになろうかと思います」とした。そして、具体的な獲得人数についても「10人もいないですね。10人はちょっと取れないかという感じはします」と語っている。
来年の目標を聞かれると「そこは今、監督や社長と入念に話をしています」と設定中だという。「今年は5位以内という目標もあったのですが、振り返ってみるとすごく困難な設定でした。来季はマークも厳しくなるでしょうし、こちらもそれを上回ることをやっていかなければいけないでしょう。上位定着という目標や優勝争いを狙えるように定着していくという、そう容易ではないような感じもしますが、期待値も高くなるでしょうし、僕は上位定着を狙うべきポイントだと思っています」とも語った。
「来年こそは優勝を。そのためには大型補強をどんどん繰り返します」と言わないところが原FDらしいと言えるだろう。今は地に足を付けるための努力をしている。まずは2年目のジンクスを乗り越えなければいけない。一方でいざとなれば大胆な手が打てるのも町田である。シーズン途中で日本代表を2人補強するなど、機を見るに敏だ。来季もまた、町田が台風の眼になる可能性は十分にあるだろう。(森雅史 / Masafumi Mori)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
J1初挑戦3位の町田選手が商店街あいさつ回りで応援に感謝 MF下田北斗「タイトルを一つ取れれば」
スポニチアネックス / 2024年12月12日 4時2分
-
「6位は誰もが驚く結果」東京Vの江尻強化部長が躍進の今季総括…レンタル組の去就や来季展望に言及
超ワールドサッカー / 2024年12月10日 17時26分
-
ポヤトス体制2年目は4位へ飛躍&天皇杯準優勝、G大阪が声明「来シーズンは更なる高みを見据え…」
超ワールドサッカー / 2024年12月8日 22時46分
-
J1で3位躍進…町田社長「強豪クラブを作り上げたい」 ACL初参戦の来季編成に見解
FOOTBALL ZONE / 2024年12月8日 18時20分
-
町田3位躍進、影の立役者…藤田晋社長が今季と来季の補強面語る「勝負どころとして、経営者として勝負した」
ゲキサカ / 2024年12月8日 18時2分
ランキング
-
1【フィギュア】坂本花織が史上9人目の4連覇 アクシデント乗り越え世界選手権代表に決定
東スポWEB / 2024年12月22日 20時19分
-
2“有馬記念男”が本領発揮!馬券的中で38万円払い戻しのタレントにネット称賛「本物のスター」「ホントに有馬強い」
スポーツ報知 / 2024年12月22日 16時44分
-
3河村勇輝を「嫌いな奴いない」 選んだNBA史上最高PGに米ファン絶賛「分かってるなぁ」「凄い」
THE ANSWER / 2024年12月22日 18時3分
-
4世界フィギュア日本代表が決定 男女6人は鍵山優真&坂本花織ら、注目の男子3枠目は壷井達也
THE ANSWER / 2024年12月22日 21時32分
-
5バレー栗原恵が第1子出産を報告「私たちをパパとママにしてくれてありがとう」スポーツ界から祝福殺到
THE ANSWER / 2024年12月22日 22時6分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください