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本田圭佑「普通に蹴れよ」 槙野の秘策をあえなく“却下”…PKの裏で交わされたやり取り

FOOTBALL ZONE / 2024年12月15日 11時10分

■「現役時代も物議を醸したトリックPKをしようとしていました」

 レジェンドたちが大集結した。12月14日にノエビアスタジアム神戸で行われた槙野智章氏の引退試合「槙野智章 大感謝祭〜1日限りのワッショイ劇場〜」には、DF吉田麻也(LAギャラクシー)やMF香川真司(セレッソ大阪)、MF乾貴士(清水エスパルス)といった日本代表や所属したサンフレッチェ広島、浦和レッズ、ヴィッセル神戸でのチームメートら、錚々たる顔ぶれが集結。槙野氏に“花を持たせた”のが、MF本田圭佑だった。

 3-0で「槙野ジャパン」が勝利したこの試合で1点目を決めたのは、主役の槙野自身だった。前半23分、本田が放ったシュートが相手DFの手に当たり、ハンドでPKを獲得した。「遠慮して“らしく”なかったので『蹴れよ』って」。DFラインで遠慮がちに見ていた槙野氏に手招きしてPKを蹴るように促したのが、ほかでもない本田だった。

 本田に促されてスポットに歩みを進めた槙野氏は、実はある“秘策”を温めていた。「現役時代に物議を醸したトリックPKをしようとしていました。ちょこんと蹴って本田選手に決めてもらおうというのをやろうとしていたんですけど……」。PKでシュートせず、少しだけ前に蹴り出して他の選手が決めるという“トリックPK”。広島時代に脚光を浴びた秘策を試みようとしたが、本田にこう返されたという。

「いや、オマエ、普通に蹴れよ」

 提案はあえなく“却下”されて槙野氏は普通にPKを蹴ることに……。現役時代と同じく、GKに背を向けた状態で立って助走に入る“クルッとPK”でゴールネットを揺らした。本田と槙野氏というかつて日本代表でともに戦っていた2人の間では、こんなやり取りが繰り広げられていた。

 この日、本田は「監督」の予定で、発表されたスターティングイレブンの中にその名前はなかった。本田自身も「最初は出るつもりなかったんですよ」と試合後に語っていたが、蓋を開けてみると、試合開始時点でピッチ上に姿があった。

「宇佐美と森重が出られないっていうのが分かって。単純に人数が足りないんで、浦和から宇賀神借りたけど、宇佐美のところを誰がやんねんってなって。(原口)元気を中盤にしても良かったんですけど、そうするとまた浦和から連れて来ないといけなくなるんで『じゃあ、もう俺やるわ』って」

 この日、宇佐美貴史(G大阪)が欠場。森重真人(F東京)もプレーできない状況にあった。人数が足りなくなる恐れがあったため、急遽、本田も出場することになった。こんな偶然もあって、PKで“ドラマ”は生まれ、後半アディショナルタイムには本田圭佑“監督”が槙野氏の妻で女優の高梨臨さんをピッチに送り出したのだった。

 日本代表の一員としてファンを魅了してきたレジェンドたちによる“お祭り”。「自分が楽しむよりも会場に来ていただいた方々に来て良かったと思ってもらえる1日、試合にできればなと思って、メンバー構成を考えました」という槙野の思いが詰まった節目の1日になった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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