プロ内定逸材がいても…全国逃し「頭が真っ白」 思わぬ波乱、どん底に落ちた次期エース候補

■選手権逃した神村学園、次期“14番候補”2年生アタッカー福島和毅

　神村学園高校（鹿児島）の次期“14番候補”がプレミアリーグWEST最終戦で躍動を見せた。1年時からレギュラーとしてプレーする2年生アタッカー福島和毅は、静岡学園との一戦でチームの先制点を叩き出した。来季ガンバ大阪入りが内定した現14番の名和田我空のパスをゴール前でコントロールしてから冷静にゴールに押し込んだ。

「大好きな3年生たちとやる最後の試合だったので絶対に勝ちたかった。点は取れましたが、結果は2-2の引き分け。今年ずっと有村圭一郎監督に言われ続けてきた『勝ちきれない』という弱さが最後の最後でも出てしまった。来年はこの反省を生かして、自分が引っ張っていかないといけないと思っています」

　悔しさに満ちた表情を見せる彼は、「まだ気持ちを切り替えられていないです」と口にするように、11月の全国高校サッカー選手権大会鹿児島県予選決勝のショックが深く残っていた。同じプレミアWESTに所属する鹿児島城西との決勝戦、インターハイ準優勝という看板を提げた神村学園の連覇の可能性が高いと言われていた。しかし、多くのチャンスを作れど決めきれず、後半に相手のエースに決勝弾を浴びて0-1の敗戦。全国への道は途絶えた。

「負けた瞬間は悔しいというか、頭が真っ白で何も考えられませんでした。神村学園が選手権に出られないというイメージがあまりなかったので、正直気持ちを切り替えることはできませんでした」

　それでもプレミアWESTの3試合が残っている。優勝も降格もないが、チームを引っ張ってきてくれた名和田らタレント揃いの3年生たちと全力でサッカーをしたい。モヤモヤを抱えながらも、福島は10番を背負ってチームのために走った。

「恩返しの気持ちも込めて全力で戦おう」と言い聞かせての3試合。ボールキープ力に長け、ターンスキルのうまさと複数のパスコースを見出して正確なパスを通すスキルは一級品。常にゲームの流れを損なわずに正確なプレーで攻撃のリズムを生み出したり、起点となったりするプレーは見ている人を魅了する。自分らしいプレーを彼はチームのために発揮した。静学戦のゴールは来季に向けての決意の表れだった。

「これが最後になってしまうのは悲しいですが、僕ら下級生は来季に向けて準備しないといけません。今年の僕らがずっと守備で課題だった肝心な時にマークを外してしまって、最後にやられてしまうという部分が最後まで解消しきれなかったので、来年は繰り返さないようにやっていきたいです。個人的にもプレー面で我空さんなど3年生に任せてしまっている部分があった。自分で点が取れるようにならないといけないと思っていたので、最終戦でゴールできたことは意義あることだと思います。自分の中で点を取る、得点力が課題で、ずっと我空さんたちとシュート練習をしてきたので、来年は我空さんの役割を自分ができるように自覚を持ってやっていきたい」

　来季、名和田から14番を引き継ぐ可能性がある。同時にキャプテンマークも引き継ぐかもしれない。これから始まる高校選手権は複雑な思いを抱いて見ることにはなるが、来年同じ思いを繰り返さないように、これまで歴代の先輩たちが果たせなかった全国制覇を成し遂げ、次なるステージに進めるように。注目の2年生アタッカーはこれからに向けて顔を上げている。（FOOTBALL ZONE編集部）