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「夢だった」なでしこ指揮官就任…ニールセン新監督が考える“新生日本代表”のチーム作り

FOOTBALL ZONE / 2024年12月19日 10時30分

■なでしこジャパンニールセン新監督が明かした選考方針

 日本サッカー協会(JFA)は12月18日に東京都内でなでしこジャパン(日本女子代表)のニルス・ニールセン新監督の就任会見を行った。史上初の外国人監督となったニールセン氏は、決意を持ってプレーできる選手を大前提としながら「テクニカル、戦術にもいろいろなことができる選手をミックスする」と、その選考方針を語った。

 JFAの宮本恒靖会長は、今回なでしこが外国人監督を探したことについて「情報は瞬く間に世界に広がり、かなり多くの人からコンタクトがあったのは事実。大きなインパクトがあったと思っている」と話す。そして、日本にコンタクトを取った人物の1人がグリーンランド出身でデンマーク国籍のニールセン新監督だった。デンマーク女子代表、スイス女子代表の監督を歴任し、2023年からMF長谷川唯らがプレーするマンチェスター・シティ女子チームのテクニカルダイレクターも務めていた。

 若くして怪我に見舞われて選手としての道を諦めたと話すニールセン新監督だが、その中で年齢制限の枠を超えて指導者養成コースへ参加するチャンスを得たという。そこで感じたのは「分かったのは、選手よりコーチに向いていたということ。当時はそう思えずにつらかったが、怪我の功名というか、やっているうちにコーチングのほうが長けていると分かった」という、天職への導きだった。

 11年の女子ワールドカップ(W杯)を制したことが知られるなでしこについて「日本の女子選手の性格を見ながら、それにあった戦術やカルチャーを作り上げるのは簡単ではないが、それがハマったのが日本女子サッカーだと思う。あれは簡単にコピーできるものではないが、世界中で自分のチームであれができないかと模索し、私も自分のチームでやるようになった」と話す。そして「今までなかった外国人も監督候補に入れると聞いて、私にもチャンスがあると思った。日本のようなチームを率いるのが夢だったとはばからず言いたい」と、就任への思いを語った。

 その新指揮官が作るチームとは、どのようなものなのか。そして、日本国内はもちろん、今では欧州やアメリカも含め世界中でプレーする選手たちをどのように選考していくのか。ニールセン新監督は「タイプとしては、非常にポジティブな人間だと思う。これができないから選ばないではなく、これができるから選ぶと考える」としたうえで、ベースとしてメンタリティーに大切なものがあると力説する。

「勝つため、何かを達成するために必要なのは強い気持ち。『失敗したら嫌だ』ではなく、勝ち取りにいく気持ちだ。そのためにも、チャンスがあれば掴み取りに行くことが大事であり、スタッフも含め自信を持つこと。エンパワーという言葉になる。ベストな自分であることが勝ち取るために必要だ」

■来年2月予定の初陣へ「その時点で準備ができている選手を選ぶ」

 さらに、プレー内容について「いろいろなタイプの選手を選ぶことになる。同じタイプの選手を選ぶと、何か欠けているものが出る。1人1人、自分のいいスキルが何かを分かっていて発揮できるのが大切。もしヘディングが得意なら、どんな状況でも責任を持って自分がヘディングをするというのが私にとっていい選手。テクニカル、戦術にもいろいろなことができる選手をミックスする。若手のやりたい放題するクレイジーなところがある選手にも見どころがある」と話し、年齢層も含め多彩な選手を集める方針を明らかにしている。

 日本人選手を見て感じる2つの良さが戦術理解力とパスサッカーへの理解だと話す指揮官は、「どうやって相手にボールを取られずに動かすかを理解しているとクラブの試合を見ていても思う。それは日本の育成プログラムが成功しているということだろう」として、伝統的な日本女子のスタイルに長所を見出していることを明らかにした。大方針として「自分がイニシアチブを取りに行くこと。相手が支配する前にこちらが支配する」と話したこともあり、より主体的なサッカーへとシフトしていくプランが垣間見える。

 初陣は来年2月に予定されているシービリーブズ・カップになる見込みだ。WEリーグがウインターブレイク中であり、欧州はシーズン真っただ中、米国はリーグ戦の開幕前と、日本選手がプレーする主要な3地域で全く状況が異なる。それだけに「言えるのは、その時点で準備ができている選手を選ぶこと」として、「クラブ事情もあるので私が思う準備ができていない選手もいるだろう。今回に選ばなかったからと言って、永久に選ばないわけではない」と話す。それだけに、少し時間もかけながら新たな姿が見えていくことになるだろう。

 昨年の女子W杯ではスペインを相手に快勝したようにカウンターがハマる試合もあったが、今夏のパリ五輪を見れば消極性に見える部分もあったことがJFAの中でも議論になったことを佐々木則夫女子委員長が明らかにしていた。代表チームを率いての国際経験があり、マンCの女子チームで世界最先端を知る指揮官に率いられたなでしこジャパンが、再び世界の頂点に返り咲くことができるのか。これから約3年半後のロス五輪を頂点としたサイクルでの成果が期待される。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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