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森保J入り候補が多数…J1国内組「伸びしろベスト11」 日本人最多19ゴールで来夏E-1招集も【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年12月20日 8時30分

■開幕時点から大きく評価を高めた“伸びしろベスト11”を選出

 今年のJリーグも全日程が終了した。すでに公式のベストイレブンも表彰されたが、今回は開幕時点から大きく評価を高めた選手を“伸びしろベスト11”に選んだ。プロ初挑戦となったルーキーや新外国人選手、MVPの武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)など、昨シーズンも優秀選手にノミネートされたような選手は対象外としている。(文=河治良幸)

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 GKは松本健太(柏レイソル)を推したい。大卒5年目、スタメンに定着して2年目だが、得点力不足に苦しむチームにあって、幅広く、粘り強いゴールキーピングで、ロースコアでの勝ち点をもたらした。終盤戦は後半アディショナルタイムの失点が続いてしまったが、研究熱心な選手であり、さらなる成長の糧にしていきそうだ。柏はアルビレックス新潟から小島亨介の獲得が濃厚と伝えられるが、オフの動向が注目される。

 最終ラインは中野就斗(サンフレッチェ広島)、佐々木旭(川崎フロンターレ)、三國ケネディエブス(名古屋グランパス)、鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)の4人を選んだ。中野は昨シーズンから右ウイングバックとして評価を高めたが、今シーズンはチーム事情もあり、3バックでの起用も増えたなかで、攻守に奮闘。5得点5アシストを記録した。空中戦の対応など、さらに守備脅威を高めることができれば、日の丸に袖を通す日も遠くないかもしれない。

 佐々木は4バックと3バックという違いはあるが、中野と同じくサイドバックに加えて、センターバックとして新境地を開拓し、評価を上げた1人だ。ルーキー時代もポテンシャルに関しては日本代表の森保一監督も名指しで注目するほどだったが、要所でのミスなど、波が目立ったことも確かだ。しかし、守備の要とも言えるポジションを任されるなかで、守備面の安定感とカバー範囲がアップした。佐々木に関しても来年は本格的に代表を現実目標にしていくシーズンになるだろう。

 三國は福岡での実績から、1年目で名古屋の主力に定着すると予想できた人は少ないかもしれない。しかし、怪我人が出るなど開幕時から、なかなかディフェンスが安定しなかったなかで、長谷川健太監督の信頼に応えパフォーマンスを上げた。恵まれたサイズと身体能力の目立つ選手ではあるが、3バックの中央でディフェンスの統率力を高めたことは、ここからのキャリアに間違いなくプラスだろう。

 鈴木はプロ入り3年目にして、飛躍的な成長を遂げた若手だ。MF登録の選手だが、6月1日のガンバ大阪戦で3バックの中央で初スタメン。その試合は1-2で敗れたが、徐々に左センターバックとして定着し、前半戦は降格圏に低迷していた湘南の夏場以降の躍進を支えた。守備範囲の広さとプレッシャー負けせずにボールを捌ける能力はバックラインでも有効だが、守備の防波堤となるセンターバックを経験したことで、もし来年アンカーのポジションに戻ったとしても、存在感あるプレーを見せてくれるかもしれない。

■大迫勇也&武藤嘉紀だけではない…川崎から新加入FWが神戸2連覇に大きく貢献

 中盤はアンカーに鈴木徳真(ガンバ大阪)、攻撃的なMFとして名古新太郎(鹿島アントラーズ→アビスパ福岡)と宮代大聖(ヴィッセル神戸)をピックアップした。鈴木はセレッソ大阪から新天地のG大阪に移り、まさしく“チームの心臓”としてボール回収と起点のプレー両面で、違いを作り出した。多くの試合で2ボランチのコンビを組んだ相棒ダワンが幅広い攻撃参加を見せられたのも、鈴木のサポートが大きい。

 名古は格好のチャンスメイカーとして鹿島の攻撃にバリエーションを加えて、5得点9アシストを記録。これまでのキャリアハイを大きく更新した。大黒柱の鈴木優磨に負担が大きい攻撃陣にあって、相手のプレッシャーに怯まないテクニックとセンスは大きな武器となった。攻撃的な選手としては守備の献身性も高く、ボランチやサイドハーフなど、中盤のポリバレントとしての価値も高いが、2列目のインサイドが一番輝ける働き場所だろう。

 宮代は川崎でトップ昇格し、これまで主にFWとしてJ1だった徳島ヴォルティスで7得点、サガン鳥栖で8得点、昨年は川崎でも8得点をあげたが、神戸での新たな挑戦となった今シーズンはインサイドハーフに新境地を見出して、前向きな仕掛けや飛び出しを発揮して11得点。プロのキャリアで初の二桁得点という結果もさることながら、インテンシティーの高い守備から起点のプレー、大迫勇也や武藤嘉紀との連動など、幅広いパフォーマンスが目立った。彼の活躍なくして、神戸のリーグ2連覇、天皇杯との2冠は語れない。

 前線は山田新(川崎フロンターレ)、ジャーメイン良(ジュビロ磐田)、山見大登(東京ヴェルディ)の3人だ。山田は大卒2年目にしてブレイクを果たし、数字もルーキーイヤーの4得点から19得点に大きく伸ばした。開幕時はベンチスタートだったが、結果を出しながら鬼木達監督の信頼を高めると、7月20日の柏戦から3試合連続の2得点。その後もコンスタントに結果を残すと、11月30日の東京ヴェルディ戦ではハットトリックを達成して話題をさらった。来シーズンは心身ともにエースとして、新体制となる川崎を復権に導くシーズンになるか。

 ジャーメインは磐田在籍3年目にして、初の2桁得点を達成しただけでなく、山田とともに日本人最多の19得点を記録した。途中、額の骨折で離脱したことが悔やまれるが、復帰後は負傷箇所を気にすることなく、ゴール前に飛び込む姿勢は正真正銘のストライカーのそれだった。来年4月に30歳となるが、今年の成長を考えればさらにパフォーマンスを伸ばしていける余地がある。最終節の鳥栖戦には森保監督も視察に来ていたが、来夏予定されるE-1選手権は代表入りのビッグチャンスかもしれない。

 山見はG大阪からの期限付き移籍ながら、東京ヴェルディのJ1での躍進を牽引したアタッカーの1人だ。G大阪の特別指定選手だった2021年シーズンから抜群の攻撃センスが目を引いたが、プレーの継続性などに大きな課題があった。彼を大きく変えたのは城福浩監督との出会いだろう。持ち前の鋭い動き出しや仕掛けに状況判断が加わり、守備面でも改善が見られた。7得点5アシストという成績はなかなかのものだが、その姿勢を忘れることなく、チーム戦術に個の力を乗せて行くことができれば、代表クラスに飛躍していくことも可能だろう。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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