名門校2ボランチは「全国屈指の実力派」 プロ入り逸材以外にも注目株…飛び抜けたタレント集団
FOOTBALL ZONE / 2024年12月20日 7時30分
■選手権V候補の静岡学園、タレント集い際立つ層の厚さ
2年連続15回目の高校サッカー選手権出場を果たした静岡学園。「リズム、テクニック、インテリジェンス」のスローガンに表されるように、卓越した個々のテクニックを持ち、それぞれが周りとの連動性の中でテクニックを発揮して、チーム全体のリズムとインテリジェンスを生み出していく。今年もそのテンポの良いサッカーを展開するチームとして大会の優勝候補と目されている。
チームを率いるのはOBであり、コーチとして12年、監督として16年目を迎える川口修監督。スローガンを生み出し、静学の礎を築いた井田勝通前監督の理念と信念を引き継ぎながら、新しいエッセンスを加えたことで、令和の今でも静学スタイルを継承、発展させている。
「ただ好き勝手にやるのではなく、守備やポジショニングなどのやるべきことをきちんとやりながら個を出すことが大切だと思っています」
こう川口監督が語るように、自己満足的に自分のテクニックを披露するのではなく、連動した守備とプレスをするためのポジショニングを取りながらも、守備からマイボールに切り替わった瞬間からのプレーの質で技術とアイデアを発揮する。細かく言うと、ファーストタッチの質とアイデア、運ぶドリブルと突破するドリブルの使い分け、パスの出し方の工夫、アタッキングエリアで瞬時に相手の裏をかくなど、試合の流れを損なわないで持ち前の技術とアイデアをフルに発揮することが静学サッカーの土台にある。
試合に活きる技術を発揮する。今年のチームもそれができる魅力的なチームに仕上がっている。
注目選手を挙げるとGK有竹拓海、CB(センターバック)岩田琉唯、右サイドバックの野田裕人、篠塚怜音と堀川隼のダブルボランチ。184センチのサイズと冷静な判断力が売りのGK有竹は、2年生とは思えない落ち着きと的確なコーチングを見せる。CB岩田は最終ラインのコントロールとボールを奪ってからのビルドアップに非凡なものを見せ、2年生の篠塚は広い視野と静学らしいテクニックを兼ね揃えた攻守の要。篠塚とコンビを組む堀川は初速の速さとファーストタッチのうまさを生かした縦への推進力が武器で、このダブルボランチは全国屈指の実力派と言っていいだろう。
そして最注目となるのが川崎フロンターレ入り内定のDF野田だ。昨年から高い守備スキルと攻撃能力を併せ持つサイドバックとして注目の存在だったが、今年は1年間怪我に悩まされた。春先に5か月離脱し、ベスト8に進出したインターハイでは1試合置きの出場という制限の中で2試合にスタメン出場し、相変わらずの対人能力の強さとビルドアップ、オーバーラップの質の高さを見せつけた。
だが、その後に再び負傷して4か月の離脱。だが、選手権前の高円宮杯プレミアリーグWEST最終戦で復帰。本戦にはコンディションを上げて臨むことができそうなのはチームにとって明るいニュースだ。
さらに今年は中盤から前の選手が多くの実戦経験を積んでいる。特にアタッカー陣は個性的な人材が揃う。プレミアWESTでチーム内得点王のMF乾皓洋、4ゴールの天野太陽と加藤佑基、そしてテクニックの引き出しが多いFW原星也にパンチ力のある大木悠羽、運動量豊富な2年生MF四海星南、カットインを得意とするMF池田双葉などがいる。さらに2年生ながら10番を背負うMF山縣優翔はここ最近出番を減らしているが、昨年の選手権も経験しており、ブレイクスルーが期待される選手だ。
正直、誰が出てくるかの予想が難しいほどの多種多様な組み合わせが出来るのが今年の静学の強さと言っていい。
脈々と引き継がれる土台の上に成り立つ多彩な組み合わせ。「リズム、テクニック、インテリジェンス」をピッチに表現する緑の軍団は、今年の選手権において注目するべきチームの1つである。(FOOTBALL ZONE編集部)
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