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J1判定は今季“9割”の精度「満点ではない」 優勝クラブ劇的弾まで3分35秒、理想は2分短縮

FOOTBALL ZONE / 2024年12月20日 10時30分

■JFAが神戸FW武藤のゴールシーンに言及

 日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は、12月19日に今季最後のレフェリー・ブリーフィングを実施。シーズン全体のレフェリングの精度などをデータから振り返ると同時に、具体的な場面として柏レイソルとヴィッセル神戸の試合におけるFW武藤嘉紀のゴールシーンが取り上げられた。

 今季、チーム数の増加で全体380試合に増加したJ1において、試合の中での重要な判定、得点やPK、退場に関わるものをまとめたキー・インシンデント(KI)という場面をピックアップして佐藤隆治JFA審判マネジャーが説明した。その中では、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の協力を得たものも含め、主審が判断すべき事象で91.2%、副審では98.0%の精度で正しい判定ができていたとした。

 これについて佐藤マネジャーは「現場の判断、VARも含めても昨季から上昇したが、満点ではない。KIの中では、2枚目の警告にもフォーカスしている。本当は出すべきだった、あるいは出さないべきだったものもあるが、その点についてはVARが介入できないもの。実際に100%にするのは現実的に難しいが、その数字をさらに上げることを考える」と話した。

 また、J1全体でのVAR介入は119回で約3.2試合に1回だったという。なかでも、VARのみの判断で事実に基づき判定を変更する「オンリーレビュー」の回数は74試合少なかった昨季と同じ39回だったこともあり、主な理由になるオフサイド判定についてフィールド上で行う副審の判定精度が上がっているという見方を示した。また、主審が映像を確認する「オンフィールドレビュー」を行った理由の多くはPKに関するものであり、中でも最多だったのはペナルティーエリア内のハンドによるものだった。

 そして、J1リーグ第37節の柏と神戸の試合において試合終了間際に武藤がゴールしたものの一度はオフサイドと判定され、VARの介入によりゴールに判定が変更された場面では全体で3分35秒を要した。この場面について佐藤マネジャーは「判定を正しいものにしたことは良かったこと。1つ1つの確認作業の全てが悪かったわけではない」としながらも、時間短縮につながる改善点があったと説明している。

 公開されたビデオ・オペレーション・ルーム(VOR)と主審の交信音声と映像から、神戸DF酒井高徳がこぼれ球をゴール前に蹴り入れる場面から、誰がオフサイドポジションにいてプレーに関与していくかの確認に多くの時間がかかっていた。その中で、柏のDF関根大輝の右足が最終ラインになり、FW大迫勇也の位置がオンサイドであるのは映像から判断するのは難しくなかったが、3Dラインの作成やカメラアングル問題から2Dでのラインを引きなおすなど多くの手順を踏んでいた。

 佐藤マネジャーは「判定変更では証拠映像が欲しいものであるため、神経質になった面もある。その気持ちも十分に理解できる。しかし、来季の開幕前研修では審判員にも伝えたい。理想で言えば、1分20秒くらいで判定変更を主審に伝えられたと思う。(画面上の)ラインがなくてもゴールラインカメラの映像があれば(オンサイドと)理解されるものだろうということ。まず、この2人にはすごいプレッシャーの中でよくやってくれたと思うが、それをもっと早くやるのが僕らであり期待されている」と話す。

 そのうえで、VARとピッチ上との交信を含む面での審判員へのフィードバックについて「毎節の映像を見ていって、2つ、3つの映像クリップを作り担当者全員に配る。そこに厳しいメッセージがついて届く。たまたま何も起きていないことも多いが、基礎的なものがおろそかになっていると事故が起こるということを伝えたい」と、佐藤マネジャーは話していた。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

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