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名将も認める実力…久保建英に96億円「高くない」 番記者が移籍に太鼓判「相性はいい」【現地発コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年12月21日 7時20分

■久保のアトレティコ移籍報道は初耳も…番記者「スタメンを張れる」

 久保建英の去就報道はもはや毎年の恒例行事と化している。その理由はもちろん、彼が年々パフォーマンスを高め、優れた結果を残し続けているからだ。以前から移籍先の候補としてリバプールを筆頭としたプレミアリーグの名前が出ているなか、最近日本では「アトレティコ・マドリードのディエゴ・パブロ・シメオネ監督が久保を欲している」というスペインメディア発のニュースが頻繁に取り上げられている。

 シメオネはレアル・ソシエダと対戦するたびに久保への警戒を口にし、ピッチで対策を施しているので、その実力を認めているのは間違いないだろう。そのため自分の指揮下に置きたいと考える可能性は十分あり、「久保獲得を希望」という報道は現実味のある話なのかもしれない。

 しかし、実際にレアレ・アレーナで試合日にクラブの番記者やサポーターにその報道について確認してみると、アトレティコのホームスタジアムの時と同じように、話を聞いた限りでは誰も知らなかった。

 スペインのラジオ局「オンダ・セロ」でUEFAヨーロッパリーグ(EL)リーグフェーズ第6節ディナモ・キエフ戦(3-0)の実況を務めた、クラブの番記者を務めるイニゴ・タベルナ記者もその1人。「リバプールやほかのプレミアクラブの話は聞いたことがあるが、アトレティコが狙っているという報道は初耳だ。そのニュースを流しているメディアは『エル・パイス』紙や『マルカ』紙などとは違って信頼度が低い」と一蹴した。

 しかし久保のプレーを日々目の当たりにしているタベルナ記者はその実力を大いに買っており、何よりもフィジカルやハードワークを優先するシメオネの下でも十分できると考えている。

「久保は守備において多くのボールを争って奪い、リトリートもやるハードワーカーなので、おそらくシメオネのサッカーにも上手くハマるはずだ。彼はクラック(名手)で、どんなチームでもレギュラーになれるポテンシャルがある。もちろんアトレティコでもスタメンを張れると思うし、アントワーヌ・グリーズマンやフリアン・アルバレス、かつての同僚アレクサンデル・セルロートなどとの相性はいいと思う」とレギュラー獲りに太鼓判を押した。


スペインラジオ局「オンダ・セロ」のイニゴ・タベルナ記者(左)とスペインラジオ局「カデナ・コペ」のマウリシオ・イディアケス記者(右)【写真:高橋智行】

■アトレティコ行きのハードルは茨の道「彼は分かっていると思う」

 6000万ユーロ(約96億円)に設定されている久保の契約解除金をアトレティコが支払えるかという問いには難色を示しつつ、タベルナ記者は「現在、莫大な資金力を持つクラブが増えている。例えばニューカッスルが2年前、アレクサンデル・イサクを獲得するために7000ユーロ(約112億円)を支払ったことを思い出してほしい。今の久保はラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)の頃のイサクと同レベルにあると思うので6000万ユーロはさほど高くない。欧州の主要クラブにとっては十分払える金額だ」と、久保がさらなる飛躍を遂げる上で大きな問題にはならないことを強調した。

 しかし、スペインのクラブにそれはおそらくほとんど当てはまらない。今夏の移籍市場で久保の契約解除金より高値の選手は、アトレティコが7500万ユーロ(約120億円)で獲得したフリアン・アルバレスのみ。2番目に高額の選手はFCバルセロナのダニ・オルモだが、5500万ユーロ(約88億円)だった(※両選手とも出来高払いは除く)。コロナ禍以降、スペインの移籍市場がまだ冷えた状態であることを考えると、アトレティコ行きのハードルは高いのかもしれない。

 スペインのラジオ局「カデナ・コペ」でレアル・ソシエダの番記者を30年以上務めるマウリシオ・イディアケス氏も、久保のアトレティコ移籍関連の話は聞いたことがないと首を振った。一方、実際に加入した場合の見解はタベルナ記者と異なり、その先にあるのは茨の道だと考えている。

「ドリブルでの突破力に優れている今の久保なら、どのチームにもフィットすると思う。でもアトレティコにはグリーズマン、フリアン・アルバレス、アンヘル・コレアなど、素晴らしいタレントがたくさんいる。ラ・レアルでは文句なしのスタメンだが、ほかのビッグクラブではおそらくレギュラーではなくなること、出場時間が大きく減る可能性があることを彼は分かっていると思う。移籍先でラ・レアルほどの幸せを得られることはないのではないか」

 アトレティコ関連報道の信憑性はともかく、久保は今季ソシエダで3年目を過ごしているため、さまざまな意見はあるものの、新たなステップを踏むためのターニングポイントを迎えているのかもしれない。(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)

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