なぜサッカー選手→芸人へ? 「お前は雇えない」…SNSで状況一変、100万回再生された異例キャリア【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2024年12月23日 8時30分
■南米サッカーを経験したマリンボブ氏は引退後、現在は芸人として活動中
パラグアイ、ボリビアの南米で約8年半プロサッカー選手としてプレーし、引退後はピン芸人として活動しているのがマリンボブ氏(本名:松本磨林/吉本興業)だ。20代後半に差しかかった頃、現地ベテランFWのうまさに衝撃を受けて引退を決意。日本に帰国後、異例のキャリアを歩むマリンボブ氏に今の苦労を尋ねた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全4回の4回目)
◇ ◇ ◇
単身でパラグアイに渡り5年。一時帰国後、ボリビアに挑戦し3年半プレーした。マリンボブ氏が憧れた南米サッカーを、自ら体現できるようになる。“粗々しいプレー”で現地の監督、コーチ、選手の心を掴んだ。だが26歳の時にサッカーを辞めて、日本に帰国しようと決意する。当時ボリビアチュキサカ州1部デポルティーボ・アレマン・デ・スクレで主力だったマリンボブ氏を、チームは必死に引き止めた。
「チームが降格プレーオフに進んでしまって。会長に『辞めます』と伝えたら『いや無理だよ』と言われました。当時外国籍選手が僕を合わせて3人いたのですが、みんな『降格プレーオフなんか戦いたくない』と」
ただチームメイトだったベテランのウルグアイ人FWフアン・ダニエル・サラベティが見せるプレーと、自身の現状に大きな差を実感し「心を打ち砕かれてしまった」マリンボブ氏の意思は固い。「お前がいないとまずい」と会長に言われ引き止められていたが、「帰国したら追ってこられないだろう」と即座に日本への帰路に着いた。
FacebookなどのSNSでは帰国後も「お前いまどこにいる? まじでふざけんなよ」といった趣旨のメッセージがしきりに届いていたがお構いなし。「契約書はあってもないようなものなので」と無視し続けた。
その後日本で再就職先を探したマリンボブ氏は、まずサッカーコーチの門を叩く。だが「日本での社会人経験がないからお前は雇えない」と突っぱねられてしまった。悩んだ結果、次に思い浮かんだのが“芸人”だった。「お笑いについて全く無知だった」マリンボブ氏は、芸人の名前さえ分からない状態。長らく南米で過ごしたマリンボブ氏にとって、まさに「浦島太郎」状態で、「まずはYouTubeチャンネルでM-1などのネタを最初から見て」研究することから始める。
【写真:本人提供】
■「何が面白いのか面白くないのか」試行錯誤しつつ、100万回再生超えの動画も
最初はコンビを組んでネタを披露していたマリンボブ氏。だが解散してピン芸人になる。どうしたら有名になれるのか。悩んだマリンボブ氏はお笑い芸人の河本準一さんが監督として率いる芸人×サッカーチーム「SMILERS(スマイラーズ)」にも所属し、そこでの出会いが希望の光を与えた。
「チーム内で行う一連の“くだり”があるんです。スペイン語の発言を『マリン今何言ったの?』と聞いてもらい、僕の回答に『全然違うことじゃないか!』みたいな突っ込んでもらう。ある時、スマイラーズで同僚の今日だろう京太郎さんが『マリン、それ(YouTubeチャンネルの)ショート動画で上げてみなよ』とアドバイスしてくれたんです」
その後、YouTubeチャンネルのショート動画投稿を活発化。始めた頃は「何をやればいいか分からない」状態だったが、今日だろう京太郎さんのアドバイスも受けながら試行錯誤。すると“南米サッカーあるある”がSNSで話題となり、100万回再生を超えるショート動画も出てきた。今でも「何が面白いのか面白くないのか。言っていいところなのか悪い部分なのか。線引きが難しいですね」と悩みは尽きないが、マリンボブ氏はそれも楽しみながら投稿を続けている。
そんなマリンボブ氏の新たな目標は……。「できればR-1優勝という思いもありますが、SNSで行けるところまで行ってみたいですね。僕の動画を見て、サッカー選手が南米に行って、日本人ではまだ獲得したことのないコパ・リベルタドーレスで優勝する選手が出てきてほしいです」と野望を明かす。
「優勝して、『マリンボブの動画きっかけで来ました』みたいにインタビューで答えてもらえたら最高。そのために突き進んでいきたいです」。サッカーとシンクロさせた夢を追いかけて。マリンボブ氏は、今日も“芸人”として笑顔を届けている。
[プロフィール]
マリンボブ(まりんぼぶ)/本名、松本磨林(まつもと・まりん)。1988年12月30日生まれ、埼玉県出身。オリンピアU-20(パラグアイ)―ウマイタ・フットボール・クラブ―ヘネラル・カバジェーロ・デ・カンポグランデ―サンマルティン(ボリビア)―ラ・マキナビエハ・ミルトン・メルガール―デポルティーボ・アレマン・デ・スクレ。18歳で単身南米へ。GKから半年でフィールドプレーヤーに転身。南米サッカーを8年経験し帰国。現在はピン芸人“マリンボブ”として、スマイラーズ(芸人で構成されたサッカーチーム)に所属する。日々自身のSNSで発信する“南米サッカーあるある”が人気を博す。(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)
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