争奪戦勃発…J1オファーが「一番成長できる」 ナンバー10の進路は「高卒プロ一択」
FOOTBALL ZONE / 2024年12月23日 7時50分
■大津高校MF嶋本悠大、清水入りの背景と高校最後のステージで見据える野望
攻守において圧巻の存在感を放った。大津高校のナンバー10・嶋本悠大は、高校年代の真の日本一を決める高円宮杯プレミアリーグファイナルでボランチとして、横浜FCユースから攻撃の芽を積み、かつ二重、三重の攻撃を生み出す土台になった。
180センチのサイズを持つ嶋本の特徴は、運動量、フィジカルの強さ、足もとの技術、攻守の切り替えの際に見せる質の高い判断力にある。特に4つ目の能力は突出していて、攻撃から守備に切り替わった瞬間には相手の立ち位置とボールの位置を見て、スペースを埋めたり、鋭い出足でボールを奪いに行ったりするなど、カウンター阻止の急先鋒となる。逆に守備から攻撃に切り替わった瞬間には、すぐにチャンスとなるスペースに飛び込んだり、カウンターを仕掛けるボールホルダーのサポートに入ったり、自分がボールを持っている時には運ぶドリブルと突破のドリブルを使い分けてカウンターの起点になる。
この卓越した技術がファイナルの舞台でも存分に発揮されていた。前半は前からのプレスに加え、長身FW兼松将と俊敏性のあるFW山下景司の2トップと絶妙な距離感をとって、奪ったボールを送り込んではサポートに入ってセカンドボールを回収し続けた。
彼自身からはゴールこそ生まれなかったが、嶋本の攻守をつなぐ強力サポートを受けたチームは3-0で完勝し、大津高として初の全国制覇を手にした。
「あまり優勝の実感は湧いていません。プレミア前期はまず残留を目標にしてきたのですが、1つ1つ勝ち点を積み上げていくにつれて、後期に入る時には目標はファイナルと上方修正されてきました。そこに向けて1試合1試合全力で戦ってきた成果が出たので、素直に嬉しいです」
■「僕は小さい頃から憧れて大津に来た」
試合後、こう感想を口にした彼は来季、J1に昇格する清水エスパルス入りが内定している。実はJ1、J2の6つものクラブの練習に参加し、うちJ1、J2の3クラブから正式オファーをもらったうえで、選んだのが清水だった。
「大学に進む選手が多いなかで、大卒の選手よりも早く上のステージに行きたいと個人的に思っているので、高卒プロの一択でした。正直、ここまで声がかかるとは思ってもいませんでしたが、最終的には自分が一番成長できると思ったエスパルスにしました」
秋葉忠宏監督は闘う気持ちを大事にする指揮官。彼のチームのために発揮する技術、運動量、賢いハードワークはまさにチームスタイルにフィットするだろう。チームも前述したとおり、J2優勝とJ1昇格を手にし、彼の目指す上のステージにのし上がった。
まずは一冠。歴史を塗り替えた彼らに、さらなる歴史を塗り替えるチャンスが残っている。
「選手権日本一は目標です。大津に入学する前に青森山田との選手権決勝を見ました。大津は公立高校で私立と比べて環境が整っていないのに、あんな決勝まで行けるってすごいなと思いましたし、僕は小さい頃から憧れて大津に来たので、最後もいい形で終わりたいと思っています」
3年前の決勝では松木玖生(ギョズテベ)、宇野禅斗(清水)を擁する青森山田に0-4で破れ、日本一の夢は阻まれた。当時の青森山田はこれでインターハイと2冠を達成しただけに、今度は自分たちが高円宮杯プレミアリーグとの2冠を狙う。攻守をつなぐナンバー10は高校最後の大会で有終の美を飾るべく、選手権の舞台に立つ。(FOOTBALL ZONE編集部)
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