GK策略に「乱されることがなかった」 座り込み&踊り…“珍プレー”に動じないPK練習の成果
FOOTBALL ZONE / 2024年12月29日 21時35分
■尚志GK針生東がPK戦を前に動きで相手を惑わす
12月29日、NACK5スタジアムで行われた第103回全国高校選手権大会1回戦で3年ぶりに晴れ舞台に戻ってきた東福岡(福岡)が、難敵の尚志(福島)との(高円宮杯)プレミアリーグ同士の決戦にPK戦勝ち。ユニホームの色にちなんだ愛称“赤いすい星”が、攻守に非の打ちどころのないPK戦を演じて見せた。
シュート数は尚志の7本に対し東福岡は4本で、コーナーキックも5本と4本で劣った。後半11分に右サイドバック(SB)福川聖人の放ったシュートはGK野田馨の正面を突き、13分の左MF神渡寿一の右足シュートもGKに捕球されてしまい、好機をものにできなかった。同3分の追加タイムが終了し、前後半を終えて0-0のままPK戦決着へと持ち込まれた。
尚志はPK戦を睨み、後半アディショナルタイムにGKを針生東に交代していた。先蹴りの東福岡センターバック(CB)山禄涼平がボールをセットし、助走を取るために後ろに下がった。その瞬間、会場がざわめいてきた。針生はキックの直前まで小躍りし始めたのだ。これに全く動じない山禄は、矢のような一撃を左隅に沈める。
針生はその後、2番手から最終5人目のキッカーまで、座り込みや手をこまねくポーズ、横にステップを踏む踊りなどでかく乱。しかし東福岡の選手は2番手の神渡、3人目のMF児玉愁都、4番手のMF佐藤宏耀とも正確無比なキックを蹴り込んで次々と決めていく。
背番号10の児玉は「PK戦になった瞬間、やってやろうという気持ちでした。キーパーの変則的な動きですか? 全然乱されることがなかったし、コースに思い切る打つことだけを考えました」と言い、鋭い右足の弾道はGKの逆を突いて右隅に突き刺さった。
GK後藤洸太が尚志の4人目のシュートを左に跳んでストップ。派手なガッツポーズを2度作った。「練習では全然止められなかったので、PK戦にはなるなよって思っていたんです。あのシュートは読みが当たりました」と191センチのGKは、記者を見下ろしながら解説した。
これを決めれば勝利という5番手のFW齊藤琉稀空が右に蹴り込んで勝負がついた。抱き合う選手、応援席へ駆け出す選手、ベンチの面々もピッチになだれ込んで喜びを爆発させた。
■「PKの2部練習」も実施…監督が成果に喜び
長らくコーチを務め、今春指揮官となった卒業生の平岡道浩監督は「PK戦になっても後藤は大柄なので、(ゴールの幅が)7メートル32センチではなく(相手にとっては)6メートル、5メートルの感覚ではないでしょうか。甘いボールさえ止められればと思っていた。やっぱり大きいキーパーがいると違いますね」と喜んだ。
キッカーの側に立ったPK練習にも余念がなく、試合の1週間前から練習するそうだ。平岡監督は「PKの2部練習の成果が出ました。ゴールポストのライン上に正確に蹴るトレーニングですね。(相手GKの陽動作戦もあったが)キッカーはしっかりコースに蹴るだけでした」と慌てず騒がず、沈着冷静にJリーグのGKでも手の届かないコースに打ち込んだイレブンを褒めた。
0-0というスコアだけを見たら平凡な試合と勘違いされそうだが、今年はともに高校生年代最高峰のプレミアリーグで戦った一線級の選手が勢ぞろいしたチーム同士の決戦だ。たとえPK戦であっても、心理戦を含めた厳しい戦いとなり、見事に制した東福岡は2回戦以降、さらに強くなって正智深谷(埼玉)に立ちはだかることだろう。
指揮官は「今日は0-0か1点差の試合になると思っていた。PK戦は想定していなかったが、みんなが自信を持ってしっかり自分のコースに蹴ることができた」と言い、相手GKの“珍プレー”に惑わされなかった選手のメンタルの強さが誇らしそうだった。(河野 正 / Tadashi Kawano)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
転機は大会直前のPK猛練習…ゴールマウスに座って、踊って、敗れた尚志“PKキーパー”針生東の苦悩、覚悟、未来
ゲキサカ / 2024年12月31日 19時20分
-
高校生GKが「これまでにない戦略」 小躍り&座り込み作戦に海外驚き「日本は一歩先をいっている」
FOOTBALL ZONE / 2024年12月30日 12時1分
-
日本の高校サッカー珍光景に海外も仰天 主将の“心理戦”に「この動きの背景は?」の声
THE ANSWER / 2024年12月30日 10時33分
-
「0-0か1点ゲームになると思っていた」想定内のPK戦、3年ぶり出場の東福岡が尚志とのプレミア対決制す
ゲキサカ / 2024年12月29日 21時47分
-
【高校サッカー】東福岡―尚志「静」と「動」のGKによるPK戦は1本止めた東福岡の大会最長身191センチGKに軍配上がる
スポーツ報知 / 2024年12月29日 20時54分
ランキング
-
1RIZINの大荒れ審判殴りに海外騒然「気が狂ってた!!」 日本のイベントで「格闘技史上最も野蛮」
THE ANSWER / 2025年1月1日 7時43分
-
2【ニューイヤー駅伝】旭化成 5年ぶり日本一!圧巻スパートの井川「気持ち良くゴール」
スポニチアネックス / 2025年1月1日 14時3分
-
3526万円新車を自腹購入「カッコいい~」 五輪金のご褒美で…角田夏実に羨望「CMに出ないの!?」
THE ANSWER / 2024年12月31日 21時3分
-
4日本と韓国で躍動も…元助っ人がまたマイナー契約 “5億円拒否”後に待っていた苦難
Full-Count / 2025年1月1日 12時13分
-
5大谷翔平 25年の誓い「連覇したいのが一番」 31歳シーズン「考えたくないところも考えなければ」
スポニチアネックス / 2025年1月1日 12時2分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください