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Jスカウト関心…無敵の空中戦で“注目株”へ 強心臓184cm逸材が「プロの道を切り開く」

FOOTBALL ZONE / 2024年12月30日 11時30分

■札幌大谷の2年生CB大石蓮斗が選手権で見せた特大なポテンシャル

 選手権1回戦の札幌大谷(北海道)対寒川(香川)の一戦。14人目までもつれ込んだPK戦の末に札幌大谷が勝利を収めた。この試合で話題を集めたのが、6人目に登場した札幌大谷の2年生の16歳CB(センターバック)大石蓮斗だ。

 ペナルティースポットにボールを置き、主審の笛が鳴ってから蹴るまで1分と10秒。この長い間合いのPKを決め、チームも14人目で勝利を掴んだことで、彼は試合後のミックスゾーンでは多くの報道陣に囲まれた。

「最初は目を瞑っていて、だんだん目を開けて、ボールだけを見てゴールは見なかった。GKにいろいろ考えさせられるし、普通に蹴っても面白くないので」

 強心臓ぶりを口にした大石は、CBとして非常に能力が高い選手で、この試合では80分を通して空中戦の強さ、裏への対応、そして球際の強さとビルドアップのうまさを随所に発揮していた。特に184センチのサイズとバネを生かした空中戦は負けなしで、一度の流れで2度クロスを弾き返すなど、他を圧倒していた。

「空中戦はもちろんですが、1対1、カバーリング、ラインコントロールなど、僕がやらなければいけないことは多いし、そこでは誰にも負けたくないんです」

 サッカーの質に惹かれて札幌大谷に入学してから、その恵まれたサイズと身体能力で1年時から出場機会を掴み、鹿児島国体でベスト8に進出。今年も早生まれ(3月16日生まれ)ということもあり2大会連続で国体に出場し、キャプテンとしてチームを牽引した。そして11月には「1つ下の代表は密かに狙っていました」と野心を燃やしていたU-16日本代表候補に初選出。年代別代表候補の看板を提げて今大会に臨んでいた。

「今、僕が一番大事にしているのは、メンタルの部分なんですが、『絶対にやらせない』『なんとしてでも止める』という気持ちです」

 こう口にしたのはU-16日本代表候補合宿で廣山望監督に言われた一言がきっかけだった。「シュートブロックの際に身体が逃げているぞ」。この言葉は彼の中に大きな衝撃が走ったという。

「正直、代表に行く時は『自分の力を発揮しよう』くらいに思って参加したのですが、その言葉を言われた時に自分ではそうしているつもりは一切なかった。廣山監督から見たら逃げていると映った。それが真実だと思ったからこそ、『これではCBとしては絶対にだめだ』とよりボールに執着をするというか、何がなんでも先に行かせないという気持ちでプレーするようになりました」

■大会優勝候補の大津戦へ堂々と「絶対に負けたくない」

 チームに戻ってからもこの言葉を何度も思い返して、奪い切る、寄せ切る、身体を張り続けるという守備を徹底した。

 寒川戦では後半、押し込まれる場面が増えたが1対1でほぼ相手をシャットアウト。1-0で迎えた後半36分には最終ラインとGKの間にふわりと落ちる難しいボールに反応し、飛び込んできたMF伊藤瑛規を完全にブロックした。

 その2分後には、左からのFK(フリーキック)をドンピシャヘッドで合わせてビッグチャンスを創出。これは相手GKのビッグセーブと左ポストに弾かれたが、すぐにこぼれ球に反転してペナルティーエリア内で鋭い反転から強烈な右足シュート。これはDFに当たり、さらに味方のMF笹脩大の顔に当たってCK(コーナーキック)を逃すという不運もあったが、彼のヘッドの強さと身のこなしだけではなく、「何がなんでも決め切る」という強い意志が如実に現れたシーンだった。

 後半アディショナルタイムにロングスローから、味方の処理ミスを突かれて同点に追いつかれてしまったが、冒頭で触れたとおり話題となった「超ロング間合い」のPK成功を含め、12-11のスコアで2回戦進出を手にした。

「今大会は『注目されたい』と強く思っているので、常に自分が試されているつもりでやっています。活躍をしてU-17日本高校選抜、U-17日本代表、そしてプロの道を切り開くことも狙っています。だからこそ、今日は何がなんでも勝って、プレミア王者の大津と戦いたかったんです」

 思わぬ形で大きな注目を集めたが、彼が80分間で見せたプレーはJクラブのスカウトも色めくほど十分なインパクトはあった。彼が言うように、2回戦で大会優勝候補の大津を相手に今日のようなプレーができれば、よりJスカウトや代表スタッフの視線が注がれるはずだ。

「プレミア得点王のFW山下景司選手を止めたいし、セットプレーで上がってくる190センチのCB五嶋(夏生)選手に競り勝ちたいし、清水エスパルスに入るMF嶋本(悠大)選手やU-17日本代表の同じ2年生のCB村上(慶)選手ともやり合いたい。ここを抑えたら、PKのことだけではなく、僕自身に世間の注目が集まる。絶対に負けたくないし、もう『必ずやってやる』という気持ちしかありません」

 北の大地の野心家は、12月31日の2回戦・大津戦に自分の将来のすべてを懸けるつもりで臨む。絶対にやらせないという強い意志とともに――。(FOOTBALL ZONE編集部)

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