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ドイツで評価急上昇…佐野海舟「衝撃を受けた」 痛感した「絶望する差」と現在地【現地発コラム】

FOOTBALL ZONE / 2025年1月1日 7時50分

■マインツで存在感を高めている佐野海舟、好プレーにファンから盛大な拍手

 ドイツ1部マインツのMF佐野海舟はリーグ中断期間までのリーグ15試合すべてにスタメン出場を果たし、5位のままウィンターブレイクに入ったチームで存在感を高めている。

 15節フランクフルト戦では、前半21分に元ドイツ代表MFナディム・アミリが一発レッドで退場処分となったものの、数的不利のマインツは3-1で勝利している。1人少ない状況が続いて、自分たちがリードしている試合だと、気持ちが守備ばかりになることは少なくない。そんななか、佐野が何度も攻撃で飛び出して、効果的にチャンスや時間マネジメントに貢献していたのが印象的だった。

「相手がボールを持って、自分たちがブロックを作っているという展開だと、相手に隙というのは必ず生まれるとは思っていた。前に行ける時は行かないといけないし、あれをされると自分たちが逆の立場でも嫌だったと思う。ああいう姿勢を切らさずに、守備は粘り強くやれたっていうのが良かったかなと思います」

 マインツファンからの声援が一段と大きかったのが、後半終了間際のシーンだ。フランクフルトのCKからのボールをGKロビン・ツェントナーがキャッチ。素早く攻め上がった佐野にボールが渡ると右サイドをドリブルで持ち上がっていく。最後はフランクフルト3選手に囲まれながら、粘りに粘ってファウルを勝ち取った。チームを助けるプレーだったのと同時に、相手の戦意をくじく効果もあるとても貴重なプレー。アウェー席近くのプレーだったこともあり、マインツファンからは盛大な拍手が送られていた。

「うちの左サイドの選手が出ていって、フランクフルトのディフェンスラインにいた選手が釣り出されているのが一瞬見えたんで。(右サイドが)空くなっていうのは分かった瞬間、迷いなく走ったことが、ああいうプレーにつながったかなと」

 佐野はそのようにプレーを分析していた。セカンドボールへの反応も鋭く、ゴール前でシュート体勢に入っていたオスカー・ホイルンドに対して、疾風のごとくアプローチをしてボールをカットしたシーンもあった。自分たちがボールを持つと効果的なポジショニングでパスを集め、素早く展開していく。


ドイツ国内でも評価は日に日に高まっている【写真:Getty Images】

■一番脅威に感じたクラブは「1つ1つの技術の高さがすごく違った」

 チーム内での評価が上がり続けているそんな佐野だが、ここまで対戦した中で一番脅威に感じたクラブはどこだったかを尋ねたところ、「カップ戦で対戦した時のバイエルン(・ミュンヘン)」と答えている。

「やっぱり凄かった。試合中でも絶望するぐらい差を感じた。バイエルンはちょっと衝撃を受けましたね。でもあの戦いからもう1個自分が成長できたかなと思う。ああいう相手にまっすぐやり返せるチャンスっていうのもあったし、今後もあると思う」

 ドイツカップ2回戦で対戦したこの試合は、前半だけで0-4とリードを奪われ、マインツは為す術もなく防戦一方。世界トップレベルのサッカーを目の当たりにした佐野は、自身が受けた衝撃を次のように話している。

「スピード感も全然違うし、そのスピードの中でパス1つずれない。1つ1つの技術の高さっていうのがすごく違ったかな」

 後半明らかにペースを落としたバイエルンに完敗したこの試合で学んだもの、感じたものは大きい。着実にブンデスリーガでできることが増えてきたなかで受けた驚異的なまでの差。このままではいけないという危機感さえも感じたことだろう。

「自分の肌でバイエルンを感じて、やはりもっともっと成長につなげないといけないと思いました。負けてすごく悔しかったですし、自分のできることはなんだろうと考えて、毎日やってきている。必ず成長に生かしたいと思っています」

 日本からブンデスリーガへ来て、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝歴もあるバイエルンと対戦する。相手には各国代表のスター選手が目白押し。実際にグラウンドで対戦できることは、サッカー選手としての目標とすべきステージの1つ。対戦への喜びや満足感もあったはずだ。

「それは思いますけれど、でも試合をしている以上、負けて良かったなっていうのはない。普通に負けて悔しいっていう気持ちと、そこを受け止めて、自分の力に変えていくことが大事だと思います」

■貪欲に成長と向き合う佐野「新しい自分を出せればいいなと」

 佐野は、その言葉を現実のものとする。あの試合から1か月半。第14節でバイエルンと対戦したマインツは、見違えるようなパフォーマンスで対抗。2-1で勝利を挙げた。

「バイエルンが調子悪かったっていうのもあると思いますけど、でも隙を狙い続けていけたと思う。そういうところをコツコツやることが勝利につながったのかなと思います」

 下馬評を考えると、前半戦5位というマインツの順位は予想外のもの。加入から5か月弱でチームの勝利に貢献するパフォーマンスを出せているのだから、上々の自己評価をしてもいいかもしれない。ただ佐野は貪欲に成長と向き合おうとしている。

「いや、まだまだ出せるものはあると思う。継続してやっていきたいし、新しい自分を出せればいいなと思っています」(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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