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3年生GK救った「あっちに蹴る」…よぎったPK戦敗退を払拭、知られざる“メンバー外”の献身

FOOTBALL ZONE / 2025年1月3日 8時30分

■明秀日立3年生GK重松陽が見せた殊勲のPKストップの裏話

 第103回全国高校サッカー選手権の3回戦が各地で行われた。昨年夏のインターハイ王者・明秀日立(茨城)は15年ぶりの出場となった帝京と1-1でPK戦にもつれ込む激戦を制し、過去最高成績に並ぶベスト8へと駒を進めた。3年生GK重松陽が見せた殊勲のPKストップの裏にはメンバー外となった選手たちの知られざる献身があったようだ。

 明秀日立は後半キックオフから50秒、セットプレーの2次攻撃でこぼれ球を拾った8番のMF柴田健成が体を捻りながらの左足のシュートをファーサイドに蹴り込んで先制した。しかし、同29分には帝京のFW土屋裕豊に同点ゴールを決められ、試合の決着はPK戦にもつれ込んだ。

 ここでヒーローとなったのがGK重松だ。キャプテンマークを巻いてPK戦に臨んだ重松は帝京2人目のキッカーだった土屋のシュートに素早く反応して見事にストップ。チームメイトが5人全員キックを成功させ、明秀日立がPKスコア5-4で勝利を収めた。

 明秀日立の萬場努監督は「試合中にPKになること予見して、ベンチ外の選手たちが(帝京の)誰がPK蹴っていて、どっちに蹴っていたのかを調べてくれていた。それで13番(土屋)があっち(のコース)に蹴るということだけが情報としてあった。それを共有してもらった。本当に全員で勝ち取ったという印象」と裏話を明かした。

 勝利を手繰り寄せるPKストップを「すごく嬉しかった」と振り返った重松も「PK始まる前に止めた選手1人だけの情報を聞いて、参考にさせてもらいました。全員で勝ちきった試合。感謝しています」と振り返った。

 明秀日立は前回大会も3回戦でPK戦を戦い、その時は近江(滋賀)に敗れていた。その試合でもゴールマウスを守っていたのが重松だった。「(去年のことが)頭をよぎりましたし、悔しい思いをしたので、雪辱を晴らしたいなと思っていた。チームとしてもベスト8が最高成績でそこから上がないので、そういう部分を含めて絶対に勝ちたかった。最高に気持ちいい」。頼れる背番号1はチーム一丸となって掴んだ大きな1勝の喜びを露わにしていた。

 選手権での過去最高成績に並び、夢の国立の舞台まであと一歩に迫った明秀日立。昨夏の高校総体に続き、冬の王者の称号も手にすることができるだろうか。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)

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