Bチームから這い上がり異例の主将へ…大一番で味わった“地獄”「怖くてキツかった」
FOOTBALL ZONE / 2025年1月4日 11時30分
■セカンドチームからトップへ、流通経済大柏CB佐藤夢真が歩んだ道程
鉄壁の守備を誇る流通経済大柏高校(千葉)の守備の2枚看板、佐藤夢真と奈須琉世。チームの先頭に立つ、いわば「ダブルキャプテン」だ。
ともに対人能力が高く、上背はないがヘディングも強い。さらにリーダーシップも抜群のコンビだが、背番号5を背負い、キャプテンマークを巻く佐藤は下から這い上がってきた苦労人でもある。
1年の時から学年のリーダーとして周りの選手やスタッフからの信頼も厚かった。だが、ピッチでは思うように結果が残せず、最高学年を迎えた今年もセカンドチームのリーダーとしてプリンスリーグ関東2部でのプレーが続いた。
プレミアリーグEASTで快進撃を見せるトップチームを尻目に、セカンドチームでは苦戦を強いられることが多かった。それでも彼は常に上を目指して、セカンドチームを牽引しながらも、トップとセカンドが一緒になって行う普段の練習では誰よりも声を張り上げ、球際の勝負に臆さずに臨み、自主練でもキックやボールの寄せなどを徹底的に磨き続けた。
「キャプテンとして自分が暗い顔をするわけにはいかなかったし、セカンドで勝てなくて悩んでもそれは周りに見せてはいけないと思った」
一切下を見ることなく、顔を上げて努力とチーム全体を考えての献身的な姿勢は、ついに大きなチャンスを引き寄せることになった。昨年5月のプレミアEAST第7節川崎フロンターレU-18戦で初のベンチ入りを果たすと、およそ1か月後の第10節昌平(埼玉)戦で不動のCBだった富樫龍暉が出場停止になったのを受けてスタメン出場。そこからベンチ外も経験したが、富樫が第13節の青森山田(青森)戦で負傷して離脱をしてからは、スタメン出場を勝ち取った。
セカンドチームでコツコツと磨き上げた守備強度と天性のリーダーシップを発揮。富樫が怪我から復帰をしても、「富樫は素晴らしい選手だけど、佐藤の成長が凄まじい」と榎本雅大監督がこぼしたように、奈須とのCBコンビはチームになくてはならない不動の存在となっていった。
■「事実上の決勝戦」を制し、佐藤の目に溢れた涙
そして選手権予選と今大会を通じて、佐藤は闘将として圧倒的な存在感をチームで放っている。苦しい時に誰よりも大きな声を張り上げ、失点の際は全員を集めて鋭い目つきで問題点を指摘したり、チーム全体の顔を上げる声かけをしたりするなど、精神的な支柱としてチームを支えた。
3回戦の大津(熊本)戦では相手の圧倒的な攻撃を前に、何度も空中戦で競り勝ったり、球際を制して相手の侵入を阻んだりと気迫の守備を連発。それでもセットプレーの崩れからCB五嶋夏生に1点を決められたが、ラインを下げることなく、かつ相手のロングボールをはじき返し続けて「事実上の決勝戦」を2-1で制した。
タイムアップの瞬間、泣き崩れる大津の選手たちの横で、佐藤も溢れる涙を堪えきれなかった。
「チームメイトに救われたという思いで涙が出ました。エノさん(榎本監督)から『今日、勝てばお前らの殻を2個、3個破ることができる』と言われていたので、もう気持ちで戦いました。でも、正直これまでで一番きつかった試合でした。僕たちは球際、切り替え、運動量はどのチームにも負けていない自信があるし、実際にその部分では負けてこなかったのですが、今日は前半の立ち上がりから大津さんはバチバチ来て、今まで体感したことのない強度とスピードで、普段のプレミアよりも断然キツかったです。特に最後の10分は地獄のような時間で、相手の攻撃のスピードも『ここでもう1つギアが上がるの?』と思うほど一気に上がってきたので怖くてキツかったです」
まさに極度の緊張感の中で戦い、肉体的にも精神的にも激しく消耗しながらも、最後の最後まで集中力を切らさずに、チームを鼓舞し続けた。だからこそ、タイムアップの笛を聴いて一気に緊張感から解き放たれ、大号泣につながったという、実に「魂のCB」である彼らしい瞬間だった。
この涙も彼が1日1日を丁寧に、献身的に積み重ねてきたからこそ流せたもの。下から這い上がってきた不屈の男は、「セカンドチームで一緒に戦ってきた仲間たちがスタンドで必死に声援を送ってくれる姿を見て、もう何がなんでも頑張らないといけないという気持ちにさせてくれました」と、最後まで彼らしい言動を続けてフクダ電子アリーナをあとにした。(FOOTBALL ZONE編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
入学式から2日後に大号泣…名門校でもがく日々、3年生ラストも「涙で終わった」
FOOTBALL ZONE / 2025年1月6日 9時30分
-
中高の先輩・関川郁万も届かなかった日本一を目指す「流経の5番」の継承者。流通経済大柏DF佐藤夢真が国立のピッチに立つ意味
ゲキサカ / 2025年1月5日 10時20分
-
怪我から復帰も「使ってもらえない」 名門校でキャリア暗転、大一番前の声掛けに「驚いた」
FOOTBALL ZONE / 2025年1月4日 10時30分
-
大津との激闘制した流経大柏DF奈須琉世「サッカー人生で一番きつい試合だった」
ゲキサカ / 2025年1月2日 23時18分
-
FW山野春太が1ゴール1アシスト!!流通経済大柏がプレミア王者・大津との大一番に競り勝ち8強へ!
ゲキサカ / 2025年1月2日 23時6分
ランキング
-
1松山英樹が開幕戦V、PGA新記録「-35」樹立 衝撃の4日間でアジア人最多11勝目「記録出せて嬉しい」
THE ANSWER / 2025年1月6日 10時7分
-
2イチロー氏が野球界に次々“苦言”…「本当にやめてほしい」 鳴らした警鐘「価値が変わる」
Full-Count / 2025年1月5日 20時54分
-
3中国人インフルエンサー、箱根駅伝「走行妨害」に批判止まず...ファン激怒「捕まえてでも静止させるべきだった」
J-CASTニュース / 2025年1月6日 12時14分
-
4190億円の恩恵…大谷翔平は「引き寄せる」 ド軍に逸材加入で「韓国人観光客増えるかも」
Full-Count / 2025年1月6日 8時10分
-
5一度は引退も世界一へ大ジャンプ 同志社大ダブルダッチチーム6人、再挑戦の舞台で躍動
産経ニュース / 2025年1月6日 11時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください