「日本人はやればできる」森保監督が抱く“サッカー世界一”の野望「日本に誇りを」【独占インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2025年1月6日 7時30分
■日本代表の森保監督が明言する「世界一」の目標
追い求めるのは世界一。日本代表を率いる森保一監督が描く日本サッカーの未来図とは――。
2026年の北中米ワールドカップ(W杯)へ向けて2期目を戦い抜く指揮官が、新コンセプト「日本サッカーの未来を考える」を据える「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じた。日本代表として結果を求められる「現在」と、日本サッカーの発展という「未来」。2つの時間軸を追求してきた森保監督が思い描く“これから”に迫る。選手それぞれが口にする世界の頂点。日本人としてどこまで戦えるのか、森保監督の決意に直撃した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
◇ ◇ ◇
日本サッカーのまだ見ぬ姿。新たな扉を開くため、日本代表は懸命に日々戦っている。2018年、ロシア・ワールドカップ(W杯)を終え、森保監督が東京五輪代表と兼任してA代表を率いる座に就いた。本田圭佑、香川真司、長谷部誠……長年日本を支えてきたスター選手が去り、久保建英、三笘薫、冨安健洋ら新たな世代がチームを牽引。迎えた2022年カタールW杯でベスト16。途切れた夢は来年に控える北中米W杯へとつなげる。
2期目のチームを築く森保監督は何を描きながら、日本代表と向き合っているのか。史上初のW杯ベスト8、そしてそれ以上の景色をどのようにつかみ取るのか。目指している「日本サッカーの発展」とは。
「日本人の特長を生かして、身体的な特徴、メンタル的な特徴も含めて、チームの戦いに反映させる、表現することかなと思います」
続けて言う。「ただそれは、難しい作業だと思います」。日本代表の監督になって8年目に突入。いまだ挑戦し続けていることだ。
「サッカーは変わっていく。変わっていきながらも、目の前の勝利がなければ、次の試合で監督をやっているかどうかも分からないという戦いを毎回やっています。そのなかでどうやって形にしていくか。『世界一』という日本サッカーの結果目標があるなかで、我々ももちろん狙っていますが、同時に未来でより本命として勝っていけるように力をつけていくための高い目標であり、今のレベルアップでもある。その形作りの土台になるようなことができればと思います」
子供たちとの交流する時間も大切にする【写真:荒川祐史】
■サッカーに関わるすべての人へ「還元」するために
「世界一」。遠藤航キャプテンを筆頭に、久保も三笘も誰もが口にする。これまで日本サッカー界のW杯最高成績はベスト16。北中米W杯からは大会レギュレーションも変更となり、参加国が増える。決勝まで最大8試合。今、森保監督ができることとは何か。
「今バトンを自分が持っていますが、次どうなっているかは分かりません。だからどうバトンを渡していくかはいつも考えの中に持っている。難しいことですけどね。代表がピラミッドの一番上という表現はあまり好きじゃないですけど、いろいろなカテゴリーから、各分野からつなげてもらっているのがトップ・トップである代表だと思う。だからこそつなげていただいているということを忘れずに、感謝の気持ちを持って活動する。日本が世界で勝つためのチャレンジをしていきたい」
2024年、ベスト8に終わったアジアカップからスタートし、アジア2次予選突破。最終予選ではここまで5勝1分で、3月のホーム・バーレーン戦にもW杯の切符を獲得できる。そうなれば25年は本大会に向けてよりチャレンジできる環境が整う。これをA代表の現実として“発信”し続けることは、トップ以下、プロ選手、アマチュア選手、上を目指す層、サッカーをエンジョイする層、関係なく影響を与える。
「個のチャレンジやチームとしてのチャレンジを見ていただいて、『日本人でもこれができるんだ』ということをみなさんに還元していきたい。試合で起きたことはできるだけ成果のほうがいいですが、我々がチャレンジしたうえで『これができて、これはできない』というのを育成のカテゴリーの人たちも見ていただいて、選手の成長につながるように働きかけをしてもらえるようする。それが“還元する”ということかなと思っています」
例えば、カタールW杯のドイツ戦で日本は世界を驚かせた。先制点を奪われるも、挑戦したことのなかった3バックに変更してアタッカー陣が躍動。MF堂安律、FW浅野拓磨の2ゴールで歴史的な逆転勝利を奪ったことは記憶に新しい。W杯で4度の優勝を誇る欧州の強豪に日本人が勝てる。この事実は、日本サッカーに携わる人たちに大きな影響を与えただろう。
日本人選手の特徴を活かしながら「世界一」を目指す【写真:徳原隆元】
■北中米W杯で8大会連続出場…ベスト16の壁を打ち破るには
「もちろん一番は勝って『日本人はやればできるんだぞ』というところを、見てもらっている人、つなげてもらっている人たちに喜んでもらう。日本人が日本に、そして日本人に誇りを持てるように、還元しないといけないと思っています」
そのために何を目指さなければいけないのか。答えが「世界一」。日本代表が勝つことによって生まれる希望を日本サッカー発展の原動力にしなければいけない。
「未来がどこに着地するかは分からない。でも、順位であれば世界一。自分がやることには自信と勇気を持って臨みますが、自分が自分を一番疑いながら、情報収集・インプットをしてからアウトプットにつなげていく。その気持ちを持って、代表をやっていかないと。日本サッカー自体には100年以上の歴史はありますが、世界の舞台に立つW杯は次が8大会目。大国からすればやはり経験値は低い。絶対的に失っていけないもの、守っていかなければいけないものもあると思いますけど、柔軟に世界一にたどり着く。日本らしいサッカーを作っていかなければいけない」
簡単ではない。だから森保監督は何度もつぶやいた。「難しい」。まずは柔軟に、未来では本命に。現場トップをひた走る指揮官は明確な野望を抱いている。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)
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