33歳で現役引退→会社の取締役 学生時代から意識した“経営の視座”「仕組みがすべて」【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2025年1月16日 10時30分
■現役引退後は実業家として活躍する大津氏
元日本代表MF大津祐樹氏がスパイクを脱いでから約1年の月日が経過した。自身が立ち上げた会社で代表取締役社長を務めていることに加え、年商120億円の企業の取締役を兼務し、経営の分野で手腕を発揮している。現役時代はロンドン五輪で大活躍を遂げるなど、華やかなアタッカーとしての印象が強いが、実は学生時代から実業家としての才能の片鱗を垣間見せていた。(取材・文=城福達也)
◇ ◇ ◇
世間では、アスリートの引退後の生活を「セカンドキャリア」と呼称する機会が多い。しかし、大津氏はこの表現に首を傾げる。
「よく取材でも、セカンドキャリアはどうですか?と聞かれるので、それに合わせるように答えてはいますが、正直、自分のなかではセカンドキャリアという発想がない。サッカーはサッカー、ビジネスはビジネス、と分けて認識していない。すべて繋がって、1つのキャリアになっているはずなので」
2023年末に33歳の若さで現役を退いた後、2019年に起業した株式会社ASSISTの代表取締役社長、そして昨年から株式会社コミットの取締役を兼務し、実業家として多忙な日々を過ごした。世間で言う”セカンドキャリア”は間違いなく華々しいものとなっているが、サッカーなくしては切り開かれない道だった。
鹿島アントラーズのユースに昇格できないことが決まった中学3年生当時、「自分はクラブのニーズを満たすレベルに到達しない人材、プロの市場には載ることのない人材だと理解したので、サッカーを辞めることにした」と、早い段階でサッカーと別れを告げるつもりだった。
それでも成立学園から声をかけてもらったことで「もう一度頑張ろうと覚悟を決めた瞬間から、プロという目標に向け、ユースに昇格した選手を追い抜くための努力量を設定した。なので、誰よりもトレーニングしたという自負があった」と振り返る。そして高校卒業後、実際に柏レイソルの内定を勝ち取った。大津氏の人生において、非常に大きな成功体験となった。
一方で、ただサッカーだけに全神経を注いでいたわけではない。誰にも負けない努力に励む傍ら、「何気ない生活のなかでも、常に『なぜ?』『どうして?』を探している人間だった」大津氏は、世の中で成り立っているビジネスへの興味も強く抱いていた。
■学生時代から意識していた「両側面の立場」
「日常で誰もが毎日のように何かを買って、何かしらのサービスを受けているなか、この会社がどのように売上を作り出しているのか。このサービスはどのような人に届けることでどういった価値を生み出しているのか。売れている商品は何が理由で売れ続けることができているのか。そういった仕組みがすべてであり、学生時代から調べたりしていた。
ほとんどの人は、商品を購入して使用すること、サービスを体験して楽しむことをゴールとしているし、それが当たり前。そのなかで、この商品のどこに必要性を感じて購入したのか。このサービスはどのように人々を満足させているのか。そういった消費者と提供者の両側面の立場から考えるようにしていた」
学生時代から他の同級生とは少し異なる視座を持っていたのかもしれない。大津氏自身もそれは自覚していたようで、「物事を俯瞰して捉えることができるのは、自分の強みだと昔から認識していた。需要と供給のバランスを見定めるのが得意だった」と当時を自己分析する。具体的なエピソードとして挙げたのは、主にオークション上などで行われるせどりだ。
「高校生の頃、せどりの仕組みを自分なりに突き詰めて、調べまくっていた。当時からせどりはマーケットにおける世界のすべての縮図ではないかと強く感じていた。マーケット分析を行い、それに対する商品価値を自分で判断し、エンドユーザーへと届ける。その一連をタイトなスケジュール感で回さなければキャッシュフローが固まってしまう。これを考え抜く力が非常に大切になると考えていた」
今では会社経営に邁進しており、現役時代よりも多忙な日々を過ごしているが、「この金額で合っているのかな?と自分の中で値段を見たり、調べたりするのが楽しかったし、好きだった。それが結果的に今取り組んでいる事業にも活きている」と思い返した。そんな実業家・大津祐樹を形成した幼少期の背景には、両親の教育があった——。(次回に続く)(城福達也 / Tatsuya Jofuku)
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