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覚悟の移籍もJ2降格、退団よぎったオフ…28歳に届いた残留オファー「感謝しかありません」

FOOTBALL ZONE / 2025年1月16日 9時30分

■昨夏に磐田へ期限付き移籍のFW渡邉りょう、完全移籍で決意新たにした心境

 ジュビロ磐田は昨季J1で18位に沈み、クラブ4度目となるJ2降格が決定。前横浜F・マリノスのジョン・ハッチンソン監督を迎えてリスタートを図る今季は、昨年の特別指定選手だった筑波大卒の角昂志郎を含む、12人の新戦力を加えた。そうした新戦力に加えて、サポーターを喜ばせたのが28歳FW渡邉りょうの完全移籍での加入だった。

 J3のアスルクラロ沼津でプロキャリアをスタートさせて、2022年の夏から移籍した藤枝MYFCではJ2昇格に貢献し、翌年は夏までに2桁ゴール(13得点)と本格ブレイク。その活躍が評価されて、J1のセレッソ大阪に引き抜かれた。しかし、C大阪では前線の選手層に阻まれてチャンスを得られなかったところで、昨夏にJ1で残留争いをしていた磐田から期限付き移籍でのオファーが届き、静岡3クラブ目となる加入が実現した。

 熱くエネルギッシュなプレーと明るい言動、いわゆる“神対応”と言われる練習場でのファンサービスなど、短期間で磐田サポーターのハートを掴んだ。昨年8月7日に行われたJ1第25節のアルビレックス新潟戦では、10人で1点リードされた絶体絶命の状況で、起死回生のラストパスでジャーメイン良の同点弾をアシストした。そして第30節のアウェー柏レイソル戦で移籍初ゴールを記録すると、第36節のガンバ大阪戦では3-4-2-1の2シャドーで、C大阪時代の同僚でもあったジョルディ・クルークスと出場し、ホームでの初ゴールを決めた。

 しかし、チームは終盤戦にも負けが込み、ラスト2試合は負傷によりベンチ外となり、不完全燃焼のシーズンとなってしまった。今回の完全移籍にあたり、渡邉は所属元のC大阪に感謝を表しつつも、磐田の残留に懸けた思いと、J1に残せられなかった無念の思いをクラブの公式サイトを通じてコメントした。

「夏に加入した際に“自分にとって、ジュビロ磐田にとってこの選択が間違いじゃなかったことをピッチの上でそしてチームの結果で証明してみせます”と言いました。しかし、僕はこの半年でそれを証明することができませんでした。そんな中でも自分を最後まで必要としてくれた、藤田SDをはじめとするジュビロ関係者の皆様には本当に感謝しかありません」

 渡邉に改めて、その思いを聞くと「ほとんどコメントに書いたとおりで、夏に来て、残留させる思いで来ながら達成できなくて。もちろん、その責任の感じ方は選手それぞれありますし、正解はないけど、僕の中で必ず元の舞台に戻さなければならないと。しかも、それも以前と同じような状態じゃなくてしっかりと、チームの地盤を作って戻らないといけない」と語った。

「今年の1年はすごいエネルギーが要ると思います。かなり大変なシーズンだと思いますけど、でも僕はそれを背負って引っ張っていくというのを決めたので。そういう1年目で、結果も、このクラブの土台も築き上げる1年にしたい」

■レジェンド中山雅史氏が背負った9番で新シーズンへ

“ジョン”ことハッチンソン監督が掲げるスタイルは昨年夏から率いた横浜FMで見せたとおり、ポゼッションをベースにしながら積極的にゴールを目指し、相手ボールになればすぐに切り替えて、素早くボールを奪って自分たちの攻撃につなげていく支配的なフットボールだ。新体制の記者会見では「スーパーアグレッシブ」という言葉を用いて、熱っぽく語ったハッチンソン監督のパッションをプレーに反映させる1人として、渡邉に懸かる期待は大きい。

 しかも磐田のレジェンドであり、沼津時代の恩師でもある中山雅史監督が背負った9番で、新シーズンに臨むことになった。沼津で奮闘していた当時、磐田で9番を付けるイメージに関しては「全然ないです(笑)」と表情を緩ませた渡邉だが、その番号がいかに特別かは強く感じている。「背番号でサッカーするわけじゃないというのはもちろん、そうなんですけど。どのクラブでも大切な番号って、自分の中であると思っていて」と渡邉。その番号を付ける格はそこまで気負わなくても、日頃からの振る舞い、そして試合でのプレーに表れている。

 昨年19得点を挙げたジャーメインがサンフレッチェ広島に移籍したが、現在FWを本職とする選手はブラジル人のFWマテウス・ペイショット、アビスパ福岡から加入した佐藤凌我、そして渡邉と3人いる。渡邉は2人とのライバル関係を認めながらも、単にポジションを競うというよりも、それぞれが異なる特長を発揮して、良い競争を繰り広げていくことが、結果として磐田の前線を活性化し、勝利のために必要な得点を多くもたらすことにもつながる。

 ゴール数に関しては“20点以上”と公言しており、特に“エース”という言葉を使わなくても、磐田の攻撃を引っ張る存在になることの決意が表れている。J2優勝、J1昇格という目に見えるチームの目標を達成することが大前提になるが、ただ昇格するだけでなく、来年J1を戦い抜くための土台作りと位置付ける今シーズンの戦いで、渡邉がどういったパフォーマンスを見せていってくれるのか。期待は膨らむばかりだ。(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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