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ミシャが見抜いたCB遠藤航 元代表も絶賛「頼りになる」…プレミアで発揮された経験と蓄積【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2025年1月21日 8時30分

■遠藤のCB起用が光った浦和時代…ペトロヴィッチ監督も絶賛

 イングランド1部プレミアリーグの強豪、リバプールの日本代表MF遠藤航が新境地を切り開いている。現在の本職はボランチだが、リーグカップやFAカップではセンターバック(CB)で起用され高い守備能力を発揮中。指揮官の評価もうなぎ上りだ。

 2023年夏、ドイツ1部ブンデスリーガのシュツットガルトからリバプールに移籍した遠藤は、リーグ戦29試合で1得点。1年目からボランチとしてユルゲン・クロップ前監督の信頼を獲得した。しかしアルネ・スロット監督に代わった今季は、リーグ戦の出番が激減し不本意なシーズンを過ごしている。

 そんななか、2024年12月18日のサウサンプトンとのリーグカップ準々決勝では、CBとしてフル出場し4強入りに貢献。4-0で勝った現地時間1月11日のFAカップ3回戦、アクリントン・スタンリー戦でも先発して後半34分までピッチに立った。指揮官は「たとえ試合終了5分前の出場であっても、中盤やCBでチームに重要な戦力であることを示してくれる」と言って遠藤の献身ぶりを礼賛する。

 プロのキャリアをスタートさせたJリーグの湘南ベルマーレでも、初の海外クラブであるベルギーリーグのシント=トロイデンやシュツットガルト(ドイツ)、昨年11月19日の26年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の中国戦で国際Aマッチ67試合となった日本代表でも、一貫して中列後方でプレーしてきた。球際の攻防とフィジカルコンタクトに強く、ボール奪取能力に優れる遠藤の持ち場はボランチだ。デュエルに強いことが最大の特長でもある。

 専門のボランチから守備ラインにポジションを移し、“玄人はだし”の腕前を披露していることに驚く向きもあるようだが、CBは昔取った杵柄とあり柔軟に対応できている。湘南から移籍した浦和レッズで最も多く担当したのがCBだった。


リバプールでもCBをそつなくこなした【写真:ロイター】

■浦和移籍でリベロ、左右のストッパー、ボランチの多彩な才能を開花

 遠藤は2年続けて獲得の申し入れがあった2016年、浦和へ完全移籍したのだが、「ACLを経験したかったのが一番で、それが自分の成長にもつながると思った」と理由を説明。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で海外チームと対戦することを待ちわびた。

 この年の浦和はエンターテインメント性に富み、クラブ史上最もモダンで攻撃的な出し物を提供。鹿島アントラーズとのチャンピオンシップに敗れたとはいえ、18チーム中最多の年間勝ち点74を獲得した最強チームでもあった。

 指揮を執るミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、すぐに遠藤の守備力の高さを見抜いてレギュラーで起用した。陣形は3-4-2-1だ。

 デビュー戦となったACLの1次リーグ初戦は途中出場でボランチに入ったが、Jリーグの第1ステージは全17試合にフル出場する。1、2、最終節が右のストッパーで、残り14試合はリベロを担当。第2ステージはリオデジャネイロ五輪や体調不良で先発8試合にとどまったが、ルヴァンカップや天皇杯を数えるとリベロ、左右のストッパー、ボランチというように文字通り守備範囲の広さを見せつけている。

 ペトロヴィッチ監督は遠藤の強みについて「ボールと人への寄せの一歩がとても早く、向かってくる相手を潰す力が強い。大柄ではないがヘッドも武器だし、正確なロングフィードを使えるところも大きな魅力だ。浦和は蹴って走るサッカーではないが、最後列からの長いキックで好機をつくる戦法は(サンフレッチェ)広島時代からやっている」と枝葉末節に至るまで解説したものだ。

 移籍前年に日本代表で5試合経験しただけに、多士済々の浦和でも主力になれる自信はあったのだろう。

 1年目をこう振り返る。

「ボールサイドでの攻防とか攻守の切り替え、カバーリングなどはしっかりやれたと思う。守備の人間としてとにかく無失点に抑えることを目指した。34試合で(リーグ)最少の28失点には満足しているけど、来年はさらに貢献したい。それと長いパスから得点の起点にもなりたいですね」


西川周作も遠藤を絶賛した【写真:Getty Images】

■右のSB、ストッパー、アンカー、ボランチと4つのポジションを如才なくこなした

 17年もリーグ30試合に先発し、1試合だけボランチを担ったほかは守備ラインに入り、シーズン半ばからは新たな体験もしている。

 7月30日にペトロヴィッチ監督が解任され、同日から堀孝史監督が就任。しばらく前任者の戦術を踏襲したが、9月9日の柏レイソル戦から4-1-4-1に衣替えした。主にCBを任された遠藤だが、ACLでは上海上港との準決勝とアルヒラルとの決勝計4試合で右サイドバック(SB)に指名された。ここでも適応能力の高さを示し、両チームの左ウイングを徹底的に封じ込み、決定的なクロスを供給させなかった。旺盛な攻め上がりもあり、興梠慎三やラファエル・シルバに生きたボールを何度か届けた。

 ACLに心が揺さぶられて浦和に来たが、早くも2年目でアジア王者に到達。遠藤は「めったにないチャンスに優勝できて嬉しい。自分の強みである球際ではしっかり戦えたと思う」と喜んだ。さらに「最近はどこが(自分の)ポジションなのか分からなくなっている」と笑わせると、「でもこの年(25歳)で3人の子どもがいますからね。育てるほうが大変ですよ」と顔をほころばせた。

 翌年は3人の監督の下でプレーし、右のSB、ストッパー、アンカー、ボランチと4つのポジションを如才なくこなし、8月にシント=トロイデンへ職場を変えた。

 最後尾で10人の動きを注視するGK西川周作は、遠藤の能力の高さに舌を巻いていた。「どこを任されても、どんなことを要求されてもしっかりやり遂げる。途中から出てもゲームを締めてくれるし、本当に頼りになる存在ですね」。

 2年半で4人の監督の異なる要請を事もなげにやり遂げた。速くて激しいプレミアリーグで万能な守備力を発揮できるのは、浦和での経験と蓄積がものをいっている。(河野 正 / Tadashi Kawano)

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