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新加入4人が「オーバー30」 J1主力もJFLへ…異例戦略で挑む”23区初”昇格の夢

FOOTBALL ZONE / 2025年1月20日 19時10分

■クリアソン新宿が島田譲を含む30代の戦力を獲得

 JFL(日本フットボールリーグ)のクリアソン新宿が「オーバー30戦略」で東京23区初のJリーグ入りを目指す。クラブは1月19日、東京・新宿で25年シーズンの新体制発表会を開催。パートナー企業の関係者やサポーターらの前で、新加入選手が紹介された。新たに加わった7人のうち、J1新潟から移籍のMF島田譲(34)ら4人が30代。J3クラブライセンスを持ちながら昨季16チーム中14位に終わった新宿が、異例の「戦略」でJ3昇格を目指す。

 発表会の終了後、丸山和大社長(40)は「かなり手応えのある編成ができた」と胸を張った。昨季J1で19試合出場の島田、J2仙台で25試合6得点のFW中山仁斗(32)ら豊富なJリーグ経験を持つ選手がずらり。「25年は勝負の年」と話す同社長は「オーバー30戦略が、うまくいったと思います」と説明した。

 昨季序盤で上位争いから脱落したクラブは、今季に向けて早くから「オーバー30戦略」を考えていたという。「試合に出ている30歳以上の選手リストを厚く持っていて、その中から絞った」とベテランJリーガーの動向を注視していたことを明かした。

 丸山社長は「Jリーグは30オーバーの選手に対する風当たりが強いのが見えた。特にJ1やJ2では年齢で選別されている」と最近のJクラブの傾向を分析。「我々にとっては、めちゃくちゃチャンス。30オーバーの選手の方がサッカー界を理解しているし、経験を言語化することもできる」と独自の観点から「戦略」を説明した。

 クラブには「サッカーを通じて、世の中に感動を創造し続ける存在でありたい」という理念がある。多様性のあるホーム新宿との連携を密にし、サッカーを通じて多様な人々につながりと豊かさを広げる。そのためにも、30オーバーが必要だった。

 ホームスタジアムを持たずにJ入りを目指すクラブが異色なら、選手たちも異色だ。基本的にはクリアソン新宿はほかの会社の社員。練習や試合以外ではパートナー企業との関係構築や地域活動など「社業」もこなす。法人パートナーはJFLでは異例の220社以上、地域活動も昨年は300回を超えた。選手に求められるのはプレーだけではない。社会人として自ら考え、行動することも必要になる。

「若くて伸び盛りの選手にとってはカテゴリーが大事。しかし、長くやってきた選手は自分のサッカーを何のために使うかを考えだす」と丸山社長。セカンドキャリアを考え始めるベテランたちは「新宿の理念とも一致しやすくなる」という。


JFL優勝とJ3昇格を目標に掲げたクリアソン新宿の北嶋秀朗監督【写真:荻島弘一】

■島田「クラブの理念に共感した」

 シーズン終盤の昨年11、12月は強化担当の上田康太氏とともに、新加入候補選手と面談したという。シーズン終了後には北嶋秀朗監督も加わった。「戦力面は監督が、僕らはクラブの理念に合致しているか、クラブにフィットするか人間性をみた」と話した。

 ボランチとしてJリーグで300試合以上の経験がある島田について「以前から気にしていた」と丸山社長。WEリーグの理事を務め、アスリートビジネスの勉強会にも顔を出すという島田は「カテゴリーを下げることに迷いはあったが、クラブの理念に共感した」と、あえてJリーグではなく、JFLでプレーする意義を口にした。

 30代選手4人の加入で、クラブ登録34人中半分の17人が30オーバーとなる。シーズン中にはさらに4人増える。酷暑の中で昼の試合が続くJFLだけにベテランが多いのは不安にも思えるが、北嶋監督は「新加入選手のおかげでチーム内の競争意識が高まり、底上げになっている」と自信をみせた。

 いわてグルージャ盛岡とY.S.C.C.横浜がJ3から降格した今季のJFLは、昨季以上に厳しい争いが予想される。それでも、新宿が目指すのは「JFL優勝」と「J3昇格」、そして「サッカーを通しての新たな価値の創造」。JFLは3月8日開幕、新宿は9日のFCマルヤス岡崎戦で「勝負の年」のスタートを切る。(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)

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