軽率ミスは「許されない」 2年生CB、憧れの名門校で目が覚めた…責任重大「プロにもなれない」
FOOTBALL ZONE / 2025年1月21日 7時10分
■前橋育英2年生CB久保遥夢の意識を変えた失点直結のワンプレー
小柄な選手が多い前橋育英(群馬)の中で183センチの長身を誇るCB(センターバック)久保遥夢の存在は、2度目の全国制覇を果たした高校選手権でとてつもなく大きかった。
「ラインコントロールは常に110分間集中できました」
こう語るように彼は流通経済大柏(千葉)のハイプレスの前にも冷静にラインコントロールをしながら、ドリブルで進入してくるMF亀田歩夢、スピードで裏を狙ってくるFW山野春太、ポストプレーを得意とするFW粕谷悠に目を光らせた。1点こそ許したが、エアバトル、球際、そしてシュートブロックと随所に高いディフェンス力を披露して追加点を許さなかった。
「育英のCBを任されるということは責任重大。中途半端なプレーは許されないんです」
ずっと憧れていた黄色と黒の縦縞のユニフォームだった。地元・群馬県出身の久保は、7年前の決勝戦を家族と一緒に埼玉スタジアムのスタンドから見ていた。当時、地元の大泉FCに所属し、中盤でプレーしていたこともあり、キャプテンマークを巻くボランチの田部井涼(現・ファジアーノ岡山)のプレーに魅了され、さらに後半アディショナルタイムの劇的決勝弾と初優勝に全身を震わせた。
そして中学進学とともに田部井、松田陸(現・ジェフユナイテッド千葉)、秋山裕紀(現・アルビレックス新潟)ら優勝メンバーが多く育った前橋FCの門を叩いた。前橋FCの練習場所は前橋育英グラウンドで、高校でコーチを務める湯浅英明監督の指導の下、高校の先輩たちの姿に憧れを抱きながら3年間を過ごした。
念願の前橋育英に入学すると、1年の時からトップチームへ。高円宮杯プレミアリーグEASTも2試合にスタメンフル出場を果たした。そして2年生になって、CBのレギュラーの座を掴み取った。
順調にステップを踏んできた久保だったが、ある試合のミスが大きく意識を変えるきっかけとなった。プレミアEAST第8節の尚志(福島)戦、相手の前線からのプレスを前にいつもどおりプレーしているつもりだったが、開始早々の5分にパスミスをかっさらわれてそのまま失点を喫してしまった。
チームはその後、FWオノノジュ慶吏とMF平林尊琉のゴールで逆転してなんとか勝利を収めたが、チームに迷惑をかけ、危うく今季2回目の3連敗を喫してしまうかもしれなかった軽率なミス。ここで目が覚めた。
「どこかでボーっとしてしまっていたというか、集中できていなかった。育英のCBはそれではいけない。最初から最後まで集中力を切らさないのは当然で、そのうえでファーストタッチの置き方や相手をきちんと見るという部分をもう一度見直さないといけないと思った」
CBが不安定ではチームは勝てない。ましてや自分が夢を見続けてきた全国制覇は到底できない。責任と自覚が芽生えたことで、彼は一気に成長を遂げた。
「これは山田(耕介)監督が言っていたのですが、(先輩である)松田直樹さんは試合に出られなかった時に、泣きながらベンチ前を走って監督に『試合に出させてください』と言ってきたエピソードがずっと印象に残っていて、熱い気持ちと本気になることの大切さを教えてもらった気がしました。それに山田監督も怖さの中にも選手のことを本気で思ってくれているなと感じます。『本気で向き合わないと本音を引き出せない』とずっと言っていましたし、ミーティングに使う動画にもかなり力を入れていて、真剣にやってくれているからこそ、選手もやらないといけないという気持ちになる。本気でこの役割を果たさないと成長できないし、プロにもなれないと思いました」
今大会、久保は精神的にもプレー的にも守備の柱となり、ついに自身がスタンドから見た光景をピッチから見ることができた。だが、これですべてを成し遂げたわけではない。
「僕らが目指すのは3冠。ほっとしている暇はないです」
来年は全国の強豪校、Jユースからも徹底マークに合うだろう。全国優勝のプレッシャーも当然ある。初の3冠獲得、連覇という新たな歴史にチャレンジできる資格を掴んだからこそ、久保はそれらに屈することなく、ディフェンスリーダーとしてより強固な柱となって来年度の1年間を戦い抜くことを誓った。(FOOTBALL ZONE編集部)
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