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プロ目指さない子は「眠って構わない」 日本人コーチが厳しい指摘…欧州との育成の違い

FOOTBALL ZONE / 2025年1月23日 7時10分

■ベルギー1部シント=トロイデンVVが福島県で中学生対象のイベントを開催

 ベルギー1部シント=トロイデンVVは1月11日から13日にかけて、福島県双葉郡楢葉町のJヴィレッジで「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」を開催した。アカデミー責任者の髙野剛氏がベルギーから来日。中学1年生以上、中学2年生以下を対象に体力測定、講座、交流戦を行った。

 FOOTBALL ZONEでは初日の様子を取材。天候にも恵まれ、ピッチにて5種目の体力測定、ホールに移動して髙野氏による講座が行われた。MSK19サッカースクール、いわきFC、t.a.FC、ボンボネーラ岡山、東日本国際大学付属昌平中学校が団体として参加。これに全国から応募した選手で構成する個人参加チームを加え、全6チームが編成された。

 体力測定では30メートルスプリント、T字走、幅跳び、ケンケン幅跳び、Yo-yoテストの5種目を実施。シャトルランと似た形式で、往復のたびに約10秒の休憩を挟むYo-yoテストでは、英語の放送にとまどいながらも倒れこむほどの奮闘を見せる参加者もいた。そして特に印象に残ったのは髙野氏の講義だった。

「ちょっと大きく言うのはなんとなく恥ずかしいから言えないけど、でも心の底で強い気持ちを持っている人のためだけの講座です。ひょっとしたら、もう遊び半分の趣味でサッカーをやっている人もいるかもしれない。そういうことであれば、この講座は眠ってもらっても構わないです。全然、問題ないです」

 講座の冒頭で、一見すると厳しい言葉をかけた髙野氏。サンフレッチェ広島のコーチなどを経て、2012年6月に英1部サウサンプトンFCのコーチに就任した経歴を持つ。プレミアリーグのトップチームでコーチを務めたのは日本人初の快挙だ。2021年からはシント=トロイデンのアカデミー責任者を務めている。

 日本と欧州の育成環境を当事者として見てきたからこそ、子供たちに伝えたいことを髙野氏に聞くと、欧州では「楽しむの定義が全く違う。趣味でやる選手とプロを目指す選手で、しっかりとここに明確なラインがあります」という。だからこそ、プロを目指す中学生だけを対象にしたイベントに駆け付ける。

 さらに、「欧州では指導者たちもどういう目線で選手と関わればいいかが明確になっています」と続ける髙野氏。プロを目指す子供と、趣味としてサッカーを楽しみたい子供が同じ環境にいることで、前者の足を引っ張ってしまう、後者にとってはストレスにしかならないという悪循環が起きると説明する。

 講座では、欧州のプロ選手に共有しているマインド、そしてチャレンジイベントを通して評価するポイントなどを説明。中学生にとってはレベルの高い内容に、髙野氏からの逆質問にはなかなか手の挙がらない場面も見られた。約1時間の講座の最後にもう一度、真剣な表情の参加者へ熱いメッセージを届けた。

「今しまった、もうちょっと本気でやればよかったと思った選手。残念、そのチャンスはもう二度と帰ってこない。では、そのチャンスは次いつ来るか。明日、明後日です。ここで絶対に自分のそういう気持ちがあるんだったら、朝起きた瞬間からフルパワーでやってみてください。僕はしっかりと見ています」

 ベルギーのクラブが、日本でこのようなイベントを開催するのは、異例とも言える。「3日間で細かなところを教えるのは難しい。だから僕としてはマインドを伝えたい。僕の言った一言を、来年の今頃や高校に入っても覚えていてくれれば」と笑顔を見せた髙野氏。参加者には貴重な経験になったに違いない。(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)

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