現役の日本代表経験者らがクラブ共同オーナーに “前代未聞の挑戦”を公表「短期目標はJ1優勝」【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2025年1月23日 18時0分
■元日本代表MF大津祐樹氏が東京2部クラブの共同オーナーに
株式会社ASSISTは、2025年から東京都社会人サッカーリーグ2部のスペリオ城北の共同オーナーとなることを公表した。ガンバ大阪のFW宇佐美貴史、DF中谷進之介、横浜F・マリノスのMF水沼宏太(オーストラリア1部ニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツに移籍)、GK朴一圭、名古屋グランパスのDF山中亮輔、FC町田ゼルビアのDF中山雄太の6名が共同出資し、Jリーグの舞台で活躍してきた選手らとともにクラブを運営する新たな挑戦に臨む。代表取締役社長を務める元日本代表MF大津祐樹氏は「FOOTBALL ZONE」のインタビューで、クラブ運営に踏み切った背景、今後の目標や取り組みについて思いの丈を語った。(取材・文=城福達也)
◇ ◇ ◇
――共同オーナーとして、どのようなコンセプトでクラブを運営していきますか? また、どういった挑戦の場にしたいとお考えでしょうか?
「Jリーガーの皆でクラブを創る、前例にない新しい挑戦になると思っています。そのなかで、『皆で』というのが重要なコンセプトになる。Jリーグの舞台で戦ってきた皆が持っているそれぞれの意見や経験を、そのままクラブの成長の糧にしていくつもりです。
現状はプロリーグにおいても、ビジネスサイドとサッカーサイドが両極端になっているクラブが大半であると感じています。運営の人間は現場の思いを、現場の人間は運営の思いを掴み切れない環境を、僕自身も目にしてきました。今回の取り組みでは、クラブ運営を株式会社ASSISTが担い、選手が共同出資してオーナーになることで、そういった障壁を取り払っていけるのではないかと考えています。歴史あるクラブと共に素晴らしいクラブに成長させます」
――クラブの共同オーナーになられた背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
「クラブ運営への思いは、実は僕がJリーグでプレーしていた若手時代から常に抱いていました。選手の立場だからこそ見える課題や良さがある。今回オーナーとして出資してくれる選手たちも同じような考えを持っていて、実際に自分たちがクラブを運営する立場になるわけですが、現役生活で培ってきた経験や視点を還元しながらクラブを創っていきます。
Jリーグのどのクラブにもメリットとデメリットがあるなかで、各クラブで選手たちが体感してきたメリットを詰め込んだクラブにしていきたいです。僕は柏レイソル、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田のことは分かりますが、例えば今回の取り組みでは、僕が知り得ないG大阪や町田ゼルビアのメソッドも取り入れることができる。素晴らしい経験値を持った選手たちが、それぞれ所属してきたクラブの素晴らしい取り組みを還元してくれれば、素晴らしいクラブになっていくと信じています」
クラブオーナーになる現役選手にとっては指導の現場にもなる【写真:Football Assist】
■現役Jリーガー参画の理由は「新たなキャリアを育む環境」
――Jリーガーの方々の参画は、大津さんご自身から直接声をかけられての実現だったのでしょうか?
「そうですね。でも、普段から話している時に、クラブ運営に興味を抱いているメンバーでした。6人だけではなく、まだ発表はできてないですが、決まっているオーナー選手もいますので楽しみにしてください。コンセプトに共感してくれたことがもちろん大きいですが、クラブオーナーになることでそれぞれの選手たちが目指す道にアプローチできるということもあります。例えば、将来指導者になりたい選手が、指導力を身につける場として活用することができる。または、経営の勉強をすることもできる。オーナーとして運営するクラブが、新たなキャリアを育む環境にもなるわけです」
――都内に数多くの社会人クラブがあるなかで、東京リーグ2部スペリオ城北を選ばれた理由をお聞かせいただけますか?
「僕の人生の分岐点は、高校で進学した成立学園だと思っています。選手としても、人間としても成長させてもらいました。成立学園は北区にあるのですが、自分を育ててもらった地域への恩返しとして、北区が所属する城北エリアでクラブを創っていきたいという思いが強かった。思い入れのある北区という地で、クラブの方々と一緒に歩んでいければと思っています」
――今後の具体的な目標やビジョンは描いていらっしゃいますか?
「長期目標は、世界一のクラブにすること。短期目標はJ1優勝ですね。厳密に言えば、直近の目標は、最速でプロリーグまで昇格することになります。J3が5カテゴリー上なので、5年連続の昇格でJの舞台へ到達できます。また、地域に応援されるクラブにしていきたいので、地域の皆さん、サポーターの皆さんに楽しんでいただけるようなイベントも実施していくつもりです。
そして、クラブが選手のことを考えるのはもちろん、選手もクラブのことを考えなければならない。サポーターも同じ視点に立ってもらう。そういったことを“見える化”していけば、組織としてもっと力強いものにしていけるはずですし、これから僕が展開していく取り組みを見守っていただければ、どのようなことを実現していきたいのか分かっていただけるかと思いますので、ぜひ期待してください」(城福達也 / Tatsuya Jofuku)
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