なぜ名将も“最強バルサ的サッカー”を再現できない? 致命的欠点…まるで精進料理【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年1月27日 7時50分
■今季苦戦…マンCに代表される「ポジショナルプレー」の優位性が減退
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はリーグフェーズ第7節まで消化。残り1節となった時点で、ノックアウトステージにストレートインする1~8位には順当な顔触れが並んでいる。当初は伏兵的なチームが上位にきていたが、ここまでくるとほぼ波乱はない状態。マンチェスター・シティがプレーオフ圏内の9~24位にすら入れていないのは意外だが、これも最終節に勝てば滑り込める可能性は残している。
唯一、7戦全勝がリバプール。プレミアリーグでも首位を走っていて、今季ここまでのベストチームである。
今季からアルネ・スロット監督が指揮を執るリバプールは、ユルゲン・クロップ前監督の残したチームにプラスアルファを加えてスムーズに軌道に乗せた。スロット監督が導入した戦術的な秩序によって、よりポテンシャルを発揮できるようになっているが、強さの源はこれまで培ってきたベースだと思う。スピード、パワー、ハードワークだ。
クロップ前監督時代のサッカーは「ストーミング」と呼ばれていた。ライバルのシティに代表される「ポジショナルプレー」に対比される強度重視のプレースタイルである。
ポジショナルプレーの優位性が減退している。パスワークのナビゲーションシステムとしてポジショナルプレーは優れた仕組みであり、それ自体が劣化したわけではないが、その仕組みが普及した結果として対抗措置も広まり、かつての優位性がなくなっている。
もともとポジショナルプレーの優位性(位置的優位、数的優位、質的優位)のうち、質的優位を除く2つは机上に存在しているだけのものだった。簡単に言えば守備側にマンツーマンで対応されたら2つの優位性はなくなる。残りの質で守備側に優位性があれば、ポジショナルプレーの優位性はゼロになるわけだ。
あえて言うなら、位置的優位と数的優位というギミックが相手のハードワークに消され、結局のところ質を問われているのが現在の状態なのだろう。
■ペップが再現しようとしたバルサのサッカー、欠けている大事な要素とは?
ポジショナルプレーの普及はバイエルンの練習場を写した航空写真から始まったと言われている。いわゆる「5レーン」によって急速に理解されていった。これはペップ・グアルディオラ監督がFCバルセロナのサッカーをバイエルンで再現するために引いた補助線だ。ただ、バイエルンと続くシティにおいて、ペップはバルセロナのサッカーを本当のところ再現できていない。どちらも素晴らしいチームだが、かつてのバルセロナとは似て非なるものと言っていいと思う。
シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ブスケツ、リオネル・メッシの下部組織出身者を軸としたパスワークは、その後のポジショナルプレーとはパスワークの距離も違えば、プレーの芯にある感覚も違っていた。彼らなしでバルセロナ的なサッカーを実現するために作った型が5レーンでありポジショナルプレーであり、いわば違う材料で作られた精進料理みたいな仕上がりだろうか。
かつてのバルセロナにあってポジショナルプレーにないのは、「間」であり相手のスピード、パワー、ハードワークを利用して解体に追い込む発想である。この最も大事な要素なしに再現は無理であり、強引に型に押し込めてプレーを自動化させた結果、スピード、パワー、ハードワークという相手の土俵での競争になってしまった。
体力的に優れた相手をどう攻略すべきか。もう一度、この原点に立ち返らない限り、より強力なスピード、パワー、ハードワークに呑まれていく状態はしばらく続くのではないかと思われる。(西部謙司 / Kenji Nishibe)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
久保獲得へバルサは「何でもするつもり」 リバプール「優位」も…”古巣”の動きを海外注目
FOOTBALL ZONE / 2025年1月21日 11時59分
-
【2024-25 ラ・リーガ前半戦ベストイレブン】3つ巴の争いも3位のバルサから最多4選手を選出
超ワールドサッカー / 2025年1月18日 18時31分
-
マンCやバルサはなぜ失速? ポジショナルプレー強豪に壁、「脅威と背中合わせ」の代償【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年1月14日 8時30分
-
バルセロナに惨敗のマドリー、アンチェロッティ監督は落胆「悲しいし失望している」
超ワールドサッカー / 2025年1月13日 10時30分
-
飛躍と失速…2024年サッカー界の「変化」 面より点、流れより刹那の爆発力【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2024年12月29日 7時50分
ランキング
-
1ドジャース入団・佐々木朗希の“球速が落ちている”深刻な懸念 SB元投手コーチが指摘する原因「大切に育てられすぎたツケが顕在化した」
NEWSポストセブン / 2025年1月27日 16時15分
-
2豊昇龍が横綱昇進へ 横審が満場一致で推挙を決める
スポーツ報知 / 2025年1月27日 18時21分
-
3河村勇輝がチーム最多11アシストの活躍 3Pラインから華麗なアリウープパスに会場沸く
日テレNEWS NNN / 2025年1月27日 15時20分
-
4【DeNA】トレバー・バウアー復帰をファン参加イベントで電撃発表 ユニホーム姿でVTR出演し「ファンのために優勝を勝ち取る」
スポーツ報知 / 2025年1月27日 16時30分
-
5大久保博元氏「巨人がぶっちぎって優勝と思ったが…」バウアー復帰でセV争いに変動!
スポニチアネックス / 2025年1月27日 14時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください