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プロ内定逸材が…膝の靭帯損傷で終戦 まさかの大怪我、有終飾れず「なんで上手くいかないんだ」

FOOTBALL ZONE / 2025年1月29日 9時30分

■湘南内定DF松本果成、流通経済大柏で直面した思わぬ1か月

 今冬の高校サッカー選手権で惜しくも準優勝に終わった流通経済大柏。今大会の出場メンバーで、湘南ベルマーレ入りが内定しているDF松本果成の負傷がクラブ側から発表された。診断名は前十字靭帯不全損傷。高校選手権の準決勝・東海大相模戦で負傷した松本は、決勝に出場できず、ベンチ外で仲間の激闘を見つめることしかできなかった。

「この1か月は本当に苦しかったというか、『なんでこんなに上手くいかないんだろう』と痛感する日々でした」

 決勝後のミックスゾーンで松本はこうこぼした。選手権直前の12月19日、流通経済大柏の学校内で行われた大学とのプロチーム加入内定合同記者会見。会場には多くの取材陣が詰め掛けたが、壇上に松本の姿だけなかった。直前に体調を崩し、無念の欠席となった彼は、この体調不良明けからコンディションがなかなか上がらない状態が続き、ベストとは程遠い状況で選手権に臨むことになってしまった。

 大会初戦で40分間、3回戦の大津との大一番では10分程度の出番だったが、上田西との準々決勝では前半33分から出場して1アシストをマーク。そして準決勝でついに今大会初スタメンを飾り、安定したプレーを見せてフル出場した。しかし、試合中に違和感を覚えていた膝は、思った以上に重傷だった。

「体調不良から始まり、こうして準決勝で怪我をして、決勝に出場できない。僕としても思い詰めることがあったし、気持ちがマイナスの方向に行きそうになることはありました」

 だが、こう語る彼の表情は今年見た表情の中では一番晴れやかなように見えた。思い返せば、松本は今年の1年間、あまり生き生きとした表情を見せていなかった印象があったからだ。

 プレミアリーグEASTでは開幕からスタメンを飾ったが、インターハイ予選では決勝で敗戦。湘南入りが内定し、年代別日本代表に選出されるも、そこから知らず知らずのうちにプレッシャーに苦しみ、思うようなパフォーマンスが出せない時期もあった。

 苦しかった1年間の最後も苦しい思いだった。だが、表情は晴れやかだった。その理由を聞くと、彼はこう答えた。

「決勝前日は正直かなり思い詰めることはありましたが、これをこの決勝の舞台に持ち込んでも仕方がないと思いました。チームをもっとリラックスさせたり、試合に集中させたりするように、自分の気持ちよりチーム優先でここに来ましたから、あの激闘を見てもう心が晴れやかになりました」


「プロ内定」という看板を背負いながらプレーをした【写真:徳原隆元】

■ベンチ外で観たチームの全国2位に「誇りに思います」

 決勝前日のミーティングで「俺はみんなに託すことしかできないから頑張って欲しい」と思いを伝え、チームメイトが真剣な表情で聴いている姿を見て、彼の心は切り替わった。

 試合当日にはテーピングなどに松本の背番号である12やサインをして欲しいと頼まれ、1つ1つ心を込めて書き記した。

「みんなが僕の思いを背負おうとしてくれているのが本当に嬉しかったし、全国2位という結果は本当に胸を張っていいことだと思う。僕はみんなを誇りに思うし、このチームの一員であることも誇りに思います」

 この言葉が心の底から湧き上がっている気持ちだからこそ、彼の表情が生まれていた。診断結果を受けて、彼のプロサッカー人生は怪我からのスタートになってしまったが、この1か月間で彼はかけがえのないものを見つけた。

「試合をベンチ外で見ることはあまりなかったので、決勝は観にきている人たちと同じ目線で見させてもらって、外から見ていてもいいチームだなと思ったし、ここで僕がプレーできたことは本当に財産になるなと思いました。仲間たちの1試合に懸ける思いを感じたし、応援してくれる人たちの重みを背負って立ってくれているんだな、自分もその気持ちを自覚とともに持ってあのピッチに立たないとダメだなと、サッカー以前に人として大事なものを教えてもらった気がしました。最後はみんな泣いていましたが、それ以上に得るものが大きかったし、感謝の気持ちしかありません。僕も胸を張って次のステージに進みたいと思います」

 いつしか国立競技場は彼にとって忘れては行けない大切なものを伝えてくれる原点となるはずだ。

「これからの世界はこれ以上に悔しいことだったり、苦しいことだったり、たくさんあると思うのですが、こうやってチームメイトと一緒に乗り越えられたように、ベルマーレでも周りの選手とそういう関係性を築いていけたらなと思います。頑張ります」

 プロサッカー選手にとって一番大切なものを掴んだ男は、力強く未来への第一歩を高校サッカーの聖地から踏み出した。(FOOTBALL ZONE編集部)

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