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オファーに苦悩…「もう1度監督できるなんて想像もしてなかった」 金明輝氏の3年間【インタビュー】

FOOTBALL ZONE / 2025年1月30日 6時50分

■福岡の金監督がインタビューを快諾「退路というか全てを捨てて来ている」

 今シーズンからアビスパ福岡の新監督に就任した金明輝氏が、サガン鳥栖の監督を退任してからの3年間を明かした。突然のオファーに、誰にも相談できず苦悩。「正直、もう1度監督をできるチャンスをいただけるなんて想像もしていなかった」と心境を吐露した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全2回の1回目)

   ◇   ◇   ◇

「たくさんの人に支えられて、たくさんの人に助けてもらって、たくさんの人にお声がけいただいて、今があると思っています。誰かに認められたいとかそういうことではなく、サッカー界にご迷惑をかけたということを真摯に受け止めてやってきたつもりではあります。だからといって禊が済むとも思っていません」

 鳥栖を率いていた2022年の不祥事により、JFA公認S級コーチ(現Proライセンス)からA級コーチジェネラルへの降級処分を受けた金明輝氏。家庭もあるなか職と資格を失い、収入もゼロになった。史上初となる厳罰に、「もうサッカー界で仕事をするべきではないという判断をされたものだと」受け止めた。

 報告書にもあるとおり、被害者は匿名であり金氏側から詮索して謝罪はできない状況。しかし、公の場でこのような言い訳はせず、できることはすべてやってきた。「ほかの人に分かってほしいわけではないですけども、かなり苦しかったです。当然、被害者はそれ以上だと思います」と振り返る。

 2022年は研修と社会奉仕活動に励み、2023年からはFC町田ゼルビアのヘッドコーチに就任。それと平行して、多額の費用と労力を要するため、狭き門とされるS級を一から再取得していた。そんななか、福岡から届いたのが監督のオファー。家族にも重荷になるのではとの思いから、ほとんど1人で思い悩んだ。

「やはり監督という重責を担ううえで自分はふさわしくないのではないか」

「自分の人生を投げ打ってでもこのクラブを成長させたい。選手たちを活躍させたい。クラブのために何かしたい」

 何度も自問自答を繰り返した末、リスクも覚悟のうえでの申し出を無下にできなかった。「退路というか全てを捨てて来ているつもりではいます。結果だけ出せばいいのかと言えばそうではない。優勝してそんなことで許してもらえるだろうとかそんなことも一切思っていません」。金明輝氏は言葉に力を込める。

「僕ができるのはサッカーで人々を感動させたり、選手たちが躍動する姿を見てもらったり、アビスパ福岡というチームを誇りに思ってもらうこと。アカデミーにもたくさん関わっていきたいですし、社会貢献活動も求められるだけではなく、自発的に何かクラブと相談してやることも当然あると思っています」

 筆者は金監督との面識はなかったが、難しい状況でのインタビューを快諾してくれたことに驚いた。こちらとしては過去のことを責めるつもりもなかったが、最初に出てきたのは謝罪の言葉。人は簡単に変われないとの声もあると思うが、3年間でやってきたこと、話す内容には嘘偽りがないように感じられた。

 就任が正式に発表されると批判の声も届いたが、金監督を慕って多くの新戦力も集まった。実際に新体制発表会でも東京ヴェルディから加入したMF見木友哉が「決め手は金明輝監督が就任したこと」、鹿島アントラーズから加入したMF名古新太郎も「明輝さんが就任されるということで楽しみ」と発言している。

 1月6日には練習も始まり、20日からはキャンプへと突入。初日から生き生きとしたミニゲームに、ここまで表情の堅かった金監督に笑顔も見られた。「サッカーは楽しいものだと思うので、そこがなかったらやはり行き詰まると思います」。そう語った金監督は、どのようなサッカーを見せてくれるのだろうか。(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)

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