J1昇格クラブ躍進の鍵は「一体感」 町田&東京Vに倣え…元日本代表が示すトップ基準【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年2月4日 6時50分
■経験を積んだ元日本代表FW江坂任の言葉から岡山躍進のヒントを探る
2025年Jリーグ開幕まで約1週間。各チームとも最終調整段階に入っている。J1リーグ3連覇を目指すヴィッセル神戸、今季こそタイトルを狙うサンフレッチェ広島など昨季上位陣を見ていても分かる通り、30代の経験豊富なベテランがどれだけ存在感を示すかが成績を大きく左右する。それは紛れもない事実だろう。
今季J1初参戦のファジアーノ岡山はより一層、その傾向が強いと見ていい。特に攻撃陣は27歳の岩渕弘人と一美和成、26歳の木村太哉、18歳の佐藤龍之介らが軸を担うと見通しで、J1経験の乏しさが1つの不安要素になり得るのだ。
「僕はJFLからJ3、J2、J1と上がってきたので、やっぱり最初は不安があるというか、自分が本当に最高峰リーグの舞台でできるかという思いは正直、あります」と岩渕も本音を吐露していた。
そういった面々の背中を押し、力強くサポートしていくべきなのが、今季加入した32歳の江坂任だ。ご存知の通り、彼は柏レイソル時代の2021年3月に日本代表デビューを果たし、韓国相手に1ゴールをマークしているビッグネームである。
「今季の岡山は本当にチャレンジしていくクラブ。J1初挑戦ですし、J1が初めての選手も多い。ある程度、そのカテゴリーを経験している自分がうまく引っ張っていければいいかなと思います」と本人も自分に課せられた役割をよく認識している様子だ。
実を言うと、江坂自身も数々の挫折を糧に這い上がってきた“成り上がり組”だ。中学入学時点ではヴィッセル神戸U-15のセレクションに落選。神戸弘陵高校時代もプロからお呼びがかからず、流通経済大学へ進んでチャンスを伺った。その思惑通り、3年の総理大臣杯と4年のインカレで得点王に輝いたが、オファーが届いたのはJ2のザスパクサツ群馬(現ザスパ群馬)だけ。そこで1年目から活躍し、2016年には当時J1の大宮アルディージャへステップアップを果たし、2年後に柏に引き抜かれ、さらに浦和レッズ、蔚山現代を経て、岡山に赴いたのである。
■鹿島とのトレーニングマッチでは4得点を決めるなど、岡山が可能性を示す
「自分もそうだったけど、J2にいてもJ1でできるクオリティーやポテンシャルを秘めている選手は少なくないと思います。それは僕自身も実際に行ってみて分かったこと。2025年は岡山の選手たちがJ1でどれだけ通用するかにビビらずチャレンジする年になると思います。そこで活躍する選手が1人でも多く出てくれば、岡山のJ1定着に近づくし、本当の意味でJ1のクラブになれる。そう思っています」と彼は自身の経験を踏まえつつ、力を込めていた。
近年のJ1は実力が拮抗していて、J2から上がってきたチームが大躍進を遂げる例も少なくない。最たるものが、2024年のFC町田ゼルビアと東京ヴェルディだ。J1初参戦だった町田が最後の最後まで優勝争いを演じ、資金力に乏しいヴェルディが6位にジャンプアップするなど、一体、誰が予想しただろうか。結束力の強い岡山も同じことが可能かもしれないのだ。
「昨年の町田とかヴェルディじゃないですけど、やってきたことをしっかりベースを守りながら、チームとして戦うことが一番かなと思います。昨年のJ1昇格プレーオフを見ていても、一体感で勝った部分もあると思う。町田やヴェルディもそういう一体感で最後に追いついたり、勝ったりしていた。このクラブもそういうところを大事にしていくべきですね」と江坂は言う。
確かに、1月24日の鹿島アントラーズとのトレーニングマッチでも、組織的なハイプレスとハードワークを前面に押し出し、一時は4-0でリードした。最終的には5-4まで追い上げられたが、鈴木優磨やレオ・セアラといった強烈なタレントを誇る相手でも遜色ない戦いができるという自信を多くの選手が抱いたはず。持ち前のチャレンジャー精神が一段と高まったに違いない。
■江坂が目指す攻撃の活性化「監督やGMにも言われている」
江坂に託されるのは、ゴール前で圧倒的な違いを見せること。昨季J2で岩渕が13ゴールを挙げたように、チーム屈指の得点源になることが肝要だ。
「2024年は総得点が少なかった(48点)と聞いていますけど、ゴール・アシストという数字はまず必要ですね。それ以上に攻撃を活性化させるところが求められていると思う。リスタートのキッカーも任されると思いますけど、1つでも多く勝利に貢献していきたい。それは木山(隆之)監督や服部(健二)GMにも言われていること。チーム全体を見ながら、いい時も悪い時もいい方向に持っていけるようにやっていきたいと思います」と彼は絶対的主軸アタッカーの自覚を持ってピッチに立つ覚悟だ。
大宮や柏時代の江坂は口数が少なく社交的なタイプとは言えなかったが、韓国などでの修羅場経験を経て、人間的な器も大きくなった印象だ。
「昔は人見知りだった? 確かにそうかもしれませんね(苦笑)。韓国では本当に日本では経験できないことを沢山やってきましたね。あとは年齢を重ねたのも大きいと思う。自分も30代半ばになるし、このチームでは周りを引っ張る立場なので、それも意識しながら頑張ります」
チームメートはもちろんのこと、木山監督やコーチングスタッフにも頼られるであろう江坂。彼が安心感や安定感を与えてくれれば、何があっても岡山は崩れない強固な集団になれる。今季のサプライズを演出するのはこの男だ。(元川悦子 / Etsuko Motokawa)
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