バルセロナでも圧倒できず…今季も続く“ハイプレス優位” バックパス多用の打開策【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年2月6日 7時50分
■ビルドアップvsハイプレス、現状を認識するうえで興味深い一戦
ビルドアップvsハイプレスの構図はどの試合でも見られるが、今季は特にハイプレス側が有利になっている場面が目立っている。可変ビルドアップに対してマンツーマン、ないしはほぼマンツーマンでプレスするので、可変の意味はなくなっていて優位性もなくなりつつあるわけだ。
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第8節のFCバルセロナvsアタランタは、ビルドアップvsハイプレスの現状を認識するうえで興味深い一戦だった。バルセロナは伝統的にボール支配によるゲーム支配を一貫して指向してきた名門。一方のアタランタはマンツーマンのハイプレスに定評のある勢いのあるチームである。
結果は2-2。スコアが示すとおり、双方の持ち味が発揮された展開だった。
バルセロナはやはりむやみにロングボールを使うことなく、最深部から足下へつないでの組み立てを図っている。彼らの用語である「デ・カラ」を頻繁に使っていた。なんと訳すのがいいかは分からないが、意味は要するに「顔」である。顔が相手ゴール方向に向いている味方を使う、つまりより視野が開けていて良い判断のできる選手にバックパスすること。
自陣深くのデ・カラはGKへのパスになることが多いが、バルセロナは躊躇なく行っていた。アタランタはマンツーマンで漏れなく捕まえに行くが、そのためバルセロナのGKシチェスニーはフリーになる。GKをマークするには、誰かがマークしている相手を離さなくてはならない。そのためGKはフリーのままプレーするか、アタランタがGKへプレスするにしてもマークの受け渡しがあるぶんタイミングは遅れ気味になっていた。
バルセロナはGKへのパスに限らず、バックパスを多用していた。より余裕のある味方にプレーさせるだけでなく、ボールを後方へ下げることで相手を釣り出す意図がある。釣り出しておいて前方へクサビを入れ、相手と入れ替わってフリーでリターンを受ける。アタランタの執拗なマークをワンツーで外していくつもりのようだった。
前線で起点になろうとしたロベルト・レバンドフスキ(写真右)【写真:ロイター】
■弱点を巧みに突いたバルセロナの鮮やかな攻撃
後半2分の先制点は、まさにそうした崩しから生み出されている。
GKから左に開いたバルデにパス。バルデの斜め前方にラフィーニャが下りてきて受けようとするが、途中でラフィーニャは方向を変えて相手ゴール方向へスプリント。ラフィーニャがマークを引き連れて方向を変えたことで開けたスペースにレバンドフスキが下りてくる。バルデはレバンドフスキの足下へパス、これをレバンドフスキがワンタッチで左サイドに捌くと、そこには最初にパスを受けようとして方向を変えていたラフィーニャ。左サイドの裏へ抜けたラフィーニャが中央へパス、受けたヤマルが飛び出したGKをかわしてシュートを決めた。レバンドフスキはバルデにリターンしていないのでワンツーそのものではないが、レバンドフスキを壁に使った壁パスである。
マンツーマンでマークされると縦パスを受けるのが難しい。背後からぴったりマークされているので、止まった状態でパスを受けるとボールを奪われやすい。そこで、できるかぎり動きながら受ける、さらに受けたボールをワンタッチで捌くことが重要だ。この得点では、最初にラフィーニャが受けに行って止め、ラフィーニャが動いたあとのスペースにレバンドフスキが良いタイミングで下りてきたのが決め手になった。ラフィーニャは方向転換で相手の背後を突いているので、レバンドフスキのパスを受ければ自動的に決定機になった。
マンツーマンのハイプレスは1つ外されただけで大きなピンチになる。その弱点を巧みに突いたバルセロナの鮮やかな攻撃だった。ただ、バルセロナは壁パスを使った打開を何度も試みていたが失敗も多く、アタランタの守備が蹂躙されていたわけではない。
バルセロナのビルドアップvsアタランタのマンマークプレスは、トータルでは試合結果どおりのドローという印象である。バルセロナの精度をもってしても圧倒できなかったわけで、全体にハイプレス優位の傾向はまだ続くものと思われる。(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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