J開幕前の風物詩…シーズン移行で「どんなものをやったらいいか」 見習うべき英国の伝統【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年2月7日 8時30分
■J新シーズン開幕を告げる富士フイルムスーパーカップが2月8日開催
Jリーグは先月30日、「富士フイルム スーパーカップ2025」の概要発表記者会見を行った。
今年は昨シーズンのJ1チャンピオンであるヴィッセル神戸が天皇杯との2冠を達成しているため、J1リーグ2位のサンフレッチェ広島と2月8日に国立競技場で対戦する。
記者会見に出席したのはJリーグ野々村芳和チェアマン、富士フィルムビジネスイノベーション浜直樹社長、アンバサダーの槙野智章氏。今回の会見では神戸の吉田孝行監督、広島のミヒャエル・スキッベ監督のコメントはなく、両チームの選手、神戸は山川哲史、広島は佐々木翔のコメントが読み上げられるに留まった。
32年間も続いているイベントなのだから、概要発表ももう少し派手でもいい気はするし、当事者の声が直接聞けなかったのは少々寂しい気もするが、そこは仕方がない部分もあるだろう。各チームはシーズン前の追い込みとなる合宿の最中だったのだから。
それでも、この歴史ある「スーパーカップ」の持つ意義は大きい。
まず、シーズンの到来を知らせるのに最適だ。もしもスーパーカップがなく、それぞれのチームがリーグ戦でスタートした場合、注目するポイントがいくつにも分かれてしまう。その点、このような開幕を象徴するようなゲームがあれば、伝わりやすくなる。
また、出場する両チームにとってもメリットがある。シーズン当初はどうしても試合勘が戻っておらず、ギクシャクするものだ。だが、ここで1週間だけでも早めに公式戦をこなしておくことで、「温まった」状態で開幕を迎えることができる。もしもスーパーカップでうまく行かなくても、リーグ戦までに修正することができるというメリットもある。
過去の名勝負も多い。1994年に始まったこの大会で、これまでの31試合のうち2点差以上がついたのは10試合しかない。1点差以内だった21試合のうち、PK戦で決着したのが9試合もある。68パーセントの確率で、僅差のヒヤヒヤする戦いが見られるのだ。
過去最も観客を集めたのは1995年3月11日のベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)とヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の一戦。改修前の国立競技場に5万3167人を集めた。この試合は後半4分までに平塚が2点を奪ったが、同37分からV川崎が2点を決めてPK戦に突入。最後はV川崎が大会連覇を飾った。
■現在の大会フォーマットによる試合は今年が最後に
この試合でV川崎の10番をつけていたのは長谷部茂利、現川崎フロンターレ監督。同点ゴールはJリーグ初期の人気者の1人で、この年鹿島アントラーズからV川崎に移籍したアルシンド。なお、後半37分には新人の中田英寿も交代出場している。
スーパーカップは新型コロナウイルス後、順調に観客数を回復し、2023年は5万923人、24年は5万2142人と増やしている。今年は新たなサッカーファンの獲得も狙って、過去の動員記録を抜きたいところだろう。
一方で、現在の大会フォーマットによる試合は今年が最後となる。シーズン移行となる来年はハーフシーズンの大会が組み込まれる。その後を考えても、これまでは12月初頭にリーグチャンピオンが決まり、1月1日に決まった天皇杯勝者と2月に戦っていた。
シーズン移行すると5月〜6月にリーグのチャンピオンが決まり、12月〜1月に決まっていた天皇杯王者と8月に対戦するということになる。スーパーカップが行われる頃には「なんでこのカードなんでだっけ?」ということにもなりかねない。
野々村チェアマンは「どんなものを日本のサッカーのためにやったらいいか」と検討しているとした。ここはカードや大会の意味づけなど知恵の出しどころであることは間違いない。
そこで1つ提案がある。
現在、イングランドではシーズンインの一週間前に「コミュニティ・シールド」としてトップリーグのチャンピオンとFAカップの勝者が対戦している。1930年以降、ほぼこの形で行われてきている伝統の試合は、かつて「チャリティ・シールド」と呼ばれ、収益金は病院や慈善団体に分配されていた。現在も全国のコミュニティや慈善団体に分配されている。同じようなチャリティはJリーグのスーパーカップでもできないだろうか。
日本サッカー界も、また各Jクラブもそれぞれが社会貢献を行っている。その象徴としてこのスーパーカップを使ってはどうだろうか。そうすればさらに大会に意味が加わるし、なによりJリーグの姿勢をもっと広く伝えることができる。
サッカーを見て楽しんで、そして心も温まる。スーパーカップがそんな大会になってほしいものだ。(森雅史 / Masafumi Mori)
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