Jリーグ33年目に浮かぶ“不足”と課題 欧州名門との差…ACL勢に必要な「底上げ」【コラム】
FOOTBALL ZONE / 2025年2月11日 12時1分
■リーグと天皇杯の王者激突…課題を浮き彫りにした神戸×広島のスーパーカップ
本来ならリーグと天皇杯の王者が対決するスーパーカップは、東京・国立競技場に過去最多の5万3343人を集めて幕を閉じた。
ただし五輪使用の器とアクセスの良さなどが追い風になり集客には成功したが、それなりの高額チケットに相応しい内容を提供してJリーグのリピーターを増やせたかどうかは大いに疑問だ。むしろ開催方式、時期、場所などの再考なしには、継続が難しい状況にきていたという見方もできる。
もちろん昨年2冠のヴィッセル神戸とリーグ2位のサンフレッチェ広島なので、今年も優勝候補として注目を集めていくことは間違いない。だがリーグが設定したスケジュールは、奇しくも両チームの課題も浮き彫りにした。
両チームとも近年一貫して優勝候補であり続けたわけではない。開幕から32年間の歴史を踏まえれば、神戸は新興勢力で、比較的コンスタントな成績を残してきた広島も復興途上の色が濃い。今後も上位で君臨しアジアの舞台でも活躍し続けるには総合力のアップが不可欠なのだが、そこがまだ十分ではない。
3日後にAFCアジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)エリートを控える神戸は、大半のスタメンを温存する策を採った。まだJ1での出場時間が数分間に過ぎない日髙光揮、同8試合の山内翔、あるいはJ2で3年間戦って来た新加入の本山遥らを、優先的に長くプレーさせられたのは効果的な実験になったかもしれない。
吉田孝行監督は「個々のパワーが不足していた」と認めながら語っている。
「1つの大会なら少人数でも乗り切れるが、複数の大会をこなすにはチーム力が要る。勝負にこだわるのも大事だが、昨年まであまり試合に出られなかった選手たちにチャンスを与えていくのも大切だ」
一方、広島は4日後にAFCアジア・チャンピオンズリーグ2(ACL2)のベトナムでのアウェー戦を控えていたが、ほぼベストメンバーで臨んできた。高校生の中島洋太朗がフル出場をして「J1のトップレベルのプレー」(ミヒャエル・スキッペ監督)を見せるなど収穫も少なくなかったが、逆にそれなりのターンオーバーを取り入れていかなければフレッシュなチーム状態を保つのは難しい。
指揮官も「このカップ戦は1試合で終わり。今後への影響なない」と強調し「ウチはおそらくJ1で選手の数が一番少ない。だから1試合1試合を大切にしていく必要がある」と危機感を表していた。
■負担を考えれば…神戸と広島に求められる「底上げ」と「チーム力維持の総合力」
もはや欧州に倣って、アジアのトップチームも過密日程が常態化している。
例えば現欧州王者のレアル・マドリードのようなビッグクラブでも、エデル・ミリトン、ダビド・アラバ、アントニオ・リュティガー、ダニ・カルバハルなどDF陣に故障者が相次ぎ、カルロ・アンチェロッティ監督はほかのポジションから移して埋めるなどチーム編成に頭を悩ませている。もちろんレアルに限らず、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)を戦うようなビッグクラブの故障者リストは膨らむ一方で、むしろ主軸が誰も欠けていない状況で戦えるならそれは僥倖だ。
ましてJリーグは、厳しい夏場の試合も少なくない。こうした負担を考えれば、神戸や広島は、まだアジアと国内を両立し続けるには戦力が不足している。もっとも昨年のスーパーカップでは、ターンオーバーで主力を温存した川崎フロンターレが素晴らしい質を見せたが、この総合力がシーズンには反映されなかった。つまり優勝を狙うなら、底上げをしながらも最高に近いチーム力を維持する総合力(バランス)が試される。
神戸も広島も、すでに優勝戦線に加わる力は証明済みだ。だが神戸は主軸が、広島はDF陣がベテランで固定されつつあるので、そこがシーズンを通して健在である保証はない。この課題を上手く乗り切れなければ、浦和レッズ、川崎、鹿島アントラーズなどほぼ国内に集中できるチームの逆襲に遭うことになるのかもしれない。(加部 究 / Kiwamu Kabe)
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