開幕2戦目で古巣戦「ちょっと嫌だな」 覚悟のJ2移籍…批判的な声は「全く届いてない」
FOOTBALL ZONE / 2026年2月14日 10時10分
■藤枝MYFCの菊井悠介が迎える古巣戦
元日本代表DFの槙野智章新監督を迎えたJ2の藤枝MYFCに、覚悟を決めて加入した新10番がいる。キャプテンと10番を担っていたJ3の松本山雅FCから、完全移籍で加入したプロ5年目の26歳・菊井悠介は、14日のJ2・J3百年構想リーグ第2節で早くも実現する古巣との対決に特別な思いを募らせている。(取材・文=藤江直人)
藤枝MYFCの「10番」を新たに託された菊井悠介は、運命の悪戯を感じずにはいられなかった。
2022シーズンに流通経済大学から加入し、4年間プレーしたJ3の松本山雅FCから、槙野智章新監督の就任で注目を集めていたJ2の藤枝への完全移籍が発表されてから2日後の昨年12月15日。秋春制へのシーズン移行に伴って開催される特別大会、百年構想リーグの地域リーグラウンドの組み合わせが発表された。
総勢40チームが東西に、さらにそれぞれがAとBの計4グループに分けられるJ2・J3百年構想リーグで、藤枝は「EAST-B」に入った。そして同じグループに松本も名を連ねた。菊井が思わず苦笑する。
「うれしく思ったのが半面と、ちょっと嫌だなと思ったのが半面という感じでした」
同26日にはJ1を含めた全グループの第2節までの詳細が発表された。藤枝はともにホームの藤枝総合運動公園サッカー場に8日の開幕節でFC岐阜、そして14日の第2節では松本を迎える日程となった。
覚悟を決めて藤枝への個人昇格を決めた。それが一生に一度となる特別大会で古巣の松本と同じグループになり、かつ開幕早々に公式戦で対峙する。いまでは菊井のなかでモチベーションがかき立てられている。
「しっかりと自分らしいプレーをして、松本山雅のファン・サポーターに対してもそうですし、藤枝のファン・サポーターにも『藤枝の中盤は菊井だ』と言ってもらえるような活躍をしたいと思っています」
松本に加入して3年目の2024シーズンから10番を託され、キャプテンを拝命した。ルーキーイヤーから主軸で起用され、4年間でJ3リーグ戦126試合に出場。最多だった昨シーズンの7ゴールを含めて、合計21ゴールをあげた。思い入れの強い松本へ、移籍が発表されたクラブ公式ホームページで菊井はこんな言葉を綴った。
「藤枝MYFCに移籍する決断を全員に理解してもらおうとは思っていません。もちろんいろいろな意見があると思います。でも僕はこの決断を必ず正解にしていきます」
松本をJ3から昇格させられなかった4年間を「心残り」とした菊井は、簡単な決断ではなかったと前置きしたうえで、後ろを振り返らずに移籍を決めた。別れの言葉に込めた真意を聞くとこんな言葉が返ってきた。
「僕はあのクラブ(松本)に入ったときから、あのクラブでJ2、J1に昇格して引退する夢をもっていました。あのクラブにすごく成長させてもらっていたので、たとえ移籍するにしても何か結果で恩返ししてから、というところも考えていたなかで、何もできずに去る形になりました。そういう言葉を口にしていたからこそ、この移籍に対して『気持ちよく行ってこい』と言ってくれる人だけではないと僕は思っていたので」
しかし、いい意味で裏切られた。批判的な声は「まったく届いていなくて」と菊井は心を震わせた。
「みんな『J2で暴れてこい』と。本当にそういった言葉ばかりでしたし、あとは『キャプテンを務めてくれてありがとう』という感謝の気持ちが込められたメッセージがほとんどでした」
大学を卒業したJリーガーにとって、現役でプレーできる時間は決して長くない。流通経済大学の同期生で、いまもよく連絡を取り合う佐々木旭(川崎フロンターレ)や佐藤響(京都サンガF.C.)、菊池泰智(名古屋グランパス)らのJ1勢に刺激を受けているからこそ、自分も、という思いがどうしても膨らんでくる。
迎えたオフになって藤枝からオファーが届いた。菊井は自分が抱く思いに素直に従った。
「自分もちょっとずつ年齢を重ねてきているなかで『勝負したい』と思っていたので。そこで自分のプレースタイルと藤枝さんがやりたいプレーモデルが非常に合うと感じたので、そこで決断しました」
そして新天地でもエースナンバーの10番を託された。驚くとともに意気に感じたと菊井は振り返る。
「僕自身としてはそれほど背番号にこだわりがあるタイプではないんですけど、強化部の方から『10番をつけてほしい』と話をいただいたときに『誰にでも与えられる背番号ではない』と感じました。だからこそ、この番号を背負うからにはしっかりとまっとうしよう、自分らしいプレーをしよう、と思いました」
中学生時代はヴィッセル神戸のアカデミーでテクニックを磨いた。3年次に全国高校サッカー選手権大会に出場した大阪桐蔭高校から進学した流通経済大学では、3年次だった2020年に運命的な出会いがあった。
コーチを務めた曺貴裁氏(現・京都監督)に感謝しながら、菊井はこんな言葉を残している。
「チームのために走る、チームを助ける、というところは曺さんと会うまでの僕にはなかったものでした。プレーの質はある程度ありましたけど、量が伴っていなかったというか。メンタル的な部分も含めて『長所がない』と言われた自分を、プロの世界に入れるまでに変えてくれたのが曺さんでした」
大学3年次に変わり、松本でさらに肉づけされた菊井の武器はまさに「10番」に求められるものだった。
「攻撃の部分でのアイデアやスルーパス、ドリブル、シュートというところですね」
岐阜との開幕戦で「3-4-2-1」のシャドーで先発した菊井は後半43分までプレー。しかし、前半42分にPKで先制された藤枝は後半にも失点し、百年構想リーグでJ3勢に敗れた初のJ2クラブとなった。
それでも槙野新監督が掲げるサッカーに「見ている人も、プレーする選手も面白いと感じるサッカーだと思う」と共感する菊井は、新天地での初陣で喫した黒星をすでにポジティブなものに変換している。
「後半はちょっとバタバタしてしまいましたけど、前半は自分たちのリズムでプレーできていましたし、相手ゴール前にも多く入っていけた。それを90分間続けながら、自分はゴールやアシストにこだわっていきたい」
移籍という決断を正解にしていくための戦いはまだ幕を開けたばかり。身長173センチ・体重73キロの身体に古巣への恩返しの思いを詰め込みながら、菊井は14日の松本戦で貪欲に勝利を求めていく。(藤江直人 / Fujie Naoto)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
神戸復帰を決めた“3つの思い”「僕たちが最年少」 26歳生え抜きの矜持と自負「前線の選手なので」
FOOTBALL ZONE / 2026年2月11日 7時40分
-
【J2藤枝】新加入の背番号10菊井悠介が古巣・松本戦で槙野監督体制初勝利を狙う「勝つことが松本への恩返し」
スポーツ報知 / 2026年2月10日 14時47分
-
槙野監督に完勝「狙い通り」 J3指揮官が指摘…突いた弱点「マネジメントできてない」
FOOTBALL ZONE / 2026年2月8日 19時30分
-
槙野監督、円陣で熱弁「結果で返さなきゃ」 J3に黒星…下剋上許し「不名誉な記録を変えられるよう」
FOOTBALL ZONE / 2026年2月8日 16時44分
-
J2藤枝・槙野智章監督、黒星発進でJ初勝利ならず J3岐阜に0-2…リーグ初の下剋上許す
FOOTBALL ZONE / 2026年2月8日 15時27分
ランキング
-
1男女モーグル、日本製スキー板がまた「快挙」…2大会連続メダル独占に社長「選手とご家族に感謝」
読売新聞 / 2026年2月13日 7時25分
-
2ミラノ五輪の誹謗中傷コメント6万2333件「輪にかけてやってくる人たち」選手団長が中間会見
日刊スポーツ / 2026年2月13日 22時32分
-
3【サウジC】矢作師「残念ながら3連覇できない」「ウチの馬も行くことが考えられる」/一問一答
日刊スポーツ / 2026年2月12日 16時4分
-
4【五輪】戸塚優斗が金メダル「何回もやめよう、やめようって」「爪は金色にした」 一問一答
スポーツ報知 / 2026年2月14日 6時8分
-
5「高めあえる存在」平野歩夢へパリ金の堀米雄斗がエール 東京五輪でスケボーで共に日本代表に
日テレNEWS NNN / 2026年2月12日 16時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
