目標は『テラマフィア』が世界を動かすこと 〜テラモーターズ徳重徹社長に聞く未来〜

Forbes JAPAN / 2016年3月23日 10時31分

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3月16日、電動バイク(EV)の開発、製造、販売を手がけるテラモーターズの徳重徹代表取締役社長が、ドローン事業への進出を発表した。EV業界のトップを走り続ける徳重社長に、フォーブス ジャパンは独自の経営論について伺った。

テラモーターズ 代表取締役社長 徳重徹氏
(インタビュアー:フォーブス ジャパン副編集長/WEB編集長 谷本有香)

谷本有香(以下、谷本):徳重さんのご活躍を拝見していると、まさにナチュラルボーンの起業家のように思いますが、その資質は生まれ持ってのものなのか、それとも環境で培われたものなのでしょうか。
 
徳重徹(以下、徳重):環境ですね。大学に入るときに、浪人しているんです。東京では浪人は普通のことかもしれませんが、僕が生まれ育った山口の田舎では、超挫折者なんです。人生の大失敗に匹敵する。精神的にとても弱ってしまって、なんとか自分を立て直そうとして『負けてなるものか』(1986年、松本順)という本を手に取ったんです。

本田宗一郎など著名な人々のエピソードをもとに“起こったことに対していい面を見ようとする人が成功する”と書いてあった。たとえば松下幸之助は、人使いの名人です。なぜなら彼は、自身が病気がちでできないことが多いから、人に頼むしかないんですね。逆転の発想で、それを経営者の資質につなげているんです。僕にとって浪人は大失敗でしたが、悔しさはリベンジのバネになりました。

大学に入ると、信念ができました。一つは「大を成す」。これは坂本龍馬の名言「世に生を得るは事を為すにあり」から。もう一つは、「世界でやる」。これはソニーやホンダから学んだことです。社会に出てからも、これらが原体験となっています。シリコンバレーの人たちを目の当たりにしたときや、アジア市場での戦っている今も、思いの蓄積が結果につながっています。

谷本:幕末の志士や戦後の立ち上げに関わった方々はある意味で日本への危機感を抱いていたからこそ、事を為し得たように思いますが、徳重さんの危機感はどこからきているのでしょうか?

徳重:実は、1年ほど運用をしたことがあるんです。そのときに、為替のいろはに始まりヘッジファンド、世界情勢、自分の将来に至るまで徹底的に研究しました。すると、借金の多さも含めて日本が本当に大変な状況であることがわかったんです。超高齢化社会、借金がますます増える、という点においてこれだけ不確実性が高いなかで、経営者的な視点で日本を見ると“社会保険を大きくカットする”か“消費税を上げる”しか対策はない。企業でいうならリストラですよね。10年くらい前から、僕のなかには第三の敗戦くらいの危機感があるんです。

もうひとつの方法が成長戦略です。新しい会社ができてイノベーションが起き、さらに起業家の細胞分裂が起これば一つの産業になるんじゃないか。20年間デフレが続いて、大企業の人たちは既存の製品の利益を守るために経理圧縮に注力してきたわけです。20年間それだけでやっていた人に新しい事業を作れと言っても、難しいですよね。だからこそ起業家だとか、新しいことを作る人が重要だと僕は思っています。
--{日本はもっとチャレンジを奨励すべき}--
谷本:開拓者のような精神ということですね。

徳重:海外に行くことも重要なんです。テラモーターズは、創立後すぐにアジアへ展開しました。テラドローンも、日本と世界、同時に進行していきます。日本と海外ほぼ同時に進出なんて、ベンチャーの常識をはずれています。仮に大企業の事業だとしても、日本では考えられないことです。

なぜかというと、日本がとにかくリスクを気にする国だからです。ある大企業は「国内ではリスクをとるけど、海外ではリスクはとらない」という理由で、ある事業の海外進出を諦めたといいます。10個くらいリスクを挙げて、全てを潰さないと踏み切らない。

しかし、新興国に行ってみると、誰もリスクなんて言わないんです。とにかく“Opportunity Loss(機会損失)”ばかり。グレーな部分があっても、とにかく飛び出す。荒地をブルドーザーでまわしていきながら、最後には整地、きちんとする。そのときには、規模的にもすごく成功している。日本はもっとチャレンジが奨励される社会になることが重要だと思います。

谷本:1,000億円売り上げるメガベンチャーになるという今の目標を達成されたら、その先はどのようにお考えですか?

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徳重社長とインドの現地スタッフ

徳重:「産業をつくる」ことと「教育」を僕は大事にしています。ドローンの新会社を設立したように、まだまだイノベーションを生み出す会社を次々とつくりたいという思いがある。また、「教育」という意味では、同郷の吉田松陰もすごかったのですが、彼の門下生が国を造っている。産業をつくることも大事ですが、日本には圧倒的にプロの経営者が少ない。しかも、グローバルな視点で見られる人がいない。

だから次のステージとしては、イーロン・マスクもそうですが、YouTube、LinkedInの創業者など、いまシリコンバレーで活躍している人のほとんどが元は米・PayPal社出身であることから“ペイパル・マフィア”と呼ばれているように、僕は“テラマフィア”をつくっていきたいですね。

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