機械を「子ども」と考える、協業が当たり前の時代に

Forbes JAPAN / 2017年9月12日 8時30分

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未来の「働く」を、「創造的活動」から考えてみよう。

これまで、デザイン、音楽、研究といった活動は、人間だけの専売特許とされてきた。しかし今、そんな前提を大きく崩れつつある。「コンピュータに、創造はできるのか」という問いに挑む「機械創造学(Computational Creativity)」という研究領域が、急速に発展しつつあるのだ。

例えば、いつの日か、AIだけで編成された研究チームが、ノーベル賞級の優れた研究成果を出すとする。しかし、これはほんの序の口。本当に機械が創造的になれば、機械にしか理解できない科学的発見を機械がする未来がやってくる。素晴らしい研究かどうかすら、人間が判断できない。その時、研究を生業にする科学者にとって、「働く」ことの意味が大きく変わるのは明らかだ。

「テクノロジーが進化すれば、機械がより創造的になり、人間には到底理解できない複雑な現象を読み解ける存在になるのは自明。だから、機械と競争しても仕方がない」

「潔い諦め」とも取れる客観的な未来観を持つのは、Lax Capitalに在籍する複雑系科学者のサミュエル・アーブスマン。彼は、より生産的に働くために、機械と良き「パートナー」になることを提案する。

「もはや人間の認知力を超えたメカニズムを持った機械を、別の機械に理解させることで使いこなす。そうすることで、人間が新しい次元の創造性を手に入れられるはず」

ただ、社会の中では、「AIが人間の雇用を奪う」という悲観論も根強い。アーブスマンは、人間と機械が良きパートナーシップを結ぶために、最後にこんなアイデアを話してくれた。

「人間には、少なからず、自分ではない他人の活動に、誇りや喜びを持つ習性がある。例えばあなたの子どもが結婚したり、大学を卒業したりすれば、我が事のように誇りや喜びを感じるだろう。機械でも同じだ。創造的な機械を生み出したのは、紛れもない私たち人間で、機械は私たちの『子ども』。そんな心持ちが、より生産的なパートナーシップの糸口となるはずだ」

機械創造学(Computational Creativity)とは

AI、認知心理学、哲学、アートにまたがる学際的な概念。人間の創造性をコンピュータを用いてモデリングし、複製することを目指す。アルゴリズムによるアプローチで人間レベルのクリエイティビティを獲得することはもちろん、人間の創造性そのものを拡張するようなプログラムをデザインする。

音楽やアート、小説、そして数学的な定理までもがコンピュータの処理範疇になるとすれば、コンピュテーショナル・クリエイティビティは人間と機械の労働の棲み分け、働く意味の再定義を迫っていく。また、創造性を数学的に定義し、定量化を実現することも期待されている。

サミュエル・アーブスマン◎複雑系科学者。Lax Capitalに在籍。コロラド大学ボルダー校上級研究員。ロング・ナウ協会主任研究員。ベンチャーキャピタル所属の科学者として、ゼネラリスト思考を追求する。

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