ブロードウェイと「glee」の俳優、T・レオンが語る自らのルーツ

Forbes JAPAN / 2018年9月23日 17時0分

写真

テリー・レオンの両親は、息子をハーバード大学へ進ませ、医師か弁護士にさせたいと思っていた。「僕の両親は、大学を出ていないブルーカラーの移民。僕にはハーバードに進学して、年収10万ドル以上の医者や弁護士になり、経済的に安定してほしいと思っていた」

レオン自身は自分をパフォーマーだと思っていたものの、生活の苦しい演技の道を進むことについて、両親はいい顔をしなかった。なので、従順な息子だったレオンは学校で良い成績を上げ、ニューヨークの名門スタイベサント高校へ入学した。

人生の転機となったのは1996年、米国大学進学適性試験(SAT)を受けた日だった。親からの仕送りを全て溜め込んだレオンは、試験後にTKTSの窓口へ行って、ラントフォンタン劇場で上演されていた『ハロー・ドーリー!』の半額チケットを購入した。主役のドーリーを演じていたのはキャロル・チャニングだった。

「彼女はテクニック的に世界一という訳ではないけれど、彼女がスターであるゆえんは、大きな劇場でも彼女が自分一人だけに向かって歌いかけているように感じさせることにある」とレオンは解説する。

自分の人生をつかむことについてのチャニングの歌を聴いたレオンは、ひらめきを感じた。「人生は短いのだと気づいた。僕は本当に医者やエンジニアになりたいのだろうか? 僕が本当にやりたいのは、キャロル・チャニングのやっていることだ!」

レオンは、ハーバード大学ではなく、カーネギー・メロン大学の名高い演劇プログラムのオーディションを受けた(同プログラムの卒業生には、レスリー・オドム・Jr、ジョシュ・ギャッド、ビリー・ポーター、ジョシュ・グローバンらがいる)。レオンは見事に合格。それからはずっと、前を見据えて走り続けてきた。

同じ時期、ブロードウェイミュージカルの『レント』を観た彼は、また別のひらめきを感じた。「僕のような人々がステージに立っているのを見たのは初めてだった。僕の心に響いたのは音楽だけでなく、僕の知るニューヨークを体現する多様なキャストだった。この物語の中に自分がいることを想像できた」

それから10年後の2006年、レオンは『レント』の最終ブロードウェイ公演のキャストに加わった。本番までは3週間しかなかったが、指導役のステージマネジャーからは「今までこのショーをやったことがないとは本当か? とてもよく理解しているけれど」と言われたという。それに対しレオンは「この10年間、頭の中でずっとこのショーに出ていました。僕は、41丁目でホームレスと雑魚寝しながらレントの20ドルのラッシュチケットを買うために並んでいた高校生の一人です。16回か17回は観たはずです」と答えた。

レオンは『アリージャンス』、『イン・トランジット』、『ゴッドスペル』などのブロードウェイ作品のほか、テレビドラマ『グリー(glee)』にも出演した。今は、ディズニーのブロードウェイミュージカル『アラジン』で主役を努めている。

「アラジンは、古き良きミュージカルコメディーを最高レベルの芸術作品に仕上げたもの。大人数のオーケストラを従え、途中には素晴らしいタップナンバーもある。セットも大掛かりで、豪華な衣装や、コメディーのテーマ、それに悪役も」

「かつてのロジャース&ハマースタイン作品のように、僕が恋に落ちたミュージカルの要素が全て詰まっている。これぞブロードウェイといった珠玉のミュージカルだ」

実は、レオンとアラジンとの関わりは深い。「映画が公開された時、僕は12歳で、映画はとても話題を呼んだ」と彼は振り返る。「『美女と野獣』や『リトル・マーメイド』の成功を受け、この映画もとても期待されていた。素晴らしいアクションシーンや、ジーニーとアラジンの素敵なブロマンスもある。ロビン・ウィリアムズの演技によって、コメディーに何重もの厚みが加わっていた」

アラジンを演じるにあたり、レオンはリサーチのために映画を鑑賞し、それまで気づかなかった多くのジョークを発見した。「ロビン・ウィリアムズはとても早口で、大人になった今やっと何を言っているか理解できるようになった」

アラジンはまた、レオンの両親にもとても好評だった。中国からの移民である両親にとって英語は第2言語だ。「両親がブロードウェイで舞台を鑑賞するたび、僕はその後のディナーで2人のためにストーリーを説明してあげなければならなかった。でもアラジンは、『ああ、これなら千夜一夜物語で知っている』って」

Forbes JAPAN

トピックスRSS

ランキング