「投資の神様」ジム・ロジャーズが北朝鮮に投資したいと断言する理由

Forbes JAPAN / 2019年1月18日 7時0分

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米国発の同時株安がマーケットを襲い、減速懸念に包まれた世界経済。しかし、世界3大投資家のひとりであるジム・ロジャーズはこう断言する。「北朝鮮が開国すれば、朝鮮半島は好景気と高度成長に沸くだろう。それはちょうど市場開放後の中国と同じようなものだ」と。

世界的投資家の慧眼に映る、韓国・北朝鮮の未来図とは──? 同氏の新刊『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(PHP新書)より、内容を抜粋して紹介する(前編はこちら)。

もともと北朝鮮は韓国よりも豊かだった

私は2016年頃から、「次に『買い』な国は北朝鮮だ」と主張してきた。現在は世界の最下位にあると言ってもいい北朝鮮だが、つい最近、1970年まで、この国は韓国よりも豊かだった。北朝鮮の1人当たり国民総所得は1960年代の初頭までうなぎ上りに成長していた。

それが逆転したのは、ひとえに北朝鮮が共産主義だったからだ。共産主義は何もかも台無しにする可能性がある。ただ、いまも北朝鮮には、昔持っていた強みが残っている。

たとえば北朝鮮の人々は、日本人と同じように子どもの教育に熱心で、しつけもしっかりする。一生懸命働き、貯金をする。これは、経済的に発展するための条件だ。中国や日本だけではない、アメリカやドイツもこれと同じような時期を歴史上経験している。いまは北朝鮮がその時期に差しかかっているのだ。

私は北朝鮮には2回しか行ったことがないが、その際目にした彼らの働きぶりは、目を見張るものがあった。

中朝国境付近の中国側地域に行くと、何千人もの朝鮮人が住んでいる。彼らは朝鮮服を身につけ、朝鮮の祭日を採り入れ、朝鮮語を使っている。彼らは祖国に戻るべく、変化が起こるのをいまかいまかと待ち望んでいるのだ。

北朝鮮がひそかに進めている開国準備

北朝鮮は昨今、多くの人材をシンガポールや中国に送りこんでいる。起業や資本主義、所有権や株式市場について学び、開国の準備をしているのだろう。現在の北朝鮮にはまだ株式市場がないが、いざ作った時のために、市場がどのように機能するのかいま学んでいる最中なのである。

シンガポールに来る北朝鮮の人は、みな若くて頭がいい。企業から派遣されているのか、政府から派遣されているのかはわかりかねるが、シンガポールへ来ることを政府が承認していることは明らかだ。そのように外国との行き来が盛んになっているためか、他国にも北朝鮮系のレストランができ始めている。

また北朝鮮には現在、「自由貿易地域」と呼ばれる場所が15カ所ある。国際マラソンなど国際スポーツイベントが開かれる場所、または国際スキーリゾートなどがそれだ。

開城(ケソン)工業団地を知っているだろうか。北朝鮮側、軍事境界線のほんの先にある、韓国が作った産業地帯のことだ。そこに複数の工場があり、北朝鮮の職員たちが毎日やってきて働いていた。働くのは北朝鮮人たちで、儲けるのは120余りの韓国の企業だ。

開城工業団地は、2004年に操業を開始したが、2016年の北朝鮮による長距離ミサイル発射により操業を停止した。以来、2018年現在まで事実上停止している。いま刑務所に入っている朴槿恵前大統領の指示によるものだ。

しかし実際のところ、北朝鮮側は密かに工業団地の工場を稼働させており、2018年8月には、韓国側も電力を供給する、と発表した。かつて事業を行っていた韓国企業のうち、約96%は事業を再開したいと望んでいるということだ。ヒュンダイやロッテ、KTなどの大手企業グループも参入を狙っている。両国が統一され、開城工業団地が名実ともに操業開始されるのも時間の問題だろう。



金正恩は北朝鮮に新しい風をもたらすだろう

共産主義の国がこれほど急進的な変化を遂げているのは、第一に、国家のリーダーが変わったからだと言えよう。金正恩は幼少期をスイスで過ごした人物で、完全なる「北朝鮮人」とはどこかが違う。だからこそ、父親の金正日に後任を任されたのではないか。

彼だけではない。北朝鮮の将官たちは、若い頃に北京や上海、モスクワなどの都市に駐在した経験がある。自分たちが赴任した30年前といまとを比べ、「北京やモスクワはあんなに変わっているのに、ピョンヤンは時代遅れのままだ」とため息をつく。そんな外の世界を知る者たちが国のトップ層に就くことによって、北朝鮮では前向きな変化が起き始めている。

金正恩によってもたらされた新しい風と、昔から培われてきた勤勉な国民性──それを韓国の経営能力や資本へのアクセスというノウハウとうまく合わせると、非常に刺激的な国になることは間違いない。すでに人手不足に陥っている日本とは対照的に、朝鮮半島には安い労働力、若い女性という新しい人的資源がある。

実際、北朝鮮の経済成長率はこの20年でじわじわと伸びている。1999年には前年比6%という高い成長率を達成し、2016年には日本・韓国・アメリカを上回る成長率を記録している。2017年は、国際社会からの経済制裁や干ばつによって落ち込んだが、今後も北朝鮮の経済成長率はぐんぐん上がっていくことだろう。

Forbes JAPAN

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