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連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第80回は「バンドカラーシャツ」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし！
【用語解説】まずは「バンドカラーシャツ」を知ろう。
「バンドカラーシャツ」とは折り返しえりのタイプではなく、立ち上がったえり（スタンドカラー）のシャツのうち、えり部分が帯状になったシャツのこと。現在ではスタンドカラーシャツとほぼ同義で使われることが多くなりました。 ちなみに、本来、スタンドカラーは、えりの高さが喉ぼとけくらいまであるスロート・バンドや、前が合わせになったチャイニーズカラー（マオカラー）などいくつかのタイプに分けられます。
【歴史】フランスの貴族が衣類の補強や、防寒のため考え出したデザイン
「バンドカラーシャツ」の起源は1300年年代。フランスのノルマンディ地方の貴族が、衣服のえりぐりの補強、あるいは防寒のために考え出したえりの形だといわれています。その後も軍服に採用されたり、そこから派生して学生服の詰えりとして受け継がれたりしながら、継承されてきました。
日本で「バンドカラーシャツ」が人気になったのは1980年代。《イッセイミヤケ》がコレクションで発表したことがきっかけのひとつといわれています。折り返しのえりがなくても、もしくはネクタイをしなくても正装として通用し、きちんと上品に見えるアイテムとして、広く認知され、いまではカジュアルなシーンでも定番化するまでになりました。
【雑学】映画『タイタニック』でレオナルド・ディカプリオも着用
1997年に公開された映画『タイタニック』で、レオナルド・ディカプリオが演じる、画家志望の青年、ジャックが「バンドカラーシャツ」を着ているシーンがあります。富裕層の乗船客と比較すると、ジャックの身なりは労働者階級のそれとわかりますが、意中の女性とのダンスシーンで「バンドカラーシャツ」を着用しているのは、彼の中では「バンドカラーシャツ」が一張羅だったからではないでしょうか。「バンドカラーシャツ」のルーツが貴族の発案にあると思うと、それにも納得がいきますね。
監修：朝日 真（あさひ しん）
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
