北欧の暮らしを語る上で、避けては通れないライト。照明ショップ『Nordisk Lys(ノルディスク・リィス)』の千葉さんに大きく6タイプに分けてもらい、それぞれの使い方を伺いました。
あかりの上手な活用法
「北欧の照明は“夕日と朝日の間をつなぐ役割”です。天井の照明ひとつではなく、淡い明かりをいくつも足して部屋の明るさを作ります。夕方にひとつ点けて、日が暮れるたびにもうひとつ。部屋を、上・中・下に分けて、それぞれの高さから、ほのかな明かりを重ねていきます。日本に比べると薄暗いと感じるかもしれませんが、昼間のように明るくなくてもいい。だって夜なんだから、と人々は考えています。夜はランプの下に人が集まり、読書や編み物など、それぞれが違うことをしても、自然と人の輪ができあがります。夜が更けて就寝時間になったらひとつずつ消して。潮の満ち引きのように、明かりを足し引きしていくのが北欧の暮らし方です」
テーブルランプ
「チェストや出窓に置き、部屋のコーナーを明るくすることが多いですが、スツールの上に乗せて空間演出としても使います。無造作に本を重ねてその上に乗せるのもよく見かけます。寝室で本を読むための実用的な明かりとしても適しています。ボディは陶器やガラス、シェードに強化紙や麻生地など、素材の組み合わせを楽しむことも」。
フロアランプ
「北欧の明かりの考え方は、上・中・下。フロアランプは、天井からのペンダントライトをサポートして、部屋を中間の高さから照らす役割があります。ソファで編み物や手芸をするときに、肩上あたりから手元を照らす明かりです。リビング全体を照らしながら、ソファで読書したり、手仕事をするときの実用的な明かりにもなります」
ウォールランプ
「壁に直接取り付けるウォールランプは、日本では馴染みが薄いかもしれませんが、北欧ではよく利用されています。ベッドサイドにとりつけて、就寝前の読書のときに手元を照らしたり、スタンドランプを置きにくいキッチンでも、スポットライトのように使ったり。壁ぎわを照らして空間演出の役割を担うこともあります」
ペンダントライト
「日本では、天井の照明ひとつで部屋全体を照らそうとしますが、北欧ではフロアランプや置き型のランプを合わせて、ほのかな明かりを重ねていくので、明るすぎる必要はありません。特にガラスは光を透過するので明るさが空間に広がり、デザインもかわいらしいため、北欧でも日本でも人気のあるライトです」
金属のシェード
「アルミやスチールのシェードも人気のあるデザインです。光を透過しないので、十分な明かりを採りたい場合は、上下が開いているシェードを選べば、そこから光が広がっていきます。他のライトとの組み合わせで部屋の明かりが採れるなら、ドーム形で下方を照らすタイプなど、好みによって使い分けることができます」
デスクライト
「北欧では家に仕事を持ち帰ることはめったにありませんが、親しい人に手紙を書いたり、パソコンでメールをチェックしたり、読書や手芸などの手仕事をするときに、しっかり手元を照らしてくれるのがデスクライトです。これは空間演出というより、実用性重視のライトですが、暮らしにしっかり根付いています」
Illustration_Nobuco Uemura
text_Miho Matsuda
re-edit:onKuL
onKuL vol.19より