去年のヴァカンスはドイツのお城巡りとオーストリアのザルツブルグ音楽祭をメインに旅しましたが今年はイタリアでした。
イタリアのオルヴィエートからローマまで車で周遊の旅です。美しい観光名所をご紹介。
オルヴィエートを訪れたのは3回目。イタリアの3大ゴシック建築の一つ、壮厳なドゥオモがあります。ドゥオモの建設は13世紀後半に始まって3世紀にもわたって建設されました。
33人の建築家、152人の彫刻家、68人の画家、90人のモザイク師の手が加えられたそうです。
礼拝堂のフレスコ画は何度見ても鳥肌が立つくらい素晴らしい。フラ・アンジェリコが壁面装飾を手がけている最中に法王に呼ばれてローマヘ行き、その後を引き継いだのがルカ・シニョレッリです。彼によって描かれたフレスコ画はイタリア最高傑作の一つと言われています。ルカ・シニョレッリとフラ・アンジェリコの肖像画も壁の一角に描かれています。
ドゥオモの近くの美術館内に小さい昔の図書館を見つけました。
壁のフレスコ画の幾何学模様はドミノテペーパーのようで新しいモチーフにも思えます。
猿が本を読んでいる絵や、本と燭台やインク瓶の騙し絵もユニークで面白かったです。
トスカーナのオルチャ渓谷を、夫の親友2人と一緒にドライブしてピエンツァへ行きます。
なんと言ってもこの景色は世界遺産。開放的な美しい景色はピエンツァは キスの通り 、愛の通り、幸運の通りがあります。
ランチにはシンプルなブルスケッタとパスタを。トスカーナワインで最高に美味しくて贅沢な時間です。
そしてウンブリア地方のデルータへ。今回は友達の個展に向かいました。
セラミックが有名な村で、私はここにくるとお店を回って食器を買います。手書きの模様が可愛くて一つ一つ違う柄に惹かれます。壁にカラフルなお皿やタイルが埋め込まれていて、道の名前も番地もセラミック。天気の良い日はセラミックが光り輝いていてより明るい気持ちにさせてくれます。
有名アーティストの友達と歩くとみんな話しかけてきて、カフェでの飲食はお店からのサービス。みんなに愛されているアーティストなのがわかります。
この日はお祭りでセラミックをいくつか板に乗せた子供たちが全速力で走る練習をしていました。セラミックを落とさずに早く走り抜けた人が勝ちというリレーです。あまりにも早く走っているのでびっくり。
聖フランチェスコで有名なアッシジ。
ここを散歩していたら突然現れた60人くらいの中丗の服を着た人々。訪れた日はちょうど年に一度のお祭りだったようで、中世の衣装を着た女性のダンスから始まり木製の昔の弓を使って弓大会が行われました。
そしてローマ。
見どころはたくさんあるので観光にゆっくり1ヶ月は欲しいところです。ローマで建築家と彫刻家の友達カップルと合流してまず一緒にサンタンジェロ城に行きました。こんなに中が広くて装飾が素晴らしいのは知りませんでした。
お城の屋上ではローマやヴァチカンが見渡せるロマンチックな場所。男性がプロポーズしている瞬間に立ち会いました。カップルが抱き合い、周りにいた人たちはみんな拍手!思っていた以上に素敵な場所でした。
17世紀の3D天井画、サンティニャティオ教会。夜は数分ごとにライトアップされ、絵が立体的に見えます。
ローマで一番魅力的な地区、トラステヴェレ界隈。シャンデリアの連なりが美しいサンタ マリア デッラ スカラ教会。
このトラステヴェレに、ローマで最も古いサンタ マリア デッラ スカラ薬局があります。こちらは1600年に裸足のカルメル会修道士によって設立されました。予約していたので、ガイドさんが私達に丁寧に説明してくださいました。
全て写真不可の場所でしたがこちらのコラムのために撮影の許可をいただきました。入り口を入ると壁や天井のフレスコ画の装飾に圧倒されます。イタリア、ムラーノ島で作られた瓶が並べられ、毒薬マークの棚があり、カリグラフィーで描かれた容器が私にとっては興味深いものばかりです。
植物標本。
当時は教皇とその家族、富裕層のみ入ることができて、重要人物の肖像画が棚の裏に描かれていました。綺麗に並べられている木箱はペインティングされていて、中身は当時から変わらず薬草が入っていました。
薬の研究室。19世紀までここに13000以上の医学の本があったらしいです。昔は感染症ペストの薬が重要でした。王は毒殺されないようハーブの毒を服用して免疫をつけていたそうです。
窓にはハーブの絵、本棚には動物の絵、文字も魅力的です。
そして20年ぶりに訪れたヴァチカン。
一番見たかった部屋は長さ120mの壁に描かれたフレスコ画がある地図の部屋です。
16世紀のイタリア各地の教会の所有地の地形図40枚に由来していて、地図に関する貴重な記憶を残しています。
私が研究してきた地図帳文字(地図帳だけに使われているクルクルした文字)が一面に見れます。海の部分に描かれたクルクルの蜂、蜂はウルバヌス教皇の紋章でした。
写真を数百枚撮ってこれから研究します。
システィーナ大聖堂に入った途端、ミケランジェロのフレスコ画に圧倒されました。この美しさを今まですっかり忘れていました。
夫は美術学校に通っていた子供の頃、システィーナ礼拝堂修復時にクレーン車で天井のフレスコ画を見せてもらえたんだとか。その時資金提供した日本のNHKだけが映像撮影を許されていたそうです。
人間と神の世界を見事に表現したミケランジェロ、天上画をたった1人で4年で描き上げた彼は人間業とは思えません。
写真撮影不可なので是非一度は見てもらいたいです。
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旅を終え、パリに戻ってもしばらくイタリア料理を食べたい!という気持ちに。
レストランで食べるより、家で上質な食材を買って食べた方が断然美味しいということで毎日イタリア料理を作ってイタリアンワインで乾杯です。
よく作るのはズッキーニの花の天ぷら。花の中にはモッツァレラとアンチョビを入れます。アーティチョークを使った料理も大好きです。
イタリアの家族にいつもHitomiのパスタはナンバーワン!と言われる秘訣は、トスカーナのアイオーネというニンニクを使うこと、オリーブオイルをたっぷり使うこと。
隠し味に少しのお醤油を入れると美味しいですよ!
text:竹内 仁海
パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。
Instagram:@melodiesgraphiques