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芸術の都パリ、印象的だった展覧会の回顧録【夢見るパリ】

fudge.jp / 2024年12月29日 15時30分

芸術の都パリ、印象的だった展覧会の回顧録【夢見るパリ】

わたしなりのささやかですてきなものをおすそ分けできないかという思いではじまりました。デザイナーの大谷...

 

パリは日に日に日照時間が短くなり、気温も下がり、時間がある日は美術館で過ごすことが多くなってきました。
今年の印象的だった展覧会を回想します。

 

■マレ地区にあるコニャックジェイ美術館『ポケットのラグジュアリー』展

18世紀の手に収まるくらいの大きさの小さくて可愛いオブジェの歴史。
260点にも及ぶ宝飾品や細工職人のオブジェは、嗅ぎタバコケース、小さなお化粧セット、ハサミや爪やすり、メモ帳、ペンなど、使えるのかどうか心配になるほどの小さすぎる身だしなみセット、ハープ型のケース、カリグラフィーセット、鳥籠の中の鳥が鳴くオルゴールなどユニークなものがいっぱい。女性ならみんな夢中になってしまうオブジェばかりです。

 

ピストル型の香水入れを作ってしまうなんて天才的なアイデア。
18世紀、ドレスを着た女性たちがアクセサリーとしてこの香水入れを持っていたのを想像すると可愛いです。

 

これも遊び心のあるアスパラガス型のメッセージ入れ。
愛のメッセージを書いてこっそり恋人に手渡したのでしょうか。

カリグラフィーの生徒さんみんなにお教えしたらとても喜んでいただけて大人気の展示でした。

 

■ルーヴル美術館 ヤン・ファン・エイク『ロラン総統の聖母』展

15世紀のフランドル画家の代表、ヤン・ファン・エイク。
極細の筆で遠景も遠近法を使って気が遠くなるほど緻密に描かれているこの絵画、驚きしかないです。

みんな絵を覗き込むようにして人だかりでした。
この絵はルーヴル美術館に常設してあります。

 

■フォンダシオン ルイ・ヴィトンでのマティス『赤のアトリエ』展

この作品の中に描かれている絵画やお皿が勢揃いして見れるという興味深い展覧会。
このヴェネチアンレッドが塗られる前は水色、オーク、ピンクと塗り重ねた形跡があって、さすが色彩の魔術師です。
家具は黄色の線の輪郭だけ描かれ、ゴッホの室内の作品のような遠近法、構図が面白く新しい芸術を生み出したマティスならではの作品。
この絵はマーク・ロスコやバーネット・ニューマンに多大な影響を与えました。

 

■フォンダシオン ルイ・ヴィトンでの『エルズワース・ケリー』展

20世紀、21世紀のアメリカの画家。
抽象表現の画家で、幾何学的形態、色相対比の色の組み合わせという視覚的効果を追求しています。

 

作品と友人のバッグが偶然お揃いのようでつい写真に撮りました。

 

■オルセー美術館の『1874年パリ、印象画の発明』展

最初の印象派が開催されてから150年という節目にあたる展覧会でした。

当時は酷評されたモネの『日の出』からルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』、歴史的な印象画がずらり。

 

このルノワールの絵画はオルセー美術館に常設されています。
ちなみに、モンマルトルの当時のムーラン・ド・ラ・ギャレットは現在レストランになっていて、中庭の壁にはこの絵のコピーが飾られていて19世紀の様子を想像しながらお食事できます。

 

■ルーブル美術館『トルロニア』展

ローマの貴族トルロニア家のアンティーク調刻最大のプライベートコレクション。
イタリア国外では初めて公開され、ルーヴルでの展示のためにブルガリがスポンサーになり100体の彫刻の修復が実現しました。
白い大理石のローマ彫刻、本当に崇高な美です。ここの空間でデッサンできたのは幸せでした。2025年1月6日までの展示。

 

■ルーヴル美術館『狂気のフィギュア』展

怖そうな展覧会で期待しないで行ったんですが、とても興味深い内容でした。
中丗からルネサンス時代にかけての深い宗教的な中世の世界では、狂人の姿は髪を拒否する人々の具現化と見なされていました。
写本を飾るイルミネーションでこの狂人を表現した文があります。

Dixit inspiens in corde suo : non est Deus
愚か者は心の中で言った: 神はいない

この詩篇を開く最初のDは、しばしば神を拒否する狂人の姿を示していました。

アッシジの聖フランチェスコは裕福な生活を捨てて布切れ一枚の姿で貧しい生活を選んだことで、当時は狂人だと思われていたそうです。これにも驚きました。

世界から集められた優れたコレクションは300点以上。
2025年2月3日までの展示。

 

■オルセー美術館『セリーヌ・ラガルド』展

招待していただいて開館前のオルセー美術館へ行ってきました。

女性写真家のセリーヌ・ラガルド(1873-1961)は女性は美術学校に入れないという時代背景の中、写真に情熱をかけた人。
化学実験をするように1枚の写真に100時間要したといいます。
紙と顔料を使った作品はまるで儚いデッサンのようで美しい作品ばかりでした。
2025年1月12日までの展示。

 

■オルセー美術館『カイユボット』展

全ての作品に勢いがあって素晴らしい展覧会です。
画家は最初何をテーマに描くか考えると思うんですが、床を削る労働者やアパートの上階からの眺め、橋の道ゆく人など彼の目線からの作品と人物をいろんな構図が面白かったです。
ブルジョワ家庭に生まれて生活のために絵を売る必要がなかったからか、彼の描きたいものがはっきりしています。

 

この絵画は『1874年パリ、印象画の発明』展にもあった作品。

彼は印象画の画家と言われていますが全体的にマスキュランな絵が多く、写実的な絵も多かったです。
カヌー、水泳、釣りの風景を描いた作品は水の動きを見事に捉えていて見応えがありました。
2025年1月19日までの展示。

 

■フランス国立公文書館『メイド イン フランス、テキスタイルの歴史』展

高級な生地からトワル ド ジュイなど生地の歴史を知ることができます。

 

たくさんの生地やカリグラフィー書類の展示にかなりワクワクしました。
無料なので時間がある時に再度足を運ぼうと思います!
2025年1月27日までの展示。

 

■装飾芸術美術館『クリストフル 華麗なる歴史』展

6年ほど前に蚤の市で見つけた1909年のクリストフルのカタログを持っているので本物が見れるこの展覧会を楽しみにしていました。
銀細工職人によるランプ、食器、オブジェ、ジュエリーと幅広く展示されています。ジャポニズムの作品も多かったです。
1830年の当時のクラシックなデザインから現代のモダンでシャープなデザインまで展示されていて時代ごとの変化が面白い。

2025年4月20日までの展示。

 

この冬、寒い日には美術館巡りがおすすめです。

 

text:竹内 仁海

パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。

Instagram:@melodiesgraphiques

 

 

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