ONKULの隠れた連載企画『トラムのある街』。今回は日本を飛び出して、バルト海に面した自然豊かな国『 Latvija(ラトビア)』のリーガ周辺をご紹介。以前 、姉妹雑誌FUDGEのコラムでも掲載した内容をさらに加筆してお届けします。ハニカム笑顔があふれる神秘的な国、ラトビア。
ラトビアって国名は聞いたことがあるけれど、世界地図の中でどこに位置するかご存知ですか? スウェーデンからバルト海を挟んで東岸、フィンランドの南に位置するエストニア・ラトビア・リトアニアからなるバルト3国の真ん中に位置する国。北海道よりも小さな国土の中に 3,000を超える湖と広大な森が広がる自然豊かな場所。
中でもバルト3国最大の首都リーガは、活気に満ちた現代的な街並みとユネスコ世界文化遺産にも登録された中世の香りが残る旧市街が混在する。建国以来、20世紀末に独立するまでドイツ、ロシア、スウェーデンと様々な国の支配下におかれながらも自由を勝ちとってきたラトビアには、キリスト教と土着の“ラトビア神道”が共存する。自然神をモチーフにしたシンボルは身につけると力を持つと大切にされ、ミトンの文様として編み込まれる。毎年6月には“太陽が一番長くそこにいる日”を祝う夏至祭が国中で行われるなど、人々にとっては今でも暮らしの一部となっている。歴史的遺産と手つかずの自然、大切に守られてきた自然を敬う心や手仕事。美しいものが共存する、小さな国ラトビアを旅してみよう。
リーガのトロリーバス
人口60万人を超えるラトビアの首都リーガ。コンパクトな街なので、歩いて回っても新しい発見があって楽しめる。けれどせっかくならばトロリーバスに乗って、「バルト海の真珠」と讃えられ中世の雰囲気を色濃く残した旧市街を車窓から眺めるのもいい。キオスク、バス停に併設の自販機でエータローンス(電子乗車券)を買うのがお得。
冬菩提樹(フユボダイジュ)
キリスト教や他の宗教が浸透した今でも、人々の暮らしに根付く“ラトビア神道 ”。古くから自然を崇拝してきた名残で夏至祭や冬至祭など伝統的な行事が行われる。ラトビア人にとって“木”は大切なもの。女の子が生まれたら冬菩提樹を植え、男の子が生まれたら柏を植えるといわれ、リーガ市内の公園でも北欧原産の冬菩提樹はよく見かけた。
ユーゲントシュティール建築群
リーガ市内に800軒程あり、“世界のアール・ヌーヴォーの首都”と呼ばれるリーガ。特に密集しているユーゲントシュティール建築群はユネスコの世界文化遺産にも指定されている。20世紀初頭に建てられた建物の壁面のいたるところに女性像、神話の登場人物、植物文様などのレリーフが使われる。現在も高級住宅として健在。
photograph & text : Yumika Asai [ONKUL]
design : Masakuni Araki [LuckTap]
re-edit:Saki Katayama