ONKULの隠れた連載企画『トラムのある街』。今回は日本を飛び出して、バルト海に面した自然豊かな国『 Latvija(ラトビア)』のリーガ周辺をご紹介。以前 、姉妹雑誌FUDGEのコラムでも掲載した内容をさらに加筆してお届けします。ハニカム笑顔があふれる神秘的な国、ラトビア。
人々の心に根付く“ラトビア神道”、幸せをもたらす“プズリ”
ラトビアでは“ラトビア神道”という自然崇拝に基づいた独自の信仰がある。2001年に創建された女神マーラを祀るスヴェーテ(= 聖なる)神社は、神話にある神様の住まいを象った円すい型の社殿。
神社の参集殿では、祈りのオーナメント“Puzuri(プズリ)”を作るワークショップも開催される。ラトビアの各家庭になくてはならない“プズリ”は邪気を閉じ込め清め祓うとされ、ラトビア人にとっては家内安全のお守りのような存在。
1 _ 参拝客は春夏秋冬8節の行事を祝うために訪れる。
2 _ プズリ職人のアウスマ・スパルヴィニャさん。
3 _ ラトビア人はお茶をよく飲む。時には良質なハーブとあわせて。
4 _ 収穫した穀物で作った祓串(はらえぐし)。ワークショップの前にお清め。
Svētes svētnīca
place : Jaunbites, Atpūta, Svētes pagasts, Jelgavas novads, LV-3008
tel:(+ 371)29105224
url:https://dievturi.lv
ヤルガワ旧市街とラトビア伝承館
首都リーガから南西約40kmにあるヤルガワ市内にわずかに残った旧市街「ヤルガワ市歴史地区 」。その一画にあるのは『ラトビア伝承館』。近年注目を集めているラトビアの無形文化遺産(人から人へ伝えられた無形の文化のこと)である伝統楽器の演奏や歌、ミトンなどの伝統柄の編み物、祭典などの儀式 etc.. の中から、ここでは織物工房や陶芸工房で、ラトビアの手仕事を体感することができる。
1 _ 鴨居の上の漆喰には1820 年代に流行した花柄が描かれている。
2 _ たくさんの色を使い、花や星の文様を精密に配置した幾何学模様の伝統柄は19世紀初期から伝わるヤルガワ県独自のもの。
3 _ 取材時は、“おばあちゃんの結納箱から”という展示を開催していた。著者の人となりを紹介しながら手仕事を次世代へと伝承していく。
4 _ 18 世紀の建物をベースに、内装は19 世紀初頭のお家をイメージしてリノベーション。ぷっくりとしたフォルムの伝統的な陶器が愛らしい。
5 _ 無形文化遺産リストに登録された引き装置を備えたゼムガレ州柄の織機。上に付いたボビンの操作が牛の乳絞りに似ていることから職人たちの間では「乳房織り機」と呼ばれているんだとか。
Dzīvesziņas un arodu sēta
place : Vecpils ētas iela 14, Jelgava
tel:(+371)63005407
url:www.visit.jelgava.lv/en/news/item/5144-new-house-of-latvian-traditions-and-crafts
photograph & text : Yumika Asai [ONKUL]
design : Masakuni Araki [LuckTap]
re-edit:Saki Katayama