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ドクター和のニッポン臨終図巻 プロゴルファー・坂田信弘さんが原作者、ゴルフ漫画『風の大地』の言葉に励まされる 「ミスは忘れ…原因を記憶」

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月5日 15時30分

坂田信弘さん(夕刊フジ)

僕の一番の趣味はゴルフです。美しい緑を眺めながらウオーキングもできるし、頭も使うから脳トレになる。職種を超えて新たな友人ができ、交流関係が生まれる。年を重ねるたびゴルフをやっていて良かったと思います。還暦になってから何かを始めたいという人にぜひゴルフをお勧めします。

だから、この人の訃報はとてもショックです。プロゴルファーであり、指導者として「坂田塾」を立ち上げ、古閑美保選手や上田桃子選手など、強豪女子プロゴルファーを育成したことでも知られる坂田信弘さんが、7月22日に福岡市内のご自宅で家族に見守られて亡くなりました。享年76。死因は明らかにされていません。

闘病されていたそうですが、心配をされたくないと、ご家族以外には一切知らせていなかったそうです。

仕事柄、日々多くの人と接している人が、自分の闘病を明かさないで暮らすというのは実はとても難しいことです。他人に話すな、と口止めをされたご家族も、とてもお辛かったことと思います。

病のことをつい誰かに話したくなる、相談したくなるのが人間というものです。しかし、誰かに話せば楽になるかといえば、そうとも限りません。

「○○病院の名医を紹介してあげましょう」

「その治療法はよくない。もっといい治療がある」

「この宗教に入ったほうがいい」

等々、周囲の人は自分が信じているものを無邪気に勧めてくるでしょう。これらを断るだけでも、相当なストレスになります。他人の意見に左右され、家族内でトラブルが起こってしまうこともよくあります。ましてや今は、情報過多の時代。医療情報を誰もがネットで仕入れられるので、自称専門家が増えていて厄介です。

闘病のことだけでなく、悩みを誰かに相談したくなったときは、その場の勢いで喋(しゃべ)らないこと。「本当にあの人に相談してもいいものか」と、一晩冷静になってから決めたほうが得策です。

坂田さんは、『風の大地』や『奈緒子』などスポーツ漫画の原作者としても知られています。作品に登場する台詞(せりふ)はとても哲学的です。尼崎北高校から京大文学部に入学。しかし父親が亡くなったため中退し、陸上自衛隊に入隊。そんな紆余(うよ)曲折の人生を送られたことも影響しているのでしょう。

ゴルフ漫画の『風の大地』にはこんな台詞が出てきます。

「昨日のことは忘れなさい。昨日は終わりました。ミスの原因を見つけたら、すぐにそのミスを忘れなさい。(中略)そしてミスの原因だけを記憶するのです」

僕は何度もこの言葉に励まされて、ゴルフを、そして人生を続けています。

■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。公益財団法人日本尊厳死協会副理事長としてリビング・ウイルの啓発を行う。映画『痛くない死に方』『けったいな町医者』をはじめ出版や配信などさまざまなメディアで長年の町医者経験を活かした医療情報を発信する傍ら、ときどき音楽ライブも。

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