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新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 漂流する首都の保守票の行方 「受け皿」目指す田母神俊雄氏と百田尚樹氏のタッグが難しいワケ ポスト安倍時代の保守勢力の流動化

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月20日 6時30分

元航空幕僚長の田母神俊雄氏が、10年ぶり2度目となる東京都知事選への立候補を表明した。

「蓮舫さんが立候補すると聞いて、それから自民党も候補者を出せないということで、あまり左翼がかっていない、普通の保守の都民が投票する人がいなくなるのではないか」

田母神氏は5月31日の記者会見で、「保守層の受け皿」を目指す思いを、こう鮮明にした。

ただ、筆者の取材では、蓮舫氏の出馬表明(5月27日)の前から準備を進め、本来ならその1週間後に記者会見する段取りだった。つまり、田母神氏の危機感は、蓮舫氏のことよりも「自民党のふがいなさ」の方が強いはずだ。

国政では、岸田文雄政権以後、安倍晋三政権の自民党を支えた「岩盤保守層」の離反がささやかれてきた。だが、都政では、石原慎太郎氏の知事退任(2012年)から10年以上、「首都の保守票」の行方は混迷している。

田母神氏が前回出た14年の都知事選では、自民党が「親韓派」とされる舛添要一氏を擁立して保守系のネット民が猛反発した。当時の自民党東京都連の公式サイトに設置されていた電子掲示板には、舛添氏擁立への反対論や、田母神氏への乗り換え要求といった書き込みが連日連夜、止まらない「大炎上」だった。

その2年後、舛添氏は任期途中に政治資金スキャンダルで知事を辞職した。出直し選挙は、自民党から小池百合子氏が飛び出して出馬した。自民党が擁立した増田寛也氏は、岩手県知事時代の議会答弁で、外国人参政権を容認していたことがクローズアップされ、ネット保守層の失望を招いた。

田母神氏の14年都知事選に話を戻すと、石原氏の支援もあって61万票を獲得した。舛添氏らに次ぐ4番手とはいえ、参院選の東京選挙区であれば当選ラインを超えるだけの健闘を見せて政界関係者を驚かせた。

だが、その再現が一筋縄で行かなさそうなのは、「ポスト安倍」時代の保守勢力の流動化だ。

22年の参院選では参政党が議席を獲得し、その翌年にはベストセラー作家、百田尚樹氏らが日本保守党を結成した。日本保守党は今年4月の衆院東京15区補選に、イスラム思想研究者の飯山あかり氏を擁立して善戦した。

しかし、日本保守党は都知事選の参戦を見送った。田母神氏との連携を期待する声も一部にあるが、田母神氏は近年、参政党と近い。百田氏はX(旧ツイッター)で、田母神氏の過去の公選法違反事件を引き合いに、「『金の問題』で有罪って、私の中では恥ずべきこと」(5月29日)と批判した。タッグは難しそうだ。

結集か、漂流か…首都の保守票は今回どうなるだろうか。

■新田哲史(にった・てつじ) 報道アナリスト。株式会社ソーシャルラボ代表取締役。1975年、横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、読売新聞記者、ニュースサイト「SAKISIRU」編集長などを経て、現在は企業や政治関係者の情報戦対応を助言している。著書に『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。

【都知事選主な立候補予定者】

小池百合子71 知事 無現

蓮舫56 参院議員 無新

石丸伸二41 前安芸高田市長 無新

田母神俊雄75 元航空幕僚長 無新

清水国明73 タレント 無新

黒川敦彦45 つばさの党代表 諸新

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