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実録・人間劇場 アジア回遊編~モンゴル(1)衝撃の白夜、夜8時の首都・ウランバートル 自転車で旅する60代女性バックパッカーの〝壮大〟さ

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月4日 11時0分

チンギス・ハーン国際空港で一服するタクシー運転手=モンゴル・ウランバートル(夕刊フジ)

香港、中国、ベトナム、ラオス、タイ、インド、ネパールと雑多なアジア圏を旅してきた。

インドとネパールは当てはまらないかもしれないが、自分が訪れてきた国はどれも比較的日本人になじみのあるところばかりである。突然、あまり知らない国に行ってみたくなった。

とはいえ、2024年現在、日本は歴史的な円安に見舞われ、かつ燃料の高騰で航空券代は軒並み高くなっている。東ティモール、パプアニューギニア、ジョージアなど、今後の人生で一度も行きそうもない国の航空券を調べてみたが、どれも手が出せるような価格じゃない。

そんなとき、地図アプリを見ているとモンゴルが目に入った。ああ、モンゴルか。割と近い場所にあることは知っていたが、正直、家畜とチンギス・ハーンしかイメージにない。試しに航空券を調べてみるとなんと往復7万円と安い。私は思いきって2週間のスケジュールを空け、首都ウランバートルにあるチンギス・ハーン国際空港に降り立った。

空港に着いたのは現地時間で夜の8時だった。急な旅行だったのでモンゴルのことを調べる時間もなかった。空港からウランバートル市内まで電車は走っておらず、タクシーかバスしかアクセス方法がない不便な国という情報だけは前もって知っていた。もう夜も遅いので早いところタクシーを拾おうと空港から外に出るといきなり驚く。

空がめちゃめちゃに明るいのだ。こんなことは事前に調べなくても分かることだが、自転軸の傾きと緯度の関係から、モンゴルは春の終わりから夏にかけて日が長くなるのだ。

タクシーの運転手は英語を話せないモンゴル人男性だった。「出発前に一服したい」とジェスチャーするので付き合うと、私にもタバコを1本くれた。日本では一切タバコを吸わないが、異国の大自然で吸うタバコは抜群に美味い。ウランバートルとはいえ、空港の周りに建物はほとんどなく、果てしなく広がる草原の中にポツポツとゲルが見える。

市内の大渋滞に巻き込まれながら1時間半ほどタクシーを走らせると、予約していた街の中心地にあるゲストハウスに到着した。1泊約1200円の2段ベッドが3つ並んだドミトリー(相部屋)である。

ルームメートは30代のオランダ人男性と、60代のイギリス人女性だった。オランダ人は旅の経験が豊富で日本にも行ったことがあるという。レンタカーで半年ほど日本を放浪していたそうだ。そしてイギリス人の方は60代という年で、これから自転車でモンゴル中を旅するのだという。2人の壮大な旅を前に、私も旅の士気が一気に上がったのだった。

■國友公司(くにとも・こうじ) ルポライター。1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術学群在学中からライターとして活動開始。近著「ルポ 歌舞伎町」(彩図社)がスマッシュヒット。

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