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ニュース裏表 峯村健司 ハリス氏〝辛勝〟も優勢には程遠く…米大統領選、超激戦州でトランプ氏とテレビ討論会 心理戦は奏功も欠けた具体的な政策

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月14日 10時0分

11月の米大統領選を戦う民主党のカマラ・ハリス副大統領と、共和党のドナルド・トランプ前大統領による初のテレビ討論会が10日夜(日本時間11日午前)、開かれた。

前回6月のテレビ討論会では、民主党のジョー・バイデン大統領が言葉に詰まったり失言をしたことで、支持率を下げて撤退に追い込まれた。

今回の会場は、東部ペンシルベニア州フィラデルフィア。7月に選挙集会で演説していたトランプ氏の暗殺未遂事件が起きた因縁の地だ。同州の勝者が大統領選を制するといわれるほどの「超激戦州」でもある。

黒いパンツスーツに白いブラウス姿のハリス氏は冒頭、ステージを横切り、トレードマークの紺色のスーツに赤いネクタイを着けたトランプ氏に歩み寄った。

「カマラ・ハリスです。いい議論をしましょう」

ハリス氏はこう自己紹介して、右手を差し出した。トランプ氏は驚いたように少し体を反らした後、握手をした。前回討論会で、バイデン氏はトランプ氏と握手をせず、ほとんど目も合わせなかった。ハリス氏は冒頭であえて、トランプ氏の意表を突くことで、初戦を有利に進める思惑があったと筆者はみている。

実は、ハリス氏は討論会の5日前から、同州ピッツバーグで「合宿」(米メディア)し、入念な準備を進めていたという。どのような練習をしていたのだろう。

「あえてトランプ氏を挑発することで、失言を引き出す作戦を練っていたようだ」

民主党幹部の一人はハリス陣営の戦術をこう解説する。出馬を決めたばかりで準備や経験不足が否めないハリス氏が、トランプ氏の「敵失」を狙って具体的な政策論争に持ち込ませない意図が透けてみえる。

こうしたハリス氏の「心理戦」は奏功したようだ。

トランプ氏は終始、前かがみになって両手をテーブルに置いたまま、険しい表情で語っていた。これはトランプ氏の調子が出ていない時に見せる姿勢だ。

議論のテーマが移民政策になったときのことだ。移民に寛容な政策を打ち出したバイデン政権に批判的な意見が米国内で出ており、大統領選の重要な争点となっていた。トランプ氏は移民問題の責任者だったハリス氏を追い詰める絶好のチャンスだったにもかかわらず、オハイオ州の移民についてこう言及した。

「流入してきた人たちは犬や猫を食べている。そこに住む人々のペットを食べているのだ」

これに対し、司会者はトランプ氏の発言を否定した。

「現地の担当者に連絡したところ、移民のコミュニティーによってペットが危険な目に遭ったり虐待されたりしている証拠はない」

討論は終始、ハリス氏が優勢で進んだようだ。

討論後に調査会社YouGov(ユーガブ)が実施した調査でハリス氏が優勢だったと答えた人が54%に対し、トランプ氏は31%にとどまった。討論会はハリス氏がトランプ氏に戦術面で辛勝したと言っていいだろう。

ただ、有権者の関心が最も高い経済政策について、ハリス氏は「中間層や労働者を引き上げる計画があるのは私だけだ」と訴えたものの、具体策には欠けていた。大統領選において「ハリス優勢」とは程遠いのが現状で、今後、どれだけ説得力のある具体的な政策を打ち出せるかにかかっているだろう。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司)

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