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お金は知っている 「トランプ高関税砲」が中国を狙う理由 ロシアと組み米覇権に挑戦も…ドルに依存 関税で貿易黒字吹っ飛ばされれば金融危機に

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月24日 6時30分

(夕刊フジ)

モノ、カネのグローバル化が進んだ世界の覇権争いの大半は市場価値で評価される分野で展開され、軍事力が覇権奪取の決め手になるわけでもない。20日に第2次政権を発足させたトランプ米大統領はビジネス価値を外交、安全保障に結びつけて考え、取引に持ち込む。

端的な例が中国資本の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」取り込みである。TikTokは米国家安全保障上の脅威と判断されて新法で規制され、米国でのサービスを一時停止に追い込まれていた。トランプ氏はホワイトハウスに復帰すると早速、75日間新法の執行を停止する大統領令に署名した。「事業には1兆ドル(約156兆円)の価値があるが、私と取引しないと無価値になる」と語り、米資本が50%の所有権を保有する合弁での事業継続を求めた。

貿易は金額で表わされるから、手っ取り早く相手国に追加関税をかけると脅せる。発動を検討中の対中追加高関税は、米国品の購入拡大ばかりでなく、中国から外交・安保上の譲歩を引き出すための手段である。中国は不動産バブル崩壊が3年間も続いているが、いまだに底が見えない。経済はデフレ圧力に苦しんでいる。打開策は金融の量的拡大だが、人民元発行は流入するドルに依存する弱点がある。西側の対中投資はジリ貧なので、頼みの綱は貿易黒字だが、全黒字の大半は対米黒字が占める。米国から高関税をかけられると黒字が吹っ飛び、中国は金融危機に陥りかねない。

トランプ氏が領有を言明しているデンマーク領のグリーンランドは北極海航路の要衝で鉱物資源も豊富だし、パナマ政府が所有するパナマ運河は高い使用料を徴収できる。いずれも、中国が支配を狙っている。ならば、米国領にしろ、同意しなければ高関税で制裁すると言い出しかねない。

グラフは軍事超大国の米国、中国、ロシアなどの国、地域について、軍事以外の主要項目別の世界シェアである。米国が圧倒的なシェアを持つのは上場株式時価総額、外貨準備通貨、半導体で5割以上のシェアを持つ。中国など各国は基軸通貨ドルを使えないと経済危機に陥る。

米国覇権に挑戦する中国はモノの輸出シェアで米国をしのぐ。習近平政権は広汎な品目の生産規模拡張と安値輸出に邁進(まいしん)する。グローバルなモノの供給網(サプライチェーン)の基幹材料や新規産業分野の独占により、ライバルを威圧する。希少金属のガリウムはハイテク生産に欠かせないし、EV(電気自動車)は日米欧メーカー主導の内燃機関車にとって代わると習近平政権は信じ、市場支配をもくろんでいる。エネルギー、食糧のシェアはロシア・プーチン大統領の覇権戦略が反映している。石油・天然ガス、小麦の輸出で世界への影響力拡大に腐心する。そして、モノ超大国中国と組んで米覇権に挑戦する。中国はロシア産石油を国際相場よりも割高な価格で買い付け、ロシア財政を間接的に支援してきた。トランプ政権の高関税砲の主標的はやはり中国なのだ。 (産経新聞特別記者)

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