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「103万円の壁」合意も〝ステルス増税〟の罠 財務省「税収減」根拠に抵抗か 自公国が経済対策に明記、引き上げ幅は年末に決着へ

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月21日 15時10分

現に、政府は178万円への引き上げにより「国・地方で7兆~8兆円の減収が見込まれる」と主張している。

玉木氏は、総務省がこの主張に沿って、地方自治体に反対表明を求めるなどの「工作を行っている」と激怒している。石破首相の盟友である村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡を回し、撤廃の問題点を指摘する「発言要領」まで作っているとも指摘した。

村上氏はこれを否定しているが、政府の陰謀を感じさせる話だけに大きな波紋を呼んでいる。ちなみに、村上氏は、安倍晋三元首相を「国賊」と罵倒した人物である。

実際、地方自治体は政府の主張する減収懸念に呼応し、相次いで反対を表明した。宮城県の村井嘉浩知事は「減収が地方に回ると大きく住民サービスが下がる」「私が総理大臣なら首を縦に振らない。たちどころに財政破綻する」などと、国民民主党の提言を厳しく批判している。

ある与党議員は「プライマリーバランスの黒字化に固執する財務省は『税収減』の試算を根拠に抵抗していくのではないか。一方で少数与党の石破政権は、世論の声を受けた国民民主党の提言を無視できない。石破首相は板挟みとなり、方向性は右往左往するだろう」と指摘する。

「違った形で増税や負担増しないよう見張って」荻原博子氏

今後の展開をどう見るか。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は「実質賃金は下がる一方、国民の命に直結する食料品は値上げが続き、消費は冷え込んでいる。国民民主党が議席を伸ばしたことがすべてを物語っているといえる。『178万円への引き上げ』は多くの有権者が望む『最低ライン』だ。国民民主党は、与党が違った形での増税や負担増をしないよう見張り、『第2自民党』といわれない野党の矜持(きょうじ)を示してほしい」と語った。

石破政権からは、「手取りを増やす」政策に逆行する動きも出てきた。

厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件「106万円の壁」を撤廃する方向で最終調整に入った。年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。

このほか、各種控除の撤廃・引き下げも指摘されている。

早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏も「103万円の壁」を打ち消す〝ステルス増税〟などを警戒し、次のように語る。

「閣僚やメディアから『税収減』や『財源論争』が出ているが、年収の壁の引き上げを、他の『増税・負担増』で骨抜きにしようとするかもしれない。国民民主党は、過去にガソリン税を一部軽減する『トリガー条項』凍結解除をめぐり、自公与党との協議に持ち込みながら解除に至らなかった。ただ、当時とは異なり、先の衆院選で議席を4倍に増やしており、非常に強い立場にある。国民民主党はギリギリまで突っぱねる姿勢が必要だが、補正予算に容易に協力する姿勢をみると、交渉がぬるい」

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