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ニュース裏表 田中秀臣 追加経済対策、財務省〝フレンドリー〟な石破政権と立憲民主党には任せられない 最低でも「真水」で20兆円以上の確保が必要だ

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月3日 6時30分

税制協議に臨む自民、公明、国民の税制調査会長ら(夕刊フジ)

「年収の壁」見直しの議論が白熱している。国民民主党が提言している「年収の壁」103万円を178万円に引き上げるという減税政策をめぐって、石破茂政権はその受け入れを表明した。だが今後どのような展開になるかは不明である。

自民、公明の与党と国民民主党の三党合意の文書を読むと、「新たな総合経済対策」の中で「年収の壁」の見直しを、「来年度の税制改正や当初予算の議論の中で行う」としている。また今年度の補正予算は「新たな総合経済対策」の裏付けになるとも書いてあるが、具体的ではない。

すでに閣議で今年度の補正予算が決まって、これから国会での審議に移る。補正予算のいわゆる「真水」(一般会計からの支出)は、たかだか13・9兆円である。これでは日本経済が安定的な成長経路に乗るのは難しい。真水で20兆円は最低でも確保すべきだ。

この石破政権の補正予算の財源は今年度の予算の未消化分と税収の上振れをあて、さらに新規国債発行だ。まだ不十分な額だが、国債の新規発行をできるだけ避けたい財務省の思惑が全面に出ているのは間違いない。

石破首相自身、経済対策にしっかりした定見はない。たまたま政治的ライバルが安倍晋三元首相だったので、対抗上、反アベノミクスを主張していた程度だろう。その薄っぺらい経済政策観が、岸田文雄政権同様にアベノミクスを何倍にも薄めた政策方針となって表れている。

国民民主党との「年収の壁」の見直しも、補正予算の段階では単に「やりますよ」という一文が明記されているだけだ。具体性はないので、与党側はあとでどうとでもできるという計算だろう。

補正予算の規模も国民生活を安定させるには遠い。これで国民民主党など野党が納得したらまずい。だが野党筆頭の立憲民主党は、この政府予算が「過度な財政出動」だと批判して、真水わずか7・4兆円規模を提案している。ずいぶん〝財務省フレンドリー〟な予算だ。

立憲民主党の主張は「いまの日本経済のGDPギャップ(総需要の不足)は約3兆円なので、政府の補正予算だとやりすぎ」というものだ。だが、インフレ目標2%を安定的に目指すならば、名目GDP比で3~4%ほどの予算規模が必要である。そうすると最低でも20兆円以上、理想的には25兆円ぐらいだろう。

立憲民主党の主張だと、同党の「インフレ0%以上」の目標と整合的な補正予算の規模になってしまう。だが、これは筋悪の目標だ。ほかの先進国が2%インフレを目標にしているので、日本だけ過度の円高になって企業は国際競争力を失い、再びデフレ経済に陥る。石破政権にも立憲民主党にも、経済政策を安心して任せることができない。 (上武大学教授)

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