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志らべのユー、次なに見る インドの〝不可触民〟運営の新聞社に密着 生き方に自由のない社会で一筋の希望を見つける映画「燃えあがる女性記者たち」

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月14日 10時0分

© Black Ticket Films(夕刊フジ)

8月にU―NEXTで配信が始まっているのでもう既に見ている人もいるのではないでしょうか。このドキュメンタリーは面白いです。映画「燃えあがる女性記者たち」です。

インドで最も人口の多いウッタル・プラデーシュ州は、汚職や女性に対する暴力、社会的少数者への残忍な抑圧が行われています。そんな同州を舞台に、インドでカースト最下層の〝不可触民〟に属する女性たちが運営する新聞社、カバル・ラハリヤの仕事に密着するのがこの映画です。

以前、この欄で取り上げた岡本喜八監督のデビュー作「結婚のすべて」で、ヒロインの雪村いづみさんによる「これからは自由恋愛の時代よ!」と言う台詞があったのです。このとき昭和33年、1958年。東京タワーが建って、長嶋茂雄がデビューして、吉原がなくなった年ですよ。その頃まで恋愛というのが自由ではなかったってことですよ。人間の歴史の中で恋愛が自由にできるようになったのは最近のことなんだと改めてかみしめたんですが、インドではまだまだ恋愛が自由ではないのです。

いや、恋愛だけでなく、生き方に自由がないのです。その昔、学校で習ったカースト制度が今でも人々の生活に、人生に浸透しているというのは、日本で生きている人間にとっては信じられないことです。

私が住む江戸川区の葛西地区はインド人が多く住むことで有名なんですが、街ですれ違うインド人の方はこの映画に出てくるような人たちとは違います。おそらく多くの人はIT系の仕事をしているし、近所のインド人家族は立派な一軒家を建てて実に賢そうな犬まで飼っています。同じインドでもこれだけの差があるのかと思うと寂しくなりますね。

でも、周囲の反対を押し切って活動する女性たちだけの新聞社、カバル・ラハリヤの人々を見ていると、シンプルに胸打たれるのです。記者という仕事を家族に理解されない中で、権力に屈しない取材、報道姿勢は泣きそうになります。

切ない社会で一筋の希望を見つける映画です。 (立川志らべ)

※配信は予告なく終了している場合もあります

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